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240601_記述003:IE-NIWAについて①

今日は先日京都で開催しましたIE-NIWA_vol.5について書いてみようと思います。この話題の時にどこから書いていこうか迷うところがありますが時々出てくる話題かもしれませんので断片的にではありますが、順を追って書いていこうかと思います。


第1回目のIE-NIWA_vol.1は2022年の6月に開催をしています。それ以降は年に2回の春秋と開催しているので今回は3年目の春開催でIE-NIWA5回目となります。そもそもIE-NIWAを始めた当初は、特に深い企みもなく、とんでもなく住宅街にある自宅兼アトリエの場所を展示的に開放してみるとどうなるのかという実験からスタートしました。

まずはその舞台となる庭づくりからがIE-NIWAのはじまりです。

2020年の夏に引っ越してきた今の家には小さな庭があり、何か創作ができそうな気持ち良さそうな空間が広がっていました。そんな何かが作れそうということが引っ越しを決めたキッカケになったような気がします。
とはいえ当初は、賃貸で借りた家の小さな庭はまったく手が入れられておらず、残置物が大量に残っていて隣の半分野良猫のタマが出入りしていて、ほとんど空き地状態でした。家に対して庭は、段々状に下がっていて1段2段と降りてほんの少しだけ放置された土が在るという状況。さらに下の段は隣地で6mほど下がった崖のような敷地になっています。この崖を支える擁壁の上には落下防止の4段程のコンクリートブロックが立ち上がっているだけで初めてその場に立つ人は少し足が竦むような粗い作りです。コンクリートブロックの上端はダンゴムシたちのせいか風化が進んで欠け落ちていてボロ家感をより感じさせるような雰囲気。せっかく自分が空間設計の仕事をしているということもあって、庭も楽しんで活用したく、物件的にもより良い方向で手を加えられたら良いなと思って大家さんに相談してみました。
ちなみに今借りているこの家は管理会社なるものが入っておらず、大家さんと直接やり取りさせてもらえることで気軽にいろんな相談をさせてもらえるという形態を取っておられます。大家さんが不動産業界にも詳しいプロだからこそできる管理方法で貸主借主の信頼関係がより大切になってくるのです。
話を戻すと、大家さんに庭の改修を相談すると快く受け入れて頂き、それならば不動産価値が高まる方法での改修ができないかと計画を一緒に考え始めました。

この物件は70年近く前に鉄道会社が開発したエリアでおそらくその当初から建っている物件です。かなり傾斜の強い地形を造成した土地なだけにこのような段々状の庭が出来上がったのですね。古くからある建物なのでお隣の家との境界も曖昧で、さらには空き家期間も長かったようで隣家の半野良猫のタマも自分のテリトリーとしてこの庭を認識していたようです。タマは私たちが引っ越してくる前からここを住処としていたのでどんな対策をしてもうちの庭には入ってきます。猫なので小さな隙間ももちろんスルリ。まあ個人的には別にいいわなという感じでタマにもよく会っていました。
小さな庭の改修にはその曖昧な境界線をしっかり整えることも必要でした。庭を縁取るような意味でも境界塀を作ることにしました。車両の入れない入り組んだ場所に塀を作るのは大変でしたが、これも庭を作るのに必要なモノ。せっかくならばとあんまり世の中に無さそうな塀の作り方で作ってみることに。足元の基礎はコンクリート、塀の下地は木、塀の仕上げにはテント生地を使ってみることにしました。テント生地の柔らかなラフさとテクスチャーの鈍い反射が庭を照らしてくれることを期待して。鈍い金色のテント塀。(塀が完成したタイミングで隣のタマは死んでしまったようで悲しい気持ちを忘れぬように今も遺影のようにうちのガラスにはタマの絵が描かれています。)
それから先ほどの欠け落ちたコンクリートブロックも補修し塗装をして庭の縁取りに貢献してもらいました。畑をするために土部分を拡張して、畑の緑との補色関係で赤色ベースの塗装を。
と、庭の改修の説明をしてしまいましたが、これもIE-NIWAをする大事なきっかけ。

まだあります。新しく作った部分だけが庭づくりではありません。もともとの残置物がたくさんあったのでその片付けも庭づくりの一部です。もちろん普通に考えてみると残置物は廃棄したい。ただ、自分たちのものでは無いものを自分たちでお金を払うのは嫌だったのでこれも庭づくりの一部分として資材化してみようという方向転換です。ポジティブに考えてみると整理整頓さえすれば残置物もゴミではなくなり、庭の要素となります。庭には自然石をある場所から持ってきて、あるいはそこにある自然石を動かして空間構成することによって自然石から景石になるという意味的転換があります。この作庭的な思考概念を借りてみることで都合のよい変換をしたというだけなのです。こういった思考とモノに対する寛容さを持つことも庭のとても良いところですね。

と、これでそろそろ庭ができました。舞台が整いました。
さてこれですぐにIE-NIWAができるというわけでもないのです。
実はいろんな材料があったのです。
続きは明日に。

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