「リトル・ガーディアンズ 第3話」

タイトル「リトル・ガーディアンズ」


字幕 御茶ノ水駅


 看板、「御茶ノ水駅」を呆然と見るハルトと、さくらと、ハーブ。その後ろで、電車のドアが閉まる。

  ハルト「御茶ノ水って。俺たちの乗ってた電車ここへ向かってたか?」

  さくら「いや、違うと思う。」

 二人はハーブを見る。ハーブは、二人の顔を見返す。

  ハーブ「いや、だってなんかピンと来たんだよ。ここがポイントだって。どこかにブレイクがあるはずさ。」

  ハルト「てことは、またなんか違う時代に飛ばされた?」

  さくら「ハルト、見て。」

 さくらが指さす先をハルトが見ると、構内売店の新聞の束だった。そこには「1995年」と日付が見えた。二人が駆け寄る。

  ハルト、さくら「えー。」

 驚いて、ハルトは新聞を手に取る。「1995年3月20日」と書かれている。ハルトとさくらは顔を見合わせる。

  売店店員「あなたたち中学生?買わないなら手に取らないでくれる。」

 不機嫌そうな店員がじろっとにらむので、二人は新聞を置きハーブのもとへ戻る。

  ハルト「いったん外へ出よう。」

 そう言って、三人は駅の階段を上がっていった。

  さくら「そういえば、ハーブ君、こんなに人がいて君浮いてるけど大丈夫なの。」

 するとハーブはすでに何事もないように歩いていた。

  ハーブ「ちょっと、慣れてなくてピョロしそうだけど何とか。」

ハーブはふらふら歩いていく。不安なため二人は両脇に並ぶ。


  駅の男子トイレの個室の前でハルトが立っている。中からハーブの嗚咽が聞こえてくる。

  ハーブ「あー、きつい。やっぱりピョロったー。」

ハルトの前を、怪訝そうなこした大人が過ぎていく。やっとハーブが出てきたので、ハルトは肩を貸しながらトイレを出る。トイレの前ではさくらがなにか思い出そうとしながら待っている。

  ハルト「お待たせ。」

 ハーブを支えながらハルトがやってくる。が、さくらはまだ何かを思い出そうとしている。

  ハルト「どうした?」

  さくら「いや、さっきの日付、なんか見覚えがあって。」

  ハルト「そう、なんか普通の日だけど。それより早く戻る方法探そうぜ。」

 その時、急に駅員があわただしく走り始め、周囲がざわめき立ち始める。

  ハルト「なんだ。急に。」

 ハルトはあたりをきょろきょろする。

  周囲の声「大変だ。」

 その声を聴いて、さくらはにわかに顔を上げる。

  さくら「いけない。すぐにここを出なきゃ。」

 さくらは、ハルトを引っ張り走り出す。ハルトはハーブを抱えているためうまく走れない。ハーブはまだグロッキーだ。


 次第に駅の中は喧騒し、それは狂乱のようになっていく。ハルトとさくらとハーブは改札へと向かうが、そこは多くの人たちが我先にと殺到している。その時、さくらに一人の男がぶつり走り去っていく。三人と同じ電車にいた顔を隠した男だ。ぶつかって弾き飛ばされたひょうしにさくらはハルトたちと離れ群衆の中に飲み込まれていく。

  ハルト「さくらー。」

  さくら「ハルト。」

 ハルトとさくらは、叫び手を伸ばが、引き離され、さくらは群衆に飲まれていく。

  ハルト「起きろ、ハーブ。やばいことになったぞ。」

 ハーブがはっと目を覚ます。

  ハーブ「ハルト、顔を隠したチェロ、あいつがブレイクだ。」

 ハーブはハルトの肩から離れたが、殺到する群衆を前にして驚愕する。

  ハーブ「どうしよう。」

  ハルト「どうしようじゃねよ。さくらが。」

 ハルトは、群衆の中に飲まれそうなさくらの手を指さす。ハーブもその先を見る。

  ハーブ「えーと、こういうときは。ああ、やばい。」

 踏ん張るように力を入れるハーブ。それを見ていたハルトが何かを思いつく。

  ハルト「飛べ、ハーブ。飛んで、さくらのとこまで行くぞ。」

  ハルトは、ハーブと肩を組む、がハーブは困った顔。

  ハーブ「僕、飛べないよ。前にも言ったじゃん。」

  ハルト「はぁ、何今このタイミングで。」

 お互いに困った顔を見合わせるハルトとハーブ。だが、この時再びハルトは閃いて、ハーブに何かを言う。


 群衆に飲まれ押しつぶされそうになっているさくら。手を伸ばし続けているがだんだんと力が抜けていく。

  さくら「ハルト。」

 さくらが、そうつぶやいたとき、突然さくらの手が握られ、群衆の中から引き揚げられた。ハルトとゴーグルをはめたハーブが猛スピードで群衆の上をまるでミサイルのように飛びながら先へ進んでいった。ハルトがさくらを抱えるようにもちあげ、ハーブとともに支えた。

  ハルト「さくら、無事か。」

  さくら「え、どうやってるのこれ?」

  ハルト「落下していっているんだ。前にハーブが言ってたんだ、引っ張る力は色ンなとこにあるってね。」

  さくら「落下?じゃあ、ハーブ君からしたら。」

  ハーブ「ムッソン、ムッソン、ムッソン。」

 ハーブはうわ言の様につぶやいている。三人は猛スピードで駅の外へ出っていた。駅の外で、先ほどの顔を隠した男が逃げているのを見つけた。三人は猛スピードで駅の外へ出っていた。駅の外で、先ほどの顔を隠した男が逃げているのを見つけた。

  ハーブ「あ、あいつが、ブ、ブレイクだ。」

 ハーブは声が震えている。指した指も震えている。

  ハルト「ハーブ、俺をあいつにぶつけろ。」

 ハーブが顔を隠した男めがけてハルトを投げる。ハルトはそのまま、その男へ飛び蹴りをくらわす。顔を隠した男は気絶する。

  ハルト「いい大人が、中学生突き飛ばしてるんじゃねぇよ。」

そこへ、ハーブがさくらをゆっくり抱え降りてくる。ハーブはガタガタ震えている。

  ハーブ「ムッソーナ、ムッソーナ、ムッソーナ。」

ハルトがさくらとハーブへ駆け寄る。そして、さくらの肩を抱える。

  ハルト「助かって本当に良かった。」

  さくら「ありがとう。」

 さくらが、ハルトへ抱き着く。ハルトの顔が赤くなる。

  さくら「熱がある。大丈夫。」

 さくらがハルトから離れる。

  ハルト「大丈夫さ。」

 二人はまだ震えているハーブを見る。そして、さくらがハーブにも抱き着く。ハーブの震えが止まる。

  さくら「ありがとう、ハーブ。」

照れるハーブ。ハルトは手を上げ、ハーブにも促す。そして、ハイタッチを交わす。

  ハルト「ありがとな、相棒。」

 きょとんとしハーブ、だが次第にその意味を理解し満面の笑みになる。


  警察「おーい、君たち。その男から離れなさい。」

 警察官が数名やってくる。

  3人「あ。」

 警察官が気絶した顔を隠した男のそばに来ると、3人はいなくなっていた。警察官は男へ手錠をかける。

  警察官「あれ、おかしいな、中学生くらいの子がいたきがしたが。」 


字幕 現在


  御茶ノ水駅前のベンチ、ハルトとさくらとハーブがどっと疲れたように座ってる。

  3人「あー、疲れた。」

  ハルト「結局、病院間に合わねえし。」

  さくら「生きて帰れたからいいでしょ。」

 その時、ハーブの腹が鳴る。ハルトとさくらは笑い出す。

  ハルト「お前も、腹減るのかよ。」

  ハーブ「だから、僕は君たちと同じオレンジだって。」

  さくら「6次元もそこは一緒かー。」

 ハルトがベンチから立ち上がる。

  ハルト「よし、じゃあこれからみんなでマックでも行こうぜ。」

  ハーブ「マック?」

  さくら「ハルト…。」

  ハルト「行こうぜ。」


  マックの店内、ハルトとさくらとハーブが同じテーブルにハンバーガーを食べている。ハーブが初めて食べるハンバーガーに感動し興奮している。周囲は、それを怪訝な目で見ている。

  ハルト「いい加減黙って食え。」

 ハルトがハーブに怒って、そうつっかてもハーブの興奮は止まらずやかましい。それをさくらは、笑いながら見ている。

  さくら「私も、これでドルークでいい?」

 さくらが両手を上げ手のひらを二人へ向ける。するとハルトとハーブが止まる。そして、二人は顔を見合わせる。

  ハルト、ハーブ「ライ。」

ハルトとハーブとさくらは3人でハイタッチをする。


  と、突然ハーブが上の空を見る。

  ハルト「どうした、ハーブ。」

 ハルトとさくらは、そんなハーブを心配そうに見る。

  ハーブ「やばい。」

  ハルト「やばい、なにが?」

  ハーブ「さくらちゃん。」

  さくら「え、あたし。」

  ハルト「さくらがどうした?」

  ハーブ「あの時、さくらちゃんを助けたのは駄目だったんだ。さくらちゃんがブレイクになっちゃった。」

  ハルト、さくら「え。」

 ハーブが真っ青な顔で、ハルトとさくらを見つめる。


第3話 終了

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