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和尚のつぶやき #233(その日暮らし)

その日暮らしという言葉に
どういうイメージを持たれるでしょうか
明日のこと将来のことを考えずに
生活をすること
目の前のことしか考えずに暮らすこと
計画性のない生活をすること
こんな感じでしょうか
その日暮らしをすることが
まるで堕落したような感じです
しかし先のことを考えて
計画性をもって生活できるのは
社会が豊かで安定していることが大前提です
高度成長の成功体験が染みついた結果
計画通りにうまくいくという幻想を
持ってしまったんです
バブルが崩壊してもさらに復活を夢見て
数十年が過ぎました
そこにコロナという得体のしれないものが
襲ってきてとどめを刺しました

かつての日本はその日暮らしでした
その日一日一日を大切にする暮らしでした
戦時中はその日一日の命が命そのものでした
もっと遡れば一たび飢饉が起これば
生きることが困難でした
毎年毎年当たり前に生きることは
夢のまた夢でした
いつしかそれは歴史上のことで
自分には関係のないことになりました
しかし今の日本の食料、資源、製品の
管理体制はどれも薄氷を踏むような状況です
それでもまだ切迫感はないと思います

私たちの毎日のその日暮らしは
世界のその日暮らしもままならない
人々によって支えられています
そして何よりも自分の命の保証は
一寸先にもありません
今大切なのは自分のその日の暮らしを
かけがえのない一日として大切に生き
この命を実感することです
世界の飢饉、紛争、困難を
人ごとのように傍観することは
もう許されません
その日暮らしを馬鹿にするのではなく
人間の命、生きることの神髄は
その日暮らしにあることを
改めて思いなおすことが
大切だと思います。



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