#IPAC参加によせてのメッセージ/山尾志桜里

IPACリリースにあたってのコメント

                                    山尾志桜里

 人間の自由は行使をしなければ、その分だけ縮んでいくものです。
 そして、その人間の自由を「基本的人権」と呼び、この基本的人権は「普遍的」だと考えるなら、本来その自由に国境はありません。
 世界のどこかの国で自由が縮めば、世界全体の自由が縮みます。
 だから、私は、リスクを冒して自由を行使し続ける芸術家や人権活動家を応援します。そして今、想像を絶するリスクを背負って自由を維持するために闘う香港市民を応援します。彼らが守ろうとしている自由は、彼らの自由ではなく、私たちの自由だということを、日本の国民と世界に知らせたいのです。

 この人間の自由を守るために、国家を創設し、そのルールを定めたものが法です。
 その法の制定手続きや制定内容が、国家によって異なることは当然のことです。しかし、いかなる国家であれ、国家間の約束は守らなければならないし、普遍的な基本的人権は保障されなければなりません。
 また、国家主権を主張し他国からの内政干渉を拒絶すること自体は自然なことですが、そうであればなおのこと、自国の法を制定する際には自国民の実質的な関与を担保すべきです。
 香港をめぐる中国の近時のふるまいは、中英連合声明に反し、基本的人権の保障を蔑ろにするものです。そして、今回全人代で採択された「国家安全法」に対しては、さらに香港市民の人権保障レベルを低下させる懸念が持たれており、それにも関わらず香港市民の関与が担保されていません。

 国家は、国民の自由を守る最強の砦であるべきですが、ときに国民の自由の最大の敵にもなります。それは、第二次世界大戦時の日本も含めた世界の歴史が教えてくれることです。
 だからこそ、世界中のどこかの国や地域で、市民が自身の属する国家に対し勇気をもって自由を求める声をあげるとき、その戦いを孤独な戦いにしてはいけません。私たちは、国際的な連帯のもとで、彼らをサポートし、各自が課せられた役割を果たしましょう。彼らは、世界のどこかで、私たちの自由のために闘っているのですから。

 スタートしたIPAC(対中政策に関する列国議会連盟)の共同代表として、この活動に共鳴し関心を寄せてくれる世界中の皆さんとともに、この世界がよりよい世界となるよう力を尽くします。連帯を力にかえて、基本的人権の価値を守りましょう。