廿日市市政の振り返り

平成の5市町の合併を1つの区切りとして現在までの市政の流れを議会の答弁を中心に振り返る。

3、合併後の廿日市市のまちづくりについて。
 次に、以上のような諸情勢を踏まえた合併後のまちづくりについてであります。
 昨年11月3日の合併をもって、本市は多様な資源を備えた都市となり、広島県西部地域の新しいまちづくりの枠組みが整いました。これまで策定した合併建設計画では、いずれも一体的なまちづくりを進めるため、「連携・交流・融合」をまちづくりの基本的な考え方として、自立した広島県西部の拠点都市を目指すこととしております。
 平成18年度はそのスタートの年となりますが、新しい廿日市市のまちづくりには次の二つのことが重要となると考えております。
 一つは、「自立した拠点都市へ向けてまちづくりの方向性をしっかりと見定めること」、もう一つは、「自立した拠点都市を創るための市役所の変革」であります。
 まず、第1の「自立した拠点都市へ向けてのまちづくりの方向性について」であります。
 三つある合併建設計画の目指すまちづくりの方向性は、大別すると、「新たな活力」、「独自の魅力」、「安心・安全」、「ゆとりある生活」であります。
 「新たな活力」としては、主体的な市民活動をまちづくりのエネルギーとして結集していくとともに、交流の多様化、広域化、高速化に対応できる交通体系や情報通信ネットワークの整備・活用、多彩な地域産業の振興、育成など、新たな活力を創出するまちづくりを推進してまいります。
 「独自の魅力」としては、にぎわいある都市空間の創造や世界文化遺産の島「宮島」をはじめとする地域資源を生かした観光、交流の推進、都市の魅力の向上と拠点性の強化など、人々が集う独自の魅力を創出するまちづくりを推進してまいります。
 「安心・安全」としては、少子高齢化に対応し、保健・医療・福祉サービスの充実や子育て支援の強化を図るとともに、市民生活の安全の確保、自然災害に対応した快適で人にやさしい住環境の整備、環境と共生した社会の形成など、市民の安心・安全を創出するまちづくりを推進してまいります。
 「ゆとりある生活」としては、地域の自然や伝統ある歴史、文化を生かしながら、市民一人ひとりが多様な社会参加による出会いと触れ合いによって、個性とゆとりある市民文化を創造していくための環境づくりや生涯学習の推進など、市民のゆとりある生活を創出するまちづくりを推進してまいります。
 以上、四つのまちづくりの方向性を申し上げましたが、合併して新しい枠組みが整ったことで、市民とともに目指す本市の新しいまちづくりの指針が必要であると考えており、合併建設計画との整合を図りながら、平成21年度をスタートとする第5次総合計画の策定に平成18年度から着手いたします。
 第2は、「自立した拠点都市を創るための市役所の変革」であります。
 本年度から行政経営の質を向上させる活動に取り組んでおりますが、大きくは三つのキーワードがあると思っております。それは相互に密接な関係にある「信頼」、「対話」、そして「協働」であります。
 一つ目のキーワード「信頼」でありますが、信頼はすべての行政サービスの基本になるものであります。できるだけ情報をオープンにして、情報の共有を図るとともに、市民本位で成果を重視したスピードのあるサービスを提供することにより、市民の皆さんの市役所に対する信頼を高めてまいります。
 次に、二つ目のキーワード「対話」であります。
 市民の皆さんの多様なニーズを適切に把握し、説明責任を果たすためには、市民の皆さんの視点に立った対話が不可欠であります。ホームページや広報紙などによるわかりやすい情報提供に努めるとともに、市民の皆さんの意見を広く受けとめる仕組みづくりに取り組んでまいります。
 そして、三つ目のキーワード「協働」であります。
 これまで市役所は多くの公の仕事を担ってまいりました。しかし、生き生きとした地域社会は、その地域を一番よく知っている市民の皆さんが主役となってはじめてその実現が可能になります。何より市民の皆さんがその能力を地域のために発揮できることが自己実現や満足につながるものと考えております。市役所は市民の皆さん一人ひとりはもとより、地域コミュニティ、各種団体、NPO、企業のほか、さまざまなまちづくりのパートナーと一緒になって知恵を出し、ともに悩み、汗をかきながらまちづくりを進めていかなければなりません。このような観点から、市役所全体が多様な主体との連携と協働による取り組みを積極的に進めてまいります。
 このように市役所の変革は、市民の皆さんに信頼され、対話し、連携・協働する組織づくりにほかならないと考えております。行財政システム改革を推進するに当たっても、市民の皆さんが満足される市民本位の仕組みづくりを進めるという視点で取り組んでまいります。

2006年、平成18年度、市政運営方針、議会市長答弁より

2005年の市町村合併が完了してから初めての年度となる。平成18年度の予算編成においては、合併を踏まえての新たなまちづくりの中長期のビジョンを踏まえながら、「行政ニーズの高度・多様化や、年々厳しさが深刻化しつつある財政状況に対応しながら、自立した拠点都市の創造を積極的に推進」するため以下3点を柱とした。

  1. 分権型社会システムの創造

  2. 新たな行政需要に対する的確な対応

  3. 簡素で効率的な執行体制の確立

一つ目の分権型社会システムの創造として、これまでのまちづくりの仕組みを本質から見詰め直し、民間と行政のそれぞれあるべき姿や役割を明確にし、個性あふれる魅力的なまちづくりを総合的かつ強力に推進するため、政策の総合調整と行財政システム改革の推進を先導的に担うべき組織として、新たに分権政策部を設置をします。具体的には、分権型社会における自治体経営の刷新という視点から、新しいまちづくりの目標を設定し、目指すべき将来像とその実現に向けた方向性を示す総合計画などの戦略的プランを策定し、多様な主体との連携と協働をつくり出すための政策立案、行政サービスの品質向上や集中改革プランの策定、進行管理といった行政経営の質と量の改革などに取り組んでまいります。

2006年、平成18年度、市政運営方針、議会市長答弁より

分権政策部は現在の経営企画部にあたる。続く2、3の柱ともに現在の産業振興部ないの所管課の設置や公共施設を中心とした箱物の整理統合という現在の市政の大枠が決まったのがこの年度となる。

合併後の市政の大枠が決まった年にあわせてスタートしたのが行政改革である。市長は答弁の中で「自立した拠点都市へ向けてまちづくり」として上記の3つの柱を立てたが、もう一つの要素として「自立した拠点都市を創るための市役所の変革」を掲げていた。

本年度から行政経営の質を向上させる活動に取り組んでおりますが、大きくは三つのキーワードがあると思っております。それは相互に密接な関係にある「信頼」、「対話」、そして「協働」であります。
 一つ目のキーワード「信頼」でありますが、信頼はすべての行政サービスの基本になるものであります。できるだけ情報をオープンにして、情報の共有を図るとともに、市民本位で成果を重視したスピードのあるサービスを提供することにより、市民の皆さんの市役所に対する信頼を高めてまいります。
 次に、二つ目のキーワード「対話」であります。
 市民の皆さんの多様なニーズを適切に把握し、説明責任を果たすためには、市民の皆さんの視点に立った対話が不可欠であります。ホームページや広報紙などによるわかりやすい情報提供に努めるとともに、市民の皆さんの意見を広く受けとめる仕組みづくりに取り組んでまいります。
 そして、三つ目のキーワード「協働」であります。
 これまで市役所は多くの公の仕事を担ってまいりました。しかし、生き生きとした地域社会は、その地域を一番よく知っている市民の皆さんが主役となってはじめてその実現が可能になります。何より市民の皆さんがその能力を地域のために発揮できることが自己実現や満足につながるものと考えております。市役所は市民の皆さん一人ひとりはもとより、地域コミュニティ、各種団体、NPO、企業のほか、さまざまなまちづくりのパートナーと一緒になって知恵を出し、ともに悩み、汗をかきながらまちづくりを進めていかなければなりません。このような観点から、市役所全体が多様な主体との連携と協働による取り組みを積極的に進めてまいります。
 このように市役所の変革は、市民の皆さんに信頼され、対話し、連携・協働する組織づくりにほかならないと考えております。行財政システム改革を推進するに当たっても、市民の皆さんが満足される市民本位の仕組みづくりを進めるという視点で取り組んでまいります。

2006年、平成18年度、市政運営方針、議会市長答弁より

分権政策部の役割は、国から自立し自治を実施する主体として地域の実情に即した独自の政策を形成、実行すること、あわせて厳しい諸条件において持続的な行政を実施するための財政改革を継続すること、限られたリソースを公がおこなうべき分野に集中すると同時に様々な主体(民間企業、NPO、住民団体等)と協働してまちづくりを推進することとなる。

本市の「協働によるまちづくり基本条例」は上記の流れを踏まえて起案、施行された。

この議会答弁をした山下三郎氏は翌年の2007年をもって廿日市市長の任を終える。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?