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僧職系登山男子による山道具紹介 #2「奥深き数珠の世界」

Youtube動画 僧職系登山男子による山道具紹介「数珠」を公開しました。


一体どの層にニーズがあるのか、よくわからない動画と自分でも思うのですが・・・SNSではたくさんの反響をいただきました。
「着けてみます」「探してみます」「一般人でも着けていいんですね」
などなど。
本当に有り難いことだなぁと感謝しております。

さて、
袈裟と一緒に身につけることが多い「数珠」も紹介しないと良くないかなぁと思いまして、続けて配信することにしました。

※数珠も宗派によって様々です。私は真言宗の僧侶ですので、真言宗の様式でお話いたします。

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まずは動画のおさらいから

・数珠の種類には三種類。
主に僧侶用の「本連」は108珠があります。
一般の方がお使いになる「半連」は半分のサイズ、「四半連」が四分の一。
私たちは「念珠(ねんじゅ)」と呼ぶことが多いです。

・数珠の用途は主に3つ。
1,数を数える。真言をお唱えするときに、その数を繰ります。
2,祈願をする。数珠を擦って祈願をします。
3,装束の一部。「信は荘厳から」お祀りの仕方が整っていることや、服装が整っていてこそ、心を込めて仏さまを拝むことができる。 
一般の方にとっては、3の部分が一番大切な部分になるかと思います。
袈裟と数珠は、その最も基本的な装い。

以上が、数珠の基本となる部分です。

どんな数珠があるか

noteでは、「めくるめく数珠の世界」と題しまして、動画でご紹介できなかった数珠を私が持っているものの中からご紹介していきたいと思います。

・水晶の数珠
一般の方がお持ちの数珠は、水晶のものをよくお見かけします。
私たちが使う本連の数珠で、水晶を使ったものは特別な時にしか使わないんです。

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全部水晶の本連の数珠を「本装束念珠」(写真上)、半分が水晶で半分が他の素材のもの(私が使っているのは紫水晶)を「半装束念珠」(写真下)。
本装束念珠を使うのは、僧侶であっても葬儀などの導師を務めるときだけ。写真の本装束念珠は私のお寺の先々代住職の遺品をいただいたものですが、私は副住職なのでほぼ使ったことがありません。(私の地域では、よほどの理由がない限り葬儀の導師を務めるのは住職だけです。地域性があるかもしれません。)
このような面から、一般の方がお使いになるのは良くないかと思います。
しかし、これらの数珠は本連の数珠ですので、
一般の方がお使いになる数珠(半連・四半連の略式念珠)は水晶のものでかまいません。
うちの住職が申しますには、持ったときにヒンヤリするのが本物の水晶なんだそうです。水晶の数珠があれば、持ってみてください。

・菩提樹の数珠
動画では、いつも使っている星月菩提樹の数珠を紹介しましたが、
菩提樹の数珠にも色々あります。
例えばこちら。天竺菩提樹。菩提樹の中でも最高級品です。

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・その他の木の素材を使った数珠
動画では緑檀の数珠を紹介しましたが、
珍しいものではこちら。高野槙です。
高野槙の中でも、高野山にある霊木を使った数珠。

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数珠といっても、本当に様々な素材があります。
高野山にいるとき、実物は見たことがないのですが、総ダイヤモンドの数珠があると聞いたことがあります。(ダイヤモンドは金剛石と言いますからね・・・)
もったいなくて擦って祈願できないと思うのですが、ダイヤモンドは硬いから大丈夫なのかな・・・。

もっといろんな数珠を見てみたいという方は、
私が高野山に行くとお世話になっている数珠屋さんの中本名玉堂さんのホームページを貼っておきます。見てみてください。

山道具としての数珠

そんなわけで、是非袈裟と一緒に数珠もお持ちください。
きっと仏さまに手を合わせる感覚が全然違ったものになると思います。

では、山にはどんな数珠がいいかという点を考えてみたいと思います。
動画でも申しましたとおり、水晶などの石を使った数珠は向いてないかなぁと思います。高価なものですと、無くしたり落としたりしてもいけませんし。
山ではやはり、木の素材がいいかなぁと思います。
中でも使い込むと良い色が出てくる菩提樹はオススメです。
木の素材も数珠も黒檀や紫檀、白檀などの香木、杉や檜など様々な素材の数珠がありますので、できれば数珠屋さんでいろんな素材のものをご覧いただいて、気に入ったものを大事に使っていただければと思います。

本連の数珠は、やはり僧侶が使うものですので一般の方には使いにくいかなぁと思います。半連や四半連の略式の数珠がオススメです。
葬儀や法事に参列する際にもお使いいただけますし、仏閣にお参りする際にも是非お持ちください。
最も略式の数珠に「腕輪念珠」というものもあります。
腕輪のように気軽にお着けいただけるものですので、こちらもオススメ。
ブレスレットとは違って、ちゃんと数珠の様式になっているんです。

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この腕輪念珠は最高級の「白檀」という香木を使ったもの。
とても深い、そして甘い香りがします。
仏さまが守ってくれるような気がしてきます。

最後に

山道具としての袈裟、今回は数珠をご紹介しました。
「山と仏」といたしましては、
山もまた、仏さまへのお参りであります。
袈裟や数珠をお持ちいただいて、より山での仏さまを感じていただければと願っています。
ご紹介したいものはたくさんあるのですが、
「袈裟」「数珠」という、
最も基本的な2つをご紹介させていただきました。

それでは、また次の山でお会いいたしましょう。

合掌

小雪童

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