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自社通関のすすめ④ 災害時の自社通関の威力

皆さん、こんにちは。
自社通関のすすめ4回目は「災害時の自社通関の威力」についてお話していきます。実際に自社通関体制を立ち上げ、7年近く運用し、その間およそ8万申告の処理を指揮してきた「経験者」が語ります。

自社通関をやってよかったと思うことはたくさんありますが、中でも「災害時の自社通関の威力」は半端なかったと思います。この内容は過去に講演や取材でもお話しているのですが、改めてまとめてお伝えしたいと思います。

2018年9月の台風21号で関西空港が水害にあい、1か月半、関空発の輸出ができなかったことがあります。日本の航空輸送は、東は「成田」、西は「関空」がメインで、貨物専用機(フレーター)が離発着できる空港となるとほぼこの2空港に集約されています。水害の影響が数日であれば、そう大きな問題にはならなかったでしょうが、西のメイン空港が1か月半も機能しなくなると、その間の貨物は成田に集中することになり、成田周辺のフォワーダー上屋は貨物であふれ、輸出貨物は上屋に搬入して3日待ちは当たり前で、場合によっては荷受け不可の状態になったところもあったと聞いています。スペースが取りにくい状態ではありましたが、それよりも現場が処理できなかったので、当時の各フォワーダー上屋の混雑ぶりが目に浮かびます。
最初は「関空だけの話」だったのが、日が経つにつれて日本の輸出入に大きな影響を与えることになったわけです。多くの荷主は「いち早くこの商品を海外のお客様に届けなければ…」と思っても、「何かしたくても何もできない。待つしかない。」そんな状況だったと思います。

そのような状況で自社通関は最強でした。

工場で通関をしたらそのまま航空会社へ搬入する体制を作っていたので、貨物が停滞しているフォワーダーの上屋は通らないわけですから、その影響を受けることはほぼありませんでした。いくつか課題は出てきましたが、そこはフォワーダーとアイデアを出し合い突破したので、実際には成田へ転送する時間の遅延ぐらいしか発生しませんでした。

実際に「なぜお宅の貨物はいつもと変わらず届くのですか?」と海外の顧客から問い合わせを受けたので、日本から届くスピードが他社と比べてかなり早かったのだと思います。

海外から見た日本との取引リスクは「災害の多さ」だと思います。実際にリスク分散のために二社購買をしている企業もあると思います。その対策として「自社通関」や「輸送の見直し」は有効ですし、その結果は「災害リスクの軽減」だけでなく、国内の競合にはない自社の強みとして海外顧客へのアピールにつなげることも可能だと私は思います。

ちなみに私は関空の経験から、貨物機が離発着できる他の空港に興味を持つことになり、その結果として北九州空港や北九州市との関係構築へとつながっていくのですが、そのお話は言える範囲でいつか記事にしたいと思います。西日本の荷主の方は、関空に加えて北九州空港のご利用もおすすめです。

長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。

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