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山好きのための仏さまの話 #2「如来?菩薩?どう違うの?」

今回は、仏さまの種類についてお話したいと思います。

一口に仏さまと言っても、様々な種類があります。
大きく分けると4種類に分けられます。
「如来」「菩薩」「明王」「天」です。
今回はそのうち「如来」と「菩薩」。

如来ってナニ?

まずは「如来(にょらい)」からお話しましょう。

如来とは、悟りを開いた方のこと。
定義としては第1回でお話した「仏」と同じです。
当初は仏教を開いたお釈迦さまのことでしたが、
仏の概念が広がっていくにつれて、様々な如来が現れてきました。

八ヶ岳の阿弥陀岳に祀られる阿弥陀如来。
北アルプスや鳳凰三山の薬師岳は薬師如来。
前回も書いたように、あらゆる人を極楽に導いてくれたり(阿弥陀如来)
あらゆる病気を治してくれたり(薬師如来)、
まさしく ザ・ホトケであります。

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じゃあ、菩薩って?

「如来」が悟りを開いた後の方だとすると、次の「菩薩」は悟りを開く前の存在。
「菩提薩埵(ぼだいさった)」を短くして「菩薩(ぼさつ)」。
「菩提」は悟りの境界を指します。菩提薩埵は悟りを求める人の意味。
似たような漢字でややこしいですが、「登山」と「登山者」の違いになりますでしょうか。

特別な力を持った仏さま、というだけでなく私たちのことも指します。
私が修行していた高野山では、ある行事のときに参加している僧侶を菩薩何名と数えるものもありました。
もちろんお坊さんだけでなく一般の方も含めて、
悟りを求めて修行する者はすべて「菩薩」です。

菩薩にも様々な仏さまがいますよね。
観音菩薩、地蔵菩薩。
八ヶ岳の地蔵尾根や鳳凰三山の観音岳など、
山にも祀られていたり、地名の由来になっていたりします。
菩薩が悟りの前の段階とすると、観音さまもお地蔵さまも修行が足りない・・・というわけではなく、
私たちと同じ立場に立って、同じ目線で悩みや苦しみを救いたいというお誓いがあり、あえて如来にならないのです。
山頂から山道の途中、なんでもない道の片隅にまで、
いろんなところにお祀りされる菩薩さまですが、人気があるのもわかりますよね。

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ちなみに見分け方があります

如来は悟った後の方なので「宝飾具」を付けない、という法則があります。
悟った方はキラキラしたものなんて着けません。
それから、悟った方に現れる姿というのがありまして、パンチパーマみたいな頭(螺髪といいます)とか、二段になっている頭(肉けいといいます)とかです。
反対に菩薩は悟る前の存在ですから、キラキラとした宝飾を着けてたり、いろんな道具を持っています。

つまり、
キラキラを着けずに若干地味・・・というかシンプルな姿が「如来」
キラキラを着けてたり、いろんな持ち物を持っていたりする姿が「菩薩」

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この仏画は私が描いたもので、阿弥陀如来です。
キラキラした宝飾具を着けていないのがお分かりになると思います。
一方、扉絵が弥勒菩薩。キラキラしていますよね。

しかし、いろいろ例外があります。
例えば如来の中の「大日如来」という仏さま。
宇宙の総体、命や存在の根源という仏さまです。
宝飾具を身に着け、宝冠という冠をかぶっています。
真言宗の教えでは、全ての仏さまは大日如来が姿形を変えて現れたものとされますから、如来の中の如来。
宝冠はその性質を表しています。

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さて、次回は「明王」「天」という二種類の仏さまをご紹介します。

剣や槍を持った勇ましい姿の明王や天の仏さま。
とても人気のある仏さまたちですよね。
不動明王や摩利支天、山の中でも聞いたことがあったり、
見たことのある仏さまだと思います。
次回も是非、お楽しみに。

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