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もっとパッケージのようなチキンラーメンを作る

あれはパッケージではない


以前にパッケージのようなチキンラーメンを作ろうと思い作った。

これでいいかと満足していたのだが、後日チキンラーメンのパッケージを眺めるうちに、以前に作ったものはパッケージと全然違うだろがッ!! と突如として怒りが湧き上がり、私はパッケージのようなチキンラーメンを作り上げるため、幾度も5つ348円のチキンラーメンを買うこととなったのであった。

ルールとしてはパッケージに書いてある通りの作り方でなるべくパッケージに近いチキンラーメンを作るというもので、制限をかけることで面白さを増すといった簡易生活っぽい娯楽である。簡易生活ってなんだよって人は私の書いた本を読んでみてください。

熱入れ期

要するに卵が固まればいいんだろと考えていた時期があって、とにかく固めまくるため大量の湯で卵と丼とフタを温めまくり、パッケージのようなチキンラーメンを目指していた。

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お湯は卵に直接かける。ところが固めれば固めるほどにチキンラーメンはパッケージから離れていく。

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よくよくパッケージを見てみると、卵はそれほど固まってはいない。むしろ柔らかい雰囲気がある。

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これは違うだろうというわけで、私は方針を変えることにした。

白味湯当て期

白味湯当て期で、ほぼ間違えずにパッケージに近いチキンラーメンが完成する方法を発見することができた。

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手順を解説していこう。

1.丼と卵とフタはほどほどに温める。

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フタと丼は別に温めまくってもいいのだが、卵は温めすぎると白身が固まり割り入れるのが難しくなってしまうので注意、まあほどほどでいい。

2.チキンラーメンのたまごポケットの中心部に卵を入れる。ここでほぼ勝負が決まる。

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コツはヒビを入れた卵を、たまごポケットにまでギリギリまで近付けて、ゆっくりと割り入れることである。なるべく卵に傷を入れないよう、細心の注意が必要だ。ここで失敗してしまうと、もうなにをやってもパッケージに近いチキンラーメンにならないし、逆にいえばここで成功してしまえばパッケージに近いチキンラーメンは8割方完成である。

3.湯を白味のみに当てることを心掛けつつ、ゆっくりと入れていく。写真がなくて申し訳ないんだけどコツを書いておくと、卵と同じくとにかく高さを出さない。そして卵を壊さないように、ゆっくりと入れていく。高さを制する者はパッケージに近いチキンラーメンを制するといっても過言ではないであろう。

黄身にはお湯をかけない。かけるとこういう感じになる。

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パッケージでは、黄味をフレッシュに仕上げている。とにかく白味にだけお湯を低い位置からかけると覚えておこう。

4.最後はネギ、こちらもパッケージに近い切り方を心掛け、パッケージと同じ場所に入れる。

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しばらくはこれで満足していたのだが、もっとパッケージを追求したくなってきた。

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蒸し期

白味にお湯をかけると、どうしてもなめらかさが失なわれてしまう。さらなるなめらかさを追求するため、より保温性の高い器とフタに変更、十分に温めた上で白味にお湯をかけないスタイルを採用した。

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黄身周辺が固まらず失敗だが、本質的にはパッケージに近付いてきている。

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さらに実験を続けるうちに気付いたことがある。

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パッケージの卵は別に完全になめらかではなく、わずかな波打があるのである。

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蒸しチョイ白味湯当て期

蒸し期の手順に加え、お湯を30ccくらい残しておき、最後に白味湯当て期の如くチョビッと白味部分にお湯を回しかけるという手法である。

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これでなめらかさと波打が両立できるようになり、長い戦いであったが概ねパッケージのようなチキンラーメンが完成したということにしたい。

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私のやり方の他にも、お湯を先に8割ほど入れた後に卵を割り入れ白味にお湯をかける、セットアップしたチキンラーメンを丼ごとデカい鍋に入れ卵を自在に固めるといった手法も存在しており、検討してもいいような気もしないでもないのだが、パッケージに書かれている方法でパッケージのようなチキンラーメンを作りたいといった信念は曲げたくないところもありなかなか難しい。

それに加え孤独な闘いに疲れを感じていることも否めない。情熱を保つために、ライバルキャラなどが欲しい。パッケージのネギの数を数え麺の太さから器のサイズを割り出す知性派、流体力学の知識を活用し理想のお湯かけ可能な器具と丼を作る富豪の息子などといった強力なライバルが必要である。

ここで未来のライバルのためにアドバイスをしておくと、チキンラーメンの前に温泉卵を作れるようになっておくと、卵と温度の関係が理解できるかもしれない。あと茹で卵もいいな。卵の声を聞けるようになると、自らチキンラーメンと卵を固めることができるであろう……といったところであるが、まだまだ出来ることは多く、完全なるパッケージのようなチキンラーメンには到達していない。

しかし最近では条件反射でラーメン丼を見た時点でチキンラーメンの味が口の中で再現されるようになり、その度にチキンラーメンってチキンの味するよなって思い始めてきている。あと思い出したんだけど、若い頃の私はバリバリに固いチキンラーメンが好きで卵なんて入れずに食べていた。もうしばらくはパッケージに近いチキンラーメンは食べたくない。食べるとしても卵なしで固いのを食べたいですね。


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