男 運

「アタシも悪かったけど あんたも散々だったわね 男運」

母には ずっとこう言われて来た

母は わたしを未婚で産んで認知はしてもらったけど ろくすっぽ養育費(っていうか生活費)は入れてもらえなかったと聞いていた
朝から晩まで働いて女手ひとつ(この言い方も死語かも知れないけど)で育ててもらった
わたしも 初婚は離婚
再婚するも またこれがどうしようもないクズなヒモ

・・・・・と 母には思われていたので
「ほんと 結婚失敗したわよね」 と哀れみをかけられていた

前夫に対しては わたしの至らないこともたくさんあったし
子ども達の実父であり 子どもを産み育てるという経験をさせてもらえたこと
離婚後も とてもよくしてもらって感謝してもしきれないほど
片や

現在の夫 と言えば
いわゆる非常識というか 社会不適合というか 人としてどうよ というか
わかりやすく言うと6年間ほぼ無収入というヒモでクズだった ので
当の本人であるわたしも 数年前までは母と同じように思っていた

       「ほんと男運 悪いね」


数年前 自分の意識の変化によって今の夫に関わる世界が激変してしまった詳細については
途方もなく長くなるので今回は書かないが
それまでは 離婚を1000回以上考えたし 気持ち悪くなるくらいケンカもした
イヤなら別れりゃいいのに
なぜか別れなかった
離婚しないことが 本当に不思議だった

その 目の前にいるクズヒモが  
なんと! 実は  神 だった!と気付かされたのが2年半ほど前
にも関わらず 2~3回のかわいい小競り合いもありつつ
つい最近 「まったくケンカしなくなって1年半経ったね」 という話になった
       
そして
「まだ そんなもんしか経ってないんだ  しかしよく ケンカ売って来てたよね」 と言われた
そう  ケンカ売ってたのは100%わたしのほうだった
勝手に思い込んで 勝手にイライラして  甚だしく面倒臭い女だった



その話は いつ頃からしていたのか・・・

キャンピングカーに乗って 日本中を走りながら生活し
行く先々で自分たちが出来ることを提供して いろんなひとと逢って
いろんな景色を観て いろんな経験をして生きたいね 
という話を彼はしていた
聞いた瞬間は 正直

「やだーーーーーー」
「窮屈そうだし不便そうだし家がいちばんいい」


と思ってたけど 何度も妄想話を聞かされると
どうも その未来にチャンネルが合ってしまい
いつしか ふたりの共通の夢になってしまっていた
しかし
なぜか 
 
具体的にそれを実行しようとはしなかった

人って だいたい"それをやるためには何が必要か"ということを最初に考える
この場合は まず
キャンピングカーを手に入れることから始めるのが妥当なスタートだろう
キャンピングカーを手に入れれば
乗っかって出掛けてしまえばいいわけだから
なのに それを本気で進める気配はなかった
あくまで 【いつか】というすごく先の未来の話であって
今じゃない と無意識に決め込んでいた


あるとき 急に わたしの中で何かが弾けて


【いつか】 って  いつ だよ

・・・という思いが心の中を占領して すぐに

【今でしょ】 に なった

キャンピングカーないけど ⇒⇒⇒ かーくん(現在のクルマ)で行けるでしょ
かーくんでふたりは厳しいでしょ ⇒⇒⇒ ひとりで行けるでしょ

へ?

ぽかーんとする自分と 
「他に何の問題がありますか?」と言わんばかりのドヤ顔で構える
もうひとりの自分がいた

ドヤ顔が勝った



そうは言っても
免許を取ってようやく半年が過ぎたところだ
クルマにはほぼ毎日乗ってはいるものの
車体に貼られた若葉マークは水戸黄門の印籠さながらに
他のドライバーは優しく車間と道を開けてくれる(違)
高速道路もまだ片手で数えられるくらいしか乗ってない しかも
喉はカラッカラ 手汗でハンドル滑るんじゃないか
っていうくらいのド緊張
そんな自分が ひとりで日本一周


怖い


怖 す ぎ る


無 謀 だ


でも


めちゃくちゃ楽しそう!!!!!!!!!
つーか

やりたい!!!!!!!!!!!!!!!
絶対やりたい!

いや


や   る   !




丸1日  自分の中だけでその決断を楽しんだ
めくるめく妄想は そのうちリアル過ぎるイメージとなり感情までもが伴った

もうじき本線になるパラレルワールドは  ありがとうまみれ  だった



恐る恐る  しかし 流れるように その話は始まった

「あのね ちょっといい?」

   「うん」

「キャンピングカーで日本全国まわるっていう話
あれが急に降りて来てさぁ」
       
   「うん」

「"いつか"って漠然と思ってるだけだけど」
「わたしたちはどんどん歳をとっていくわけで 今がいちばん若いわけだよね」

   「うん」

「"いつか"って言ってたら いつまで経っても出来ないよね」

   「うん」

「今は 子ども達もいないし 縛られるものもないし」

   「うん そうだね」

「んでね そう思ったら 今行けばいいじゃん!って思ったの!」


   「え?(意味不明)」


「かーくんで! わたし ひとりで行ってくる!」
「行ってくる!   いい?」


ほんの一瞬だけ 旦那さんは 固まった

けど すぐに


   「 い い よ 」

って 笑った



そんなに簡単に いいよ って言ってもらえたことに驚いて もう一回訊いたけど
答えは同じだった


いいんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!(実感)


そのあと 旦那さんは まるで自分が行くように楽しそうに想像して
こういうときはこうしたほうがいいね
準備はあれとこれと
新しく買わないといけないものもあるね
これがあったらすごく便利だよ  とか とか とか ずっと話してる

それを見て


このひと やっぱ ほんとスゴいな

って 思いっきり感動した


曲がりなりにも一応主婦でもあって 子ども達はいないけど
手の掛かるペット(犬1猫1)がいて 毎日のお散歩は必ず自分が行かなければならなくなるわけだし
その他 とにかく全部自分でやらなければいけなくなる
ただでさえガラーんとした無駄に広い一軒家にひとり 
会話が出来る人間もいなくなる
「仕事だからしょうがない」と思えればまだしも 妻は無料でやるっていうし(笑)
ほんと 普通なら


なんじゃそりゃ!!! ってな具合で 呆れられたり止められたり反対されてもおかしくない状況
なのに

目の前にいるこのひとは 文句のモの字も言わないどころか
楽しそうに計画に参加してくれる


「よく ふたつ返事で いいよ!って 言えるよね  ほんとスゴい」 
と 思わずつぶやくと



「俺が逆でも いいよ!  って

  喜んで出してくれるでしょ? 同じだよ」


と また笑った





今朝 旦那さんに質問してみた
この質問は
これから全国をまわりながら逢うひとにしたい質問の ひとつ だった


「人生でいちばん幸せだったのは いつだった?」


10秒くらい静かに考えたあと


「今 だね」 

と答えた

「きっと いつその質問をされても 今って答えたかも知れないけど」
「やっぱり 今がいちばん幸せだな」 

おせーて おせーて と
女は その先を つい質問してしまう(笑)


「なんで?」
「今の 何が そんなに幸せなの?」

すると 


「俺の周りには 俺のやることなすこと否定する人ばっかりだった」
「それは 心配っていう名の愛だったこともあったと思うし」
「否定されてもまぁ 結局やってたけどさ」

「こんなにも信頼してくれて俺のすべてを肯定してくれる人が目の前にいる」

「これ以上の幸せは ないよ」



まぁ ここまで言われたら目の前の妻 泣きますわな
フツーに 泣きますわな(笑)



今回  #ありがとうまみれ全国ツアー2018  
くたびれたクルマで えっちらおっちら走りながら
日本をぐるっとまわって行く先々で逢える方々とお話ししたいことは

あなたの人生が どれほど素晴らしいか
という話 です

よかったら あなたの人生に触れさせてください




わたし 男運 いいと思います


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