意識をめぐって迷う冒険(1)

仕事に意識を集中していたら、あっという間に一ヶ月が過ぎさろうとしている。その間に、思索が積み重なり、言語化が進んだかといえばそうではない。ただただ、目の前の仕事に全力投球だった。

ふと、落ち着きを取り戻して、手にとった本が『意識をめぐる冒険』だ。

タイトルは『羊をめぐる冒険』のオマージュだ。冒頭にも、村上春樹が言及されている。

私たちのなかには、空っぽの部屋がいくつかある。そのほとんどは一度も足を踏み入れたことがない部屋だ。忘れられた部屋とも言える。ときに私たちは、部屋へと通じる廊下を見つけることがある。

そういえば、この1ヶ月、この忘れた部屋、空っぽの部屋、踏み入れたことがない部屋のことをまったく意識していなかった。眼前の事象に必死に取り組んでいたのだ。そういったときは、部屋へと通じる廊下は見つけることはできない。しかし、改めて落ち着きを取り戻して、部屋を探そうとすると、新たなルートが開かれていることに気がつく。

そして、そのルートは忘れられた部屋と今、現実世界で必死に取り組んでいることを自然とつないでくれるのだ。その道は今と過去をつなぎ、未知と既知をつなぎ、意識と無意識をつなぐ。

そう、この一ヶ月の間、私の無意識は迷っていたのだと思う。迷うことはまったく悪いことではない。現代では、希少なことである。そう思えたのは、ソルニットの本を紹介してもらったからだ。



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