禁則

【禁則(きんそく)】
 日本語表記において、行末または行頭にくることを禁止する文字(禁則文字)の処理を定めたルールのこと。出版社によって細かい違いがあるので、編集、校正などの仕事を受けるときは注意を要する。

 多くの出版社に共通しているのは、行頭の句読点。ただしその処理を「ぶら下げ(版面外に出す)」「追い出し(ひとつ前の文字ごと次行に送る)」「追い込み(行内のアキ調節で版面内に収める)」のどれにするかはケースバイケースで、その経験則は各社まちまちであったりする。

 踊り字(々、〃、ゝ、ゞ、ヽ、ヾ、)も行頭の禁則文字として一般的だが、経験の浅い編集者、校正者だと無視するケースがあって見苦しい。踊り字が行頭に来るときは、踊り字ではなく正字に直すというルールもある。

 ワープロソフトやブラウザ、一部の電子書籍の禁則処理は、出版におけるそれとは異なる場合が多い。行頭の拗促音や二倍リーダ(……)、二倍ダーシ(--)の分割禁止、括弧類の処理などに古来からの禁則処理と異なるルールが散見される。欧文の組版ルールを転用しているためかと思われる。このため、電子書籍のビュアーで活字の本を読むと、版面が整っておらず見苦しさを感じることがままある。

 一般の人が教わる禁則は、小学校の作文における原稿用紙の使い方程度であり、それは出版界のルールとは異なる。In Designのような組版ソフトに触れてみると、日本語組版における多彩な禁則のあり方がよくわかる。


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