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地方自治小景 8

オープンプロセス、オープンデータ、オープンソースを標榜して2019年から活動してきた。オープンデータとオープンソースに関しては一定の手応えを感じているのだが、オープンプロセスに関してはまだ十分ではない。

広島市役所本庁

どの様な状態であれば「オープンプロセス」が達成されていると言えるのかをまず書いておく必要があるだろう。
行政が実施する施策に対して、満場一致での賛成ということはまずない(どこかの独裁国家でもない限り)。そのため、ステークホルダー間の議論を経たうえでの合意形成が民主的な社会においては必須となる。オープンプロセスとはいつどのような理由で、だれがその意思決定をしたのか、またその過程においてステークホルダーから出された論点はなんであり、それがどのような議論を経ることで合意形成にいたったのかの軌跡が保存され、かつ公開されている状態のことを指す。
オープンプロセスに関してまず最初に責務を負うべきなのは地方議会である。

比治山交番

議会における審議の過程は確かにオープンプロセスそのものである。これでオープンプロセスとしては必要十分だと考える人もいるだろうが、わたしはこれでは不十分であると考える。なぜなら、議会に議案として持ち込まれた結果の部分はオープンだがその議案が議会に持ち込まれるまでの過程でどのような意思決定が行政内部でなされたか全く不明だからだ。これでは議案に賛成するにしろ反対するにしろ、もしくは議案の一部に修正を加えるにしても不明点が多すぎるためいったいどう正しく判断したらよいのだろうか?できるわけがない。
このように適切な判断を加えるのに十分な情報が提供されないまま賛否がとられ、結果として施策が実行されたとして、その後の施策の効果に関しての検証過程は十分にオープンであるだろうか?これも否である。事業効果の報告は確かに年度ごとに議会の決算の審議のなかでオープンにされ、議会はそれに基づいて決算を認めるかどうか議決をしている。ではあるが、この報告結果の判断はどのような過程で、誰が可否や効果測定の判定をしたのか不明である。
これでは施策の良し悪しを判断して改善しようにも改善のしようがない。やったらやりっぱなしの状態になってしまっている。

ビルの解体現場

このスタックして、よどんでしまっている構造をどうやって解決したらよいのだろうか。

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