弁理士の年収の現実と高収入を目指す稼ぎ方
弁理士の年収の現実と高収入を目指す稼ぎ方からhttps://www.mayaaaaasama.com/entry/2019/06/17/212443の続きです。
なお、本記事は今後加筆する予定であり、加筆に伴い、値段も上げていく予定ですのでお早目のご購入をおすすめします。現在期間限定で1,500円ですが1月20日以降は2,000円に値上げします。内容の追加に伴い2,500円に値上げしました。
1.弁理士の年収を稼ぐ仕組み
特許事務所の場合、弁理士の年収が決まる仕組みは以下のとおりです。
年収=年間売り上げ×配分率
年間売り上げ∝単価×処理件数
※ただし、成果主義をとる特許事務所の場合です。特許事務所には年功序列制のところもあることにご留意ください。
例えば、年間の売り上げが2,000万円で配分率が0.4の場合には年収は800万円となります。
配分率は特許事務所によってまちまちですが、通常0.3~0.45です。
また、年間売り上げは案件の単価と処理件数で決まります。
案件は、特許出願の代行業務と商標出願の代行業務の2つがありますが、これらの単価は全然違います。
特許出願の代行業務
※1件あたり20~50万円
商標出願の代行業務
※1件あたり約5~10万円
さらに、国内の特許出願を外国へ出願する場合もあります。
この場合、売上額は3~4倍ほどに跳ね上がります。
つまり、外国へ出願するクライアントを多く担当すればするほど売り上げは大きくなり、その結果年収も大きくなります。
このため、高収入を得るためには、外国出願が多い特許事務所へ転職することがおすすめです。
ただし、このような特許事務所は離職率が低く、なかなか求人を出しません。
また仮に求人を募集するとしても、未経験者を募集するよりも実績のある経験者を募集する傾向にあります。
そこで、まずは「きちんと指導をする」特許事務所へ転職し、そこで特許明細書の作成スキルを磨いてから外国出願が多い特許事務所へ転職することをおすすめします。
2.弁理士で稼げない人の特徴
なお、弁理士で稼げない人を嫌な意味で晒しているわけではないです。
筆者もまた稼げない弁理士でしたし、「稼げない弁理士」の特徴を晒してマウントをとろうとしたりするつもりもないです。
稼げない人の特徴を公開することでより稼ぎ方がわかると思うので公開しています。
今も年収4,000~5,000万くらい稼いでいる弁理士と比較するとまだまだの存在ですの念のため補足しておきます。
弁理士で稼げない人の特徴は以下の3つです。
①単価の安い案件を担当している
(例)1件当たり約8万円の特許出願を担当している。
②仕事の処理速度が遅い
(例)特許明細書の原稿(初稿)作成に1~2週間かかっている。
③配分率の低い特許事務所で働いている
(例)年功序列制の特許事務所で働いている。
どれかに当てはまると弁理士になってもなかなか稼げないと思います。
言い換えると、①と②と③の逆のことを全てみたせば弁理士になれば稼げます。
①単価の高い案件を担当している
②仕事の処理速度が速い
③配分率の高い特許事務所で働いている
以下、稼げない特徴をそれぞれ解説していきます。
①単価の安い案件を担当している
特許事務所の勤務弁理士の年収は以下の3つの要素で決まります。
(単価)×(処理速度)×(配分率)∝ 年収
どれか一つの要素が小さい場合には年収も小さくなります。
単価の安い案件を担当している例として以下のものがあります。
(例)1件当たり約8万円の特許出願を担当している。
(例)1件当たり約3万円の商標出願を担当している。
上記の案件について、独立開業弁理士の場合、取り分は全てなのでこれでも儲かる可能性があります。(独立弁理士で商標出願1件3万円であれば結構もうかります。)
しかし、勤務弁理士の場合、全ての売上をもらえるわけではありません。売り上げの3~4割程度です。
このため、どれだけ案件をこなしても単価の安い案件であれば稼ぐことは難しいですし、無理をしすぎると体調を崩します。
通常、特許出願の案件は1件あたり最低20万円であり、これを下回る場合には単価の安い案件を担当しているといえます。
(ただし、外国出願も想定してる場合や、自社出願の改良系であり、1日あたりでできる案件の場合は除きます。それでも15万くらいが限度だとおもいます。)
また、商標のみを担当している勤務弁理士は年収は低いです。(パートナーなどの特別な役職に就かない限り、年収600万をいくことが難しいと言われています。)
というのも商標出願は時間はかからないですが、単価がとても安いからであり、おまけにそんなに仕事もわんさか入ってこないからです。
以上より、弁理士で稼げない人の特徴の1つに「単価が安い案件ばかり担当していること」が挙げられます。
(なお、補足すると独立した場合、手取りは全て自分のものになるので単価が安い案件を担当しても稼げます。)
②仕事の処理速度が遅い
特許事務所の勤務弁理士の年収は以下の3つの要素で決まります。(大事なことなのでもう一度)
(単価)×(処理速度)×(配分率)∝ 年収
特許事務所は成果主義がほとんどなので、仕事が早ければ早いほど売り上げが大きくなり、結果として稼げます。
逆に仕事が遅いと、単価がどれだけよかったり、配分率がいい事務所で働いても売り上げが上がらないので稼ぎにくいです。
仕事が遅いケースとしては、何度も先輩弁理士からやり直しをさせられるとか、クライアントとのやり取りに時間がかかっている(打合せの方針からずれているなど)ことも含みます。
筆者ももともと仕事が遅い方でした。特許の出願原稿の作成は早いのですが、上司に見てもらって何度もやり直しをさせられて結果的に遅いというパターンが多かったです。
理由は、基本ができてなかったからです。そこで筆者は別の特許事務所へ転職し、ベテランの弁理士に徹底的に指導をしてもらって鍛えられました。
筆者の場合、ベテラン弁理士に徹底的に指導をしてもらい、1か月くらいかけて1つの特許明細書を仕上げました。丁寧にまずは質を重視することで、「どういうところを手を抜いて」「どういうところを丁寧にすべきか」がわかるので早く仕上げることができます。
この業界は、まずは質を重視して丁寧に仕事をこなし、それから量を重視してスピードをこなすことがスキルアップの近道だと思います。
③配分率の低い特許事務所で働いている
特許事務所の勤務弁理士の年収は以下の3つの要素で決まります。(大事なことなのでさらにもう一度)
(単価)×(処理速度)×(配分率)∝ 年収
※配分率=(年収)/(年間の売上)
例えば、年間の売上が2,000万円の場合。
配分率0.3➤年収は600万円
配分率0.4➤年収は800万円
配分率1.0➤年収は2,000万円
配分率は特許事務所によってまちまちですが、通常0.3~0.45と言われています。
上記の例のように、配分率が違うと売上が同じであっても年収に大きく差が開きます。
ここで配分率が低い(というか存在しない)例としては年功序列制の特許事務所があります。
年功序列制の特許事務所では売り上げと年収は比例しないので、どれだけ売り上げを上げても稼げないことに注意してください。(企業と同じです。何年もい続けてパートナーの地位ぐらいになれば年収は稼げますが…)
筆者はこのような理由も含めてやめとけと思う特許事務所に年功序列制の特許事務所を挙げています。
3.弁理士が年収1000万円ぐらいまで増やす方法
弁理士が年収1000万円ほどの稼ぎを増やす方法は以下のとおりです。
①単価の高い案件(あるいは国内の出願の単価は安いけど多くの外国へ出願する案件)をを担当すること
②案件の処理速度を高めること
③配分率の高い特許事務所に行くこと
①~③を実践すれば、20~30代前半の方でも稼げますし、年収1,000万円を越えるでしょう。
ここで、案件とは特許出願の申請業務、つまり特許明細書を書くことです。
特許明細書でも、分野やお客さんの違いによって、単価の高い案件から低い案件まで様々ありますので、高い案件を担当できるようにしましょう。
特に特許出願が外国出願する予定の案件は移行料金が発生して稼ぎやすくおすすめです。
特許明細書は、2~3日で1件くらいのペースで書けるようになれば、高収入が見込めます。
これくらいのスピードを目指せば稼げます。
未経験者の場合には、まず熟練者から丁寧に教えてもらうことで「質」を学び、基本が身についたら「スピード」重視に移行しましょう。
このやり方が効率的です。
特許出願業務(特許明細書と中間処理)だけで年収1000万円は超えることができます。
4.弁理士の実務の身につけ方
弁理士の実務で最も難しいのが特許明細書を書けることです。
何度も上司にチェックしてもらって何度もやり直しをされている方も多いのではないでしょうか。(かくいう筆者もそうでした。)
特にクレームドラフティングが難しく、範囲を広げると「意味不明」と言われ、修正すると今度は「範囲が狭すぎ」と言われて何度もやり直しをしている方も多いと思います。
筆者は、最初の特許事務所では、クレームドラフティングが上手くなく、市販の実務書を読んだり、特許文献のクレームを写経したりいろいろと勉強しましたが全然上達しませんでした。
おそらく、特許明細書(特にクレームドラフティング)は独学で習得することは難しいのではないでしょうか。(だから企業は特許事務所に依頼するのだと思いますが。)
では、どのようにして特許明細書を書けばよいのかということですが重要なことは2つあります。
⓵審査基準を完璧に理解すること
②経験豊富な先輩弁理士の書き方を真似ること
まず、審査基準を完璧に理解しましょう。
⓵物クレームに特許性があれば、物クレームに従属する製造方法クレームは特許性があるか。
②クレームに「略」を記載すると不明確と判断されるか?
これらの質問に回答できますか。
答えは審査基準に書いています。
最低、第2部~第4部までは自分で勉強しましょう。
実務書は不要です。勉強するテキストは審査基準のみでOKです。
ただし、審査基準だけを学習しても特許明細書は書けるようにはなりません。
次に必要なのは、「経験豊富な先輩弁理士の書き方を真似ること」です。
ただ書き方を真似るだけではなく、「なぜこういう表現をするのか」徹底的に分析します。
迷ったり、わからなかったら先輩弁理士に何度も質問して聞いてみましょう。
この先輩弁理士の書き方を真似るというやり方は、特許明細書に限らずあらゆる実務を身につける上で最も効率的であり、最短で能力が身につきます。
ただし、先輩弁理士の書き方を我流で真似るとなかなか上達しないので、先輩弁理士に指導をしてもらうことがおすすめです。
最初のうちは、1月あたり時間をかけて特許明細書を丁寧に書きあげていきましょう。
ここで、特許明細書の書き方は、弁理士によって書き方に好みや癖があります。
相性があるので、未経験者の方は、公開公報を読んで「こういう書き方を身につけたい。」と思ったらそこの特許事務所へ転職するとうまくいきます。
公開公報は、特許庁のサイトIPDLから検索できます。
検索項目から代理人を選択し、弁理士の名前(業務法人の場合、法人名)を入力すれば出てきます。
5.実務を身につけるために必要な期間
通常、2~5年くらいかかると思います。
マンツーマンで丁寧に指導をしてもらえれば、2年くらいで特許明細書は書けるようになりますし、指導が不十分であれば、5年くらい、あるいはそれ以上かかるでしょう。
筆者の場合、特許明細書が書けるようになって「4年」はかかりました。
最初の特許事務所(3年)で停滞し、その後別の特許事務所で所長のマンツーマン指導で1年くらいでみるみる上達しました。
マンツーマン指導で所長の書き方を徹底的に真似しました。一言一句表現を分析し、なぜこのような表現をすべきか。そこまで考えました。
毎日朝9時~夜10時くらいまでひたすら特許明細書を書いていました。(あとは中間処理。)(京都から大阪通いで片道1時間以上なのでかなりきつかったです。)
給料は安かったですし、授業料だと思って割り切っています。
そこで1年ちょい修行をすると、3年間で身につかなかった特許明細書の実務を身につけることができました。
1年ちょいの修行はかなりきつかったのですが、特許明細書を書けるようになると食いっぱぐれることもないです。(独立後はほぼ書いてないですが・・・)
そこから大手へ転職し、人生はかなり楽になっていきました。
最初の1~2年はけっこうきついですが、特許明細書が書けるようになると希少価値が高くなるので人生は楽になります。(勿論収入も上がります。)
6.弁理士が年収2000万円ぐらいまで増やす方法
弁理士が年収2000万円を目指すのであれば以下の方法が考えられます。
⓵パートナーなど特別な役職に就く
②独立開業する
③知財コンサルの副業を始める
⓵~③のどれかでないと難しいと思います。
⓵の場合勤務10年以上とか縛りがあるので、40代以上でないと厳しいと思います。
もし年収2000万円を目指すのであれば独立開業がおすすめです。
ちなみに独立開業を今やるんだったら内内より外内がおすすめですね。
あとは中小企業を顧客とするより内外案件もありそうな大学・ベンチャーが良いと思います。
一般的に一人事務所でも仕事があれば年収1500万くらいは行くと思います。しかし、それ以上となると、1人で対応できず、年収2000万円の壁をこえることは難しいと言われています。
そこでもし1人で年収2000万円をめざすなら、プログラミングで自動化・効率の悪い仕事は断る(たとえば、相談だけで依頼をしないお客の対応など)、などで効率化をはかるのがよいと思います。
7.弁理士の年収のまとめ
弁理士は成果主義の世界ですので、やればやるほど稼げます。
ただし、最初の数年間は、実務を積むのに苦労すると思います。そこは覚悟してください。
しかし、独占業務である特許明細書の作成は、単価も高めであり、他のサラリーマンや士業よりも比較的稼げやすいといえます。
ただし、未経験者の場合、最初の特許事務所の選び方が重要です。
本記事は無料で発信していますが、これは少しでも弁理士を目指す方に参考になればという思いからです。
ですのでもしあなたが本記事が参考になったと思ったら、TwitterやFacebookなどでRTや拡散していただければと幸いです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?