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日商簿記2級受験記~100日で合格~

2021年2月、第157回簿記検定試験の日程で日商簿記2級を受験してきました。2020年11月に同3級を受験し、その後すぐに勉強を開始して約100日。3/15の今日、合格を確認できましたので、今回の受験にあたって合格するために考えたこと、学んだことをまとめます。これから受験を考えている方の参考になれば幸いです。

なお、タイトルに100日で合格と書いていますが、「100日でサクッと受かるよ、簡単だよ」なんて言うつもりはありません。むしろ「短期間で合格を目指すならばそれ相応に覚悟が必要だよ」という主旨で書いていきます。

0.日商簿記2級受験のきっかけ

・3級の勉強が楽しかったこと。生まれて初めて自発的に勉強した。

・そもそも3級を受けたきっかけは、社内資料をきちんと理解できるようになりたかったから。

・加えて、社長(社内用パンフレットでしか見たことない)が「収益にこだわれ」としつこく言っていたこと。「こだわれって言われてもなあー。」と思っていたが、まあ社長しつこいし、「こだわるならばまずは構造を知らねば」と考えて勉強・受験することに。

1.日商簿記2級概要

日商簿記検定は日本商工会議所が主催する検定試験です。以下、商工会議所HPより抜粋。

簿記とは
簿記は、企業規模の大小や業種、業態を問わずに、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能です。簿記を理解することによって、企業の経理事務に必要な会計知識だけではなく、財務諸表を読む力、基礎的な経営管理や分析力が身につきます。また、ビジネスの基本であるコスト感覚も身につきますので、コストを意識した仕事ができるとともに、取引先の経営状況を把握できるために、経理担当者だけではなく、全ての社会人に役立ちます。さらに、公認会計士や税理士等の国家資格を目指す方や他の資格・検定と組み合わせてキャリアアップを考えている方々にも必須の資格といえます。現在、多くの企業が社員に対して簿記検定の資格取得を奨励しているほか、大学や短大の推薦入試、単位認定の基準に採用されていることなどから、年間で約60万人の方々が受験する「日商簿記」として社会的に高い信頼と評価を得ています。試験終了後には毎回、その問題を出題した意図や共通して誤りの多かった事例などを公表していますので、学習のための参考資料として活用し、検定試験にチャレンジしてください。特に最近の受験者をみると、予想以上に過去の問題の出題パターンをなぞった学習に終始している傾向がありますので、過去の出題内容ばかりでなく、出題区分表の範囲全般にわたって学習するとともに、新しい会計基準等についての勉強が望まれます。
(参考:https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/about
簿記2級のレベル
経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。
高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。(https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2

すごくざっくり言えば「簿記とは企業会計に関する技能」で、「多くの社会人の役に立ち」「2級まで取得するとそこそこいい線いってる」ということでしょうか。では、合格に向けて考えたこと、取り組んだことを紹介します。

2.勉強開始日に決めたこと

2020年11月15日、3級を受験後、「今日からすぐに2級の学習を開始し、次の受験機会である2月に受験して合格する」という目標を立てました。とはいえ、受験経験もなく何から取り組めばよいかわからなかった私は、ネットで情報収集から始めました。その中で重要だと思ったポイントは、

・時間:合格に必要な時間は約150時間~300時間程度。社会人で働きながら合格するためには、期間換算すると少なくとも2か月以上は必要。

・学習スタイル:3級は独学者がほとんどだが、2級は独学合格が厳しい人もいる

・合格基準:3級と同じく絶対評価。70点以上で合格。

・合格率:回により大きくばらつきがあるが、低い時で10%、高い時で50%程度。

などといった情報を目にしました。それぞれから考えたことは、

時間について、「150時間~300時間」と個人差が大きく感じられたため、自身の能力を過信せず少なくとも250時間以上は勉強しようと考えました。能力に自信のある人はもっと少ない時間でも問題ないと思います。(ただ、ややうがった見方ですが、自分を優秀に見せたくて勉強時間を短めに発信する人、多いんじゃないでしょうか。ちなみに僕は3級に100h、そのうえで2級に250h以上はやりました。時間をかけたほうだと思います。甘くありません。)

学習スタイルについて、周囲に独学合格者が多くいたことに加え、3級受験期からお世話になった「ふくしままさゆき」さんの教材があればスクールは不要と判断。実際に合格したため判断は正しかったと思いますが、向き不向きもありますので気になる方はスクール受講経験者に聞いてみてください。
スクール利用のメリットは、合格実績を積み上げたスクールのノウハウをもとに、「検定試験で問われる内容そのもの」の学習に集中できることだと思います。独学は、学習計画を練るために考えることが相対的に多いため、検定試験そのもの以外の能力(情報収集、計画作成、実行、反省、改善、継続、、、)も必要になると考えます。

合格基準・合格率について、想像よりも非常に厳しい印象。一発で受かろうと思えば、合格点ぎりぎりでなく100点を目指すくらいでないと簡単に落ちるな、と考えました。まとめると

・100日で250時間確保する

・スクールには通わない。有名予備校TACの授業で実際に使われているテキスト・問題集・過去問ふくしままさゆきさんのyoutubeで勝負。

・必ず一発で受かるために、100点を目指して取り組む

以上のことを決め、意気揚々とTACのHPからテキスト類を購入しました。その時は今後苦しむことになるなんて知らずに....。ちなみにテキストは100点を取るために最も網羅性の高いものを選びました。TACのHPから購入すると安いです。

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3.計画作成と予実対比(勉強時間編)

テキストを購入して数時間後、ベッドでごろごろしながら「250時間かー。余裕じゃん。」と思っていた私は、ふと冷静になりました。

残り100日で250時間って...単位を変えて考えてみると...2.5時間/日、17.5時間/週、75h/月...?あれ、社会人になってからそんなに勉強したことよな...?最大瞬間風速的に1日2.5h時間ならまだしも、100日続けるの.....?働いたあとの疲れた状態で......?

でももうテキストは買ったし(約14,000円、職場の先輩には「うなぎ何回食えるねん」と笑われた )(追記:現在はその先輩も私に感化されたのか、2級受験に向けて勉強中。笑い話です。)、受験機会を後ろにずらすと苦しみは長く続くし、何よりもう決めたから、あとには引けません。やるしかないんです。

ところで、メーカーで生産管理をやっていると、「生産計画」なるものと日々親しむことになります。生産計画と生産実績を日々比較し、必要に応じて計画を修正しながら、なんとか当初の計画を達成できるようにしているんですね。

そこで、「クオリティは低くてもいいから、生産計画の考え方を活かして勉強計画を立ててみるか...」と私は考えました。さて、まずはお題でもある「勉強時間」についてです。下の図を見てください。

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右肩上がりの直線は勉強時間の計画値、棒グラフは勉強の実績値です。クオリティに関するツッコミはさておき、Excelで表・グラフを作成し、表に実績を入力すれば簡単に予定と実績の対比(予実対比)ができる状態にしました。以前記事で書いた「見える化」ですね。

ポイントはきちんと計画と実績の差を見えるようにして、計画の修正に役立てることです。例えば、勉強を始めた初期は予定に対して実績が未達成になっていることがわかりますね。

"ある時点"でなんとなく「やっべー勉強時間足りてねえ、がんばろ」というような抽象度で物事を考えるのか、

"あらかじめ予定していた任意のチェックポイント"で「開始30日で65h。予定75hに対し△10hだな、残り70日は日当たり約10分ずつ挽回が必要だな。計画を修正(傾きを大きく)しよう。」と思えるのか、

具体的なアクションに結び付く度合いに差がつくのは言うまでもありません。

以上の考え方で実際にやってみると、残酷なほどに自身の勉強する体力のなさに気が付きます。最初のうちは習慣がなかったため平日1.5h、休日3hがいいところ。自分の集中力のなさに嫌気がさしつつも、一方でただ漫然と学習を積み上げていたとすると、試験間近になって「全然範囲終わってない!」と焦ることになっていたと思います。

ちなみに、もっと簡単に勉強時間を管理できるアプリがあります。studyplusというアプリです。「いつ、どの教材で、何分勉強した」という記録をするだけで、日当たり、週間、月間などのメッシュで簡単に実績を見える化してくれます。

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ただし予実対比はできないため、私はExcelも併せて使っていました。

4.計画作成と予実対比(学習進捗編)

「勉強は量だ」「勉強は質だ」どちらもよく耳にしますが、結局どちらも重要だと思います。というのも、

勉強の成果(検定試験でいえば得点力) 

= 量(勉強時間) × 質(時間あたりの"学習を得点に結びつける力")

だと考えるからです。時間がある学生やそのほかの方は質なんてどうでもいいですよ。量で圧倒できますから。一方社会人は限られた時間の中で合格するために、量も質も確保する必要があるわけです。

そこで、やみくもに勉強を積み上げるのではなく、試験当日から逆算し、勉強時間と同じく学習内容の進捗についても計画を立ててみることにしました。

日商簿記は商業簿記と工業簿記の2科目で構成されており、配点はそれぞれ60点、40点です。3級の勉強の延長線上にあり、とっつきやすいのは商業簿記と考え、商業簿記から取り組むことに。

<全体感>

①インプット中心期(1~8週)

・商業簿記インプット(youtube、教科書)、軽くアウトプット(基本問題)

・工業簿記インプット、軽くアウトプット(商工ともに1周完了)

②アウトプット中心期(9~15週)

・商・工基本問題反復(できれば3周)

・わからない論点は教科書に立ち返り、インプット

・過去問演習

<もう少し具体的に>

・1~3週:商業簿記インプット。①ふくしままさゆきさんのyoutube動画を見る。②テキストの該当箇所を読む、例題を解く

・4~5週:商業簿記アウトプット。ひたすら重要な基本問題を解き、最速で1周を終わらせる。★3個のみ。★1個,2個は無視。

・6~7週:工業簿記インプット。①youtube②教科書読む、例題解く

・8週:工業簿記アウトプット。ひたすら重要な基本問題を解く。商業簿記同様★3個のみ。

・9週:商業簿記アウトプット。問題集2週目。★2個まで解く

・10週:工業簿記アウトプット。問題集2週目。★2個まで解く。

・11週:商工それぞれ問題集3週目。★1個は無視。

・12週~15週:過去問中心に問題演習。余力あれば予想問題まで。

試験当日は13:30から試験開始であるため、休日は13:30から時間を測って過去問に取り組むなどの工夫もしていました。本番を想定し、時間内にできるだけ多くの点を取る練習と、眠い時間帯である13:30~15:30に最も高いパフォーマンスが出せるように練習したということです。

上記のように、量・質ともに計画と実績を対比させ、計画を微修正しながら学習に取り組んだ結果、過去問は1度を除きすべて合格点を取り、安心して本番に臨むことができました。

自分の能力を過信せず、またなんとなくやみくもに学習を積み上げず、ゴールから逆算して学習に取り組んだことが良かった点であると振り返っています。

5.展望

試験を終えてみて、意外と楽しく学習を終えることができたため、次は1級を受けてみようと思います。

一旦2021年11月受験目標としますが、相当ハードルが高そうですので2022年2月でもいいかな....。ま、また調べて計画立ててみて実現可能性を見て判断します。

追記:何やら偉そうに計画だ、実績管理だと書きましたが、結局

「絶対に合格する、一発で決める」

という強い意志が最も大事だと思います。年末年始毎日欠かさず勉強したり、会社の昼休みにおにぎりをかじりながら教科書を読んだりする根性があれば2級程度は余裕です。

最後はやや精神論に傾きましたが、進学のための受験のように学力が試されているわけではありませんから、根性が重要ですよ。頑張りましょう。

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