
7. 究極のブレストキック #2 -スピード編-
ブレストのキックには、「真後ろに噴射する推進力」を「強烈に増幅する重要なテクニック」がある。
それがこの「後ろに下がりながら蹴るバックキック」。「水の抵抗」を逆利用し、「推進力」に変えて加速する「相補性テクニック」。
「プルで発生させたエネルギー」をキックに繋げて、120%に高めたエネルギーを「キック」でブチ込んで「強い推進力を発生させる」ヤバいやつ。
手をかいて呼吸をした次は「前に行きたくなる」けど、そこをグッと我慢して、「後方にバック」すれば、「強烈なキック」を打ち込める。
どうして?
呼吸で上半身が起き上がると当然、「胸に水がぶつかって抵抗」を受ける。
この時、もし、「前方に体重移動」して「前に乗り込んでしまう」と「強い抵抗」を受ける事になる。
しかも、「キックは後ろへ打つ」のに「上半身が前」に行ってしまうと「動きが逆」になってキックがスッポ抜ける。
何ひとつ、良いことがない。
しかし!「胸にぶつかってくる水の抵抗に負けてあげる」と、
「胸の下へ流れ込んでいく水流」に乗って「上半身」がバックしながら水中へ引き込まれて、ストリームラインに戻れる。
感覚的には、「滑り台から滑り落ちて引きずり込まれていく感覚」で、これがすごく気持ちいい。
この時!注意して見てよ。「膝」が「自動的」に曲がって「キックを打てる状態」になってるのが分かるでしょ。
「ブレストのキックに、足の引きつけ動作は、ない」と言っても過言ではない。
「わざわざ水の流れに逆らって」「膝を前に引き付け」て「失速」させなくても、「後ろに下がって」そのままキックを打ち込めば、
「バックしてきたお尻のパワー」がガーンとカカトに加わるから、「水の抵抗を避けながら」、「強い推進力」を生み出せる。
もう一度、丁寧に「ストリームラインで発生した水流も合わせて、動きをイメージ」してみて。
「ストリームラインで発生させた水流」に「下半身」が支えられる事で、「まっすぐな下半身」を保ったまま「抵抗の少ない呼吸姿勢」で上体が起き上がり、
「起き上がった胸にぶつかって来る水の抵抗」を素直に利用して「後ろに滑り下がって」、水中に戻る。
「水中に戻った上半身」が「再びストリームラインに入る」ことで「ストリームライン水流が再発生」し、「キックの蹴り出しを補助」する。
「水の抵抗エネルギー」をそのまま「抵抗として捨てず」に受け流して、「受け流した水流」を「泳ぎの補助力」として「回収」する。
本来、排他的で混ざり合う事のない「抵抗」と「推進力」。
マイナスとプラスを融合した相補性キックだから、120%に増幅された強いキックをブチ込める。
このキック動作を体内の「力の移動」で見ると、
「プルで発生させた力」を「浮心のミゾオチ」を支点にして「お尻(丹田)」に伝え、
「勢い良く下がってきたお尻」に「カカト」が「玉突き」されて、
まっすぐ、真後ろに、推進力が伝わる。
この「力の玉突き移動」がすごく気持ちいい。
もうね、この快感を知ったらさ、気持ち良すぎて、練習が大好きになっちゃうから。
「それって単なる机上の理屈でしょ?」って批判は違うよ。
当たり前すぎるけど、垂直ジャンプをする時、カカトは動かない。
お尻の方がカカトに向かって動いて勝手に膝が曲がる。その反動で地面を強く蹴ることが出来る。
陸上のジャンプだけじゃない。
水中スタートだって、「上半身が水中に引き込まれながらお尻が後ろに下がる事で膝が曲がり」、その勢いを利用して壁を強く蹴るから、
「太モモに水の抵抗を受ける事なく」、勢いよく前に飛び出せる。
まさにブレストのキックそのもの。この「力の移動」、気持ちいいでしょ。
ほら、もう一度映像を見れば、さっきまで見えなかった動きが手に取るように見える。気持ち良〜く蹴ってる僕の気持ちさえ、見えるでしょ?
トップ選手のレース映像なら、とてつもなく強くバックしてキックを打ち込んでるのが見えるから、そこを盗む。
少年よ、水泳にはさ、君たちの知らない快感が満ち満ちている。
この快感を知らずに水泳を辞めちゃうなんて、もったいないぞ。
produced by yamato bear. 2021.05.12
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