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自社通関のすすめ② 自社通関導入で四面楚歌!?

皆さん、こんにちは。
自社通関のすすめ2回目の今日は「自社通関導入で四面楚歌」というお話をしていきたいと思います。前回の記事で、自社通関を始めようと思ったきっかけを書いたわけですが「さぁ始めよう」とした矢先に、私の前には大きな壁が立ちはだかります。それはどんな壁で、それをどう打破したのか…。今日は自社通関のススメというよりは「実際にあった話」として読んで頂ければと思います。


自社通関を初めてみようかなと思った私は、さっそくプロジェクトを立ち上げて体制構築に着手しました。社内の仕組みづくりは問題なく進んでいくわけですが、着手当初から私の中で頭を悩ませることがひとつだけありました。

それは「通関業者にどう説明するか」です。

今までずっと輸出のために親身になって協力してくれてきた会社にどう伝え、理解を得るかは大きな課題です。極端な話「フォワーディングは今まで通りお願いするけど、通関は自分たちでやるから安くしてね」と伝えるわけです。通関士の仕事を奪うわけですから、話す前から一筋縄ではいかないことは目に見えます。ただ、根回しとか密室でコソコソ話すのが大嫌いで、裏表なくストレートにぶつかって話をしたい性格なので「悩んでも仕方がない。素直にやりたいことを伝えてみよう」と思い、あるタイミングで各社に自社通関の導入と協力のお願いを行うことにしました。その結果は……

「絶対に失敗する」「やめた方がいい」

みごとな反対の嵐……。1社だけ協力しますよと言ってくださった会社がありましたが、それ以外は「協力できない」と反対されました。ただ「はい、そうですか」と引き下がる私でもないので、その後も交渉を重ねます。そしてしばらくすると通関業者も攻勢に出ます。私を説得しても変わらないので、私の周りにやめたほうがいいと説得しはじめたのです。時間が経つにつれて社内から不安や反対する声が出始めます。「オセロが白から黒に変わっていき、周りを見渡せば真っ黒になっている…」そのような気持ちになったことを覚えています。まさに「四面楚歌」の状態。「これは困った…」しかし、私も引き下がるわけにはいきません。悩みに悩んだ私は起死回生の一手を打ちます。

それが「フォワーダーの入札」です。

自社通関導入の協力を入札参加の条件にして、多くのフォワーダーに声をかけたのです。それだけではありません。せっかく入札するのならと、他の会社の入札のやり方を勉強し、入念に戦略を練って実施しました。そこそこの物量があり、また、勢いのある業種であることも味方して、結果的に自社通関に協力して頂けるフォワーダーへの切り替えや反対していたフォワーダーの説得に成功することができました。

入札戦略については、色々とお伝えしたいこともあるので改めて記事は書くとして、これによって四面楚歌の状態から一気に反転させることができ、その後は自社通関体制の完成へと一気に突き進むことになります。


ヨーロッパでは、輸出通関は簡素化されています。日本も同じようになっていくのではないか、それに伴って輸出の自社通関を行う会社も少しずつ増えていくというのが私の持論です。また、AEO認証を取得したけど、その恩恵をもっと受けたいという輸出企業は多く、そのような会社にとって自社通関や自社施設通関をメリットと感じる企業が増えて行くのではないかとも考えています。

ただ今までのやり方を変えることは、日本に企業は苦手で大企業になればなるほどその傾向は顕著です。私のように社外の反対にあう会社も出てくると思いますが、現状を変えたいという強い思いがあれば「現状を打破するアイデア」は不思議なもので湧いてきます。私はそのような思いがある人と一緒に仕事がしたい。不思議なもので、そのような思いを強く持って仕事をして
いると同じ思いを持つ方と自然に出会うんですよね。誇り・プライド・信念を持って仕事をしている方って、そう多くはいませんが。

次回は「自社通関のメリット、デメリット」についてお話したいと思います。お時間がありましたら、次回もぜひお付き合いください。


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