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あつ森は、人生。

コロナになって外に出られなくなった。

コロナになって仕事もなくなった。

コロナウイルスに感染したことで、およそ40日間、家から出ることができなかった。
(検査で3回だけ一瞬外出たよ(隔離送迎付)

食事は、親から送られてきたレトルトものや、冷凍食品。
手作りのものが食べたい時はUber eats。
どちらも玄関の前に置いてもらい、一切誰に会うこともなかった。

テレビを見る気にはなれなかった。
なんだか暗い気持ちになるから。

カーテンは閉めたままだった。
なんとなく開ける気力がなくって。

人という形を久しく見ていないと、もしかしてこのまま世界が滅んでいるのかもしれない、と急に自分がこの世界に1人取り残された気持ちになる。

そんな時は隙間から外を確認した。
ぐっちゃぐちゃの荒野になっていないことを確認して、またカーテンを閉じた。

そんな私の生活を知ってか知らずか、
ある日お見舞いが届く。

「あつまれ、どうぶつの森」

お見舞いが届いたことがとても嬉しかった。
でも正直、どうぶつの森へのモチベーションは高くなかった。

いや、相当低かった。

私はどうぶつの森シリーズをプレイしたことは一度もない。
スマブラで、しずえさんにお世話になっているくらいだ。むしろしずえさんがどうぶつの森のお方だということも理解していなかった。
ふっと湧いて出てきたしずえさんだと思っていた(どういうことよ)

だから、ポケ森が流行った時も私は完全にスルーしていた。きっとこの先プレイすることはないだろうとすら思っていた。

なぜ興味を持てなかったのか。

その理由はこうだ。

・守るべき存在も、憎むべき相手も、立ちはだかる大きな敵も、悔やまれる仲間との死に別れも、世界を救うという正義もないなんて退屈過ぎる
・ゲームの中の家具を揃えるなら、リアルで揃えたい
・ゴールがないと何を目的にやっているのかわからない

だから開封までに3日かかった。

でも貰ったのだから始めないわけにはいかない。そんな責務のような気持ちで私はSwitchの電源を入れた。

ようこそ、たぬき開発へ

どうやら私はこの度、たぬき開発さんが提供する「無人島移住パッケージプラン」というものに参加したらしい。

名前や誕生日の入力を終え、見た目を簡単に整え、チャーター便で無人島へ飛び立った。

そこは本当に何もない、緑に溢れた島だった。

私の他にもこのパッケージを申し込んだ人?が2名いた。

ネズミのピースくんと、
犬のハンナさんだ。

そしてそんな私たちの前に、不動産業も営むタヌキのドンが現れた。たぬきちさんと言うらしい。

たぬきちさんに「好きな場所に建てておいで」とテントを手渡された。

いや、私テントなんて建てたことないんだけど。
そして、どこに建てればいいのかわからんわ。
と思いながらも、やるしかないので島を歩き回ってみることにした。

そよぐ風の音
寄せては返す波の音
草むらを走ると聞こえるザクザクとした音
岩場を踏むと聞こえるコツコツとした音
木々の揺れる音

私はそっと目を閉じた。

その瞬間から、この島は私のリアルになった(はやっ)

それからの私は、毎日島のために生きた(は?)

ピースに頼られれば虫を採り、
可愛い服を見つければハンナさんに貢ぎ、
彼らのために橋を架け、
彼らのために坂を作る。

生活しやすい島を作るために、必死に金策もした。

無我夢中で虫捕りをし、
一心不乱に魚を釣った。

釣竿や虫捕り網は何度も壊れ、その度に何度も作った。

たぬきち商店の開店時間間際には、お店の周りに売る為の魚や虫が100匹以上並べてある状態が毎日続いた。

決して辛くはなかった。
島がどんどん便利になり、住民も少しずつ増え、みんなが喜んでくれる。

本当に毎日希望に満ち、私は幸せだった。

しかし、別れは突然きた。

ピースが引っ越したいと言い出したのだ。

私はよく意味がわからなかった。

この世界に来て間もないからだ。

引越しされたらピースには会えなくなるのか?
それは嫌だなという思いもよぎったが、私は選択肢を目の前に出されると、何か起こりそうなものを選んでしまう癖(へき)があり、今回もその癖を抑えることができず同意の選択肢を選んだ。

そしたら、
次の日あっさり引っ越した。

まじかよ。
いや、まじかよ。
もう会えないのか。

や、予想はできていたけれど、でもほら、あまりにも、ねえ、あっさり過ぎるよ。

そしてそのあっさりピースとは反対に私の心はひどく動揺した。

正直泣いた。

もう2度と彼は戻ってこない。

私は何てことをしてしまったのだろうか。

悔いた。

私は悔いた。

私の中に黒いものがあったから。
どこかでピースを疎ましく思っていた。
毎日毎日筋肉の話をされ、住民も感化されたのか、ほとんどみんなジャージを着用するようになり、広場でダンベルを持ってトレーニングするようになったのがなんか嫌だったのだ。

春の日差しの中、長袖ジャージで長時間筋トレ。
汗むんむん、全然オシャレじゃない。

こうなったのはピースのせい、と思っていた。
そして私は、彼にもらった沢山の衣服も、家具も、ありがとうの言葉も忘れ、好奇心と疎む気持ちで彼を引越しさせてしまったのだ。

住民のために島を発展させたい
住民のためにこれが欲しい

そんな純粋な気持ちだったはずの私は、いつからかその気持ちを忘れ、
私のために島を発展させ、
私の思い通りの島を作ることに
注力するようになっていたのだ。

毎日自分がいらない変なものを住民に渡し、
お返しをくれないとチッと心の中で舌打ちしていた。

自分都合で生活した結果、こういう住民が続出した。

ジャージ云々以前の問題だ。
ピースは何も悪くないじゃないか。

失ってから気付くなんて
なんと愚かなのだろう。
なんて未熟なのだろう。

自分の未熟さ、傲慢さを恥じた。

しかし、人生はやり直せるのだ。

そう思い、いや、そう思いたい気持ちもあり、私はそこから気持ちを改めた。

それぞれの住民に必要そうなもの、似合いそうなものをプレゼントした。
物をもらったから終わりではなく、沢山話しかけ、お誕生日はとっておきのものをプレゼントした。

その結果、住民のみんなから顔写真をプレゼントしてもらえた(親密度が高い証拠)

一度失ったであろう信頼を取り戻したのだ。

いや、取り戻したと自分で言うのはおこがましい。
信用してもらうに値する人間に少しだけ近付けた、のだ。

あつ森をやる前に抱いていた強い疑問

・守るべき存在も、憎むべき相手も、立ちはだかる大きな敵も、悔やまれる仲間との死に別れも、世界を救うという正義もないなんて退屈過ぎる
・ゲームの中の家具を揃えるなら、リアルで揃えたい
・ゴールがないと何を目的にやっているのかわからない

守るべき存在も悔やまれる仲間との別れも、己という憎むべき相手もいた。
退屈どころか、とても充実していた。
住民の誕生日にはみんなでお祝いし、たまに住民の喧嘩を目撃し不安を抱き、仲直りしている姿に安堵し、私は間違いなくここで生きているのだ。私にとってはここがリアルなのだ(2回目)

そして最も強く抱いていた疑問。

目的は何?やる意味は何?


あなたは人に
何のために生きているの?
と尋ねますか?

それが答えなのです。

尋ねること自体ナンセンスなのです。


そこに私は誕生した(ゲーム始めた)から

だから私は生きている(あつ森の世界で)のだ。

そして命があることに無意味なんてことはないし、生きることに理由なんていらないのです(個人の見解)

夢を叶えるんだ!(博物館コンプするぞ)という明確な目的を持って生きてもいいし、目的なくその日気ままにのんびりゆらゆら過ごしたっていい(時間あり過ぎて島をぐるぐる徘徊)。目的を探すという目的があったっていい。


そう、あなたの人生は
あなただけのものなのです(突然の何様)

あなたもぜひあつ森という時空に生を享けてみませんか?

そしてあなただけの生き方を見つけてみてください。


って、私は何のためにこんなに熱弁しているのか。
そっちの方がよっぽど意味わからんわ。

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