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孤独のPlaylist03─山本精一のうた

Spotifyで山本精一さんのアルバム(P-Vineリリースのもの)が聴けるようになったのに最近気付いた。様々な音楽表現形態(羅針盤も想い出波止場もROVOも無い・・・)の膨大な作品の中のから、ここで聴ける近年の作品は彼のほんの一部分でしかない。ましてや山本精一さんの作品をセレクトするなんて恐れ多いと思うが、以前からベスト盤が聴けたらなという想いもずっと抱いていた。

山本精一のうたとあるように、“うた“もの中心のセレクト(インストゥルメンタルのアルバムは2作のみ)。山本さんの場合、たとえ“うた“(ことば)がなくとも“うた“かもしれない。相当流れは意識したのだけど、難しいリストとなった。一つ曲を動かすとガラリと流れが変わる。やはりいじってはいけないのだろうか・・・。いつかご本人が作るベスト盤を聴いてはみたいのだが(大竹伸朗さんの『全景」みたくなりそう・・・)。

そして先日、久しぶりの新作『CAFÉ BRAIN』がリリースされた(もちろんこの間に創作活動が止まっていた訳ではないのはコアなファンならご存知の通り)。

山本さんは表現の黒箱である。そのフィルターを通して出てきた音は歪で所々尖っているが、全体としてはとても滑らかで心地良いものだ。今作もまさに山本さんならではの“うた”のないインストゥルメンタル作品だ。ギターを中心とした様々な音がこだまする。

敷居は低くなないかもしれないが、間口が広く親しみやすさも感じられるかも、そうPOPなのだ。下記インタビューでも語られてるように、どうしても染み出すPOPさとは山本さんの持ち味というか、まさしく魅力だと思う。

名作『Crown of Fuzzy Groove』と比較する声もあるが、確かにテイストは共通するところはある。『Crown of Fuzzy Groove』はアルバム全体で一つの大きな流れがあったが、今作はもう少し断片的で次々と場面はスムーズに切り替わる。ちょっと不思議なのはアルバムの入口から入って、聴き終えるとそこは出口ではなくまた元の入り口に立ってるような感じもする。

リストで聴ける曲とこの『CAFÉ BRAIN』は感触が異なっているかもしれないが、根っこのところはやはり同じ、山本精一ならではの音楽“うた“を十分感じてもらえると思う。

このコロナ禍の状況で東京でのレコ発ライブは大幅に人数を制限する形で行われ、それを生で観ることは出来なくなってしまい残念だ。この作品がどのように披露されるのか体験してみたかった。


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