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無個性の芸人なんて価値がないわけですよ

質問箱に届いた質問に長文で返したい時にnoteで答えております。
今回の質問は【個性ってどう作っていますか?】です。

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山﨑仕事人への質問箱はこちら↓
https://peing.net/ja/yamashigo
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まず大事な大前提ですが、今回は人間としての個性ではなくあくまで芸人としての個性の話をします。
その点はご注意ください。
そしてもっと大事な大前提ですが、山﨑仕事人という芸人はかなり個性の薄い芸人です。
なので以下の記事は上から目線で偉そうに語っているわけではなく、無個性の芸人が16年の芸歴の中で試行錯誤しながらようやく掴んだ藁のようなものを振り回しているだけですのでそれを念頭に置いて読んでやってください。

芸人にとって個性というのは非常に重要なもので、多少極端な言い方をすればそれが全てといっても過言ではありません。
この場合の個性とは所謂分かりやすい『○○キャラ』みたいな意味ではなく『この人ならでは』みたいな意味です。
『同じボケでもこの芸人が言うから面白い』とか、『このネタは文字にしたら何も面白くないけどこの芸人がやってたら笑える』とか、替えが効かない唯一無二であることが芸人の個性であり価値なんだと思います。

そんな芸人にとって大事な大事な個性ですが、そもそも質問にあるように『作れる』ものなのかと言えばYESです。
正確にはゼロから『作る』ではなく、自分の中にある個性を『見つけて』そして『伸ばす』という感じでしょうか。
何もしなくても最初から個性バリバリの天才芸人は別として、その他大勢の凡才芸人はこの『見つける』『伸ばす』の作業が必須になります。

兎にも角にもまずは自分の個性を『見つける』ことです。
芸人としての個性というのは自分が「人からどう見えているか」に尽きると思います。
他人の目から真面目な人に見えていれば真面目な発言がハマるし、チャラい人に見えていればチャラい発言がハマる、凄く単純に言えばそういうことです。
しかしこんな単純なことがまぁ~難しい。
自分のことを客観視するのは非常に難しく、自分のことを分かってる人なんてほぼいません。
ましてや芸人としての自分のことなんて分かるわけもなく、もし分かっていたらその芸人は早いうちにさっさと売れているでしょう。

じゃあどうやって『見つける』のかと言えばそれはもうお客様の反応です。
舞台に立ってネタやトークやゲームをしていると思わぬ箇所で自分の意図しない爆笑が起きることがあります。
ここです。
ここが自分の個性なんです。
小笑い中笑いならともかく爆笑を起こすのは簡単ではありません。
その時の発言や行動と自分の個性が合致して初めて爆笑が起きるんです。
つまり、この爆笑が起きた時に「今どこが何故ハマったのか」を分析することで自分の個性を『見つける』ことができます。
そして『見つける』ことができて初めてそれを『伸ばす』作業に移れるわけです。

『伸ばす』のはただただ地道な努力になります。
『見つけた』と言ってもそれが正解かどうかは分からないのであとは実践による実験しかないわけです。
例えば自分の個性は「真面目さ」だと思っても、実際やってみたら全然違うかもしれません。
その時は分析やり直しです。
もし概ねの方向性は「真面目さ」で合っていたとしても、厳密には「誠実さ」かもしれませんし「熱血さ」かもしれませんし「不器用さ」かもしれませんし或いはその複数かもしれません。
少しずつ微調整が必要です。
試してみて、間違っていたらまた検証し直す。
トライアンドエラー、トライアンドエラー、トライアンドエラー、トライアンドエラー、です。
上手く方向性が合っていたとしても急激に伸びるわけではないので、やって、やって、やって、やって、やって、筋トレのように鍛えて体に馴染ませていくしかありません。

そんなこんなで『作る』のが芸人の個性だと僕は考えております。

しかし『作った』個性も常に微調整を続けなければいけません。
放っておいたら駄目になります。
何故なら先にも書いたように芸人の個性は「人からどう見えているか」であり、それは年齢や環境で日々変化していくからです。
ずっと同じことをやり続けている芸人が以前すごくウケていたのに全くウケなくなることがありますが、それは個性をアップデートができていないからでしょう。
個性は一所に留まってくれないのです。

個性、難しいですね。
難しいですね、個性。

※以下は僕自身の個性について書き綴った蛇足駄文です。

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