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【国民投票法採決への賛成・反対を考える人に知っておいて欲しいこと】

【まずは憲法審査会の現状を知ろう】
 いま憲法審査会では、憲法改正の国民投票について、一般の選挙と同じように投票を便利にするための7つの改正項目が審議されています。たとえば、駅やショッピングモールに投票所を置けるようにしたり、海上で働く人たちも投票権を行使しやすくしたり、投票権のない子どもも大人と一緒に投票所に入れるようにするなどの改正です。
 11月26日(木)の審査会では、この7つの改正項目について、提案者に質疑をするという手続きに入りました。
 そこで、次回12月3日(木)にこの7つの改正項目が採決されるかどうかということが一部で話題になっているわけです。

【国民民主党と私はこう考えています】
 私が所属する国民民主党は、国民投票の方法について、この7つの改正項目以外にも、重要な改正項目があると考えています。たとえば、資金力がある方が有利になってはいけないので有料CMを利用した政党の運動は禁止しようとか、外国から不当な影響を受けてはいけないので外国人からは運動のための寄付を受けることを禁止しようとか、そういう提案をしています。そして、既に改正案を提出しています。
 ただ、いずれにしても7項目の改正は必要なこと、そしてCM規制や外国人寄付規制の論点は重要で今後憲法審査会で議論して解決していくべきだということ、この2点については各党とも、公の場で概ね一致しているのです。そうだとすれば、提出されて2年以上経ち議論も終わっている7項目の改正については採決に入り成立させてよいというのが、私たち国民民主党の考えであり、私の考えでもあります。
 
【不安だという方へ】
 それでも、国民投票法の採決が不安だという方へ。それぞれ「不安」の対象が違ったり、曖昧だったりすると思うので、私なりに整理してみました。
 
《今回採決される国民投票法7項目の内容が「不安」という方へ》
 たぶん、こういう方は少ないと思います。でも案外、7項目の内容を知らない方がいてもおかしくないと思うので、この機会に知ってもらえたら嬉しいです。議員にせよ学者にせよ一般の方にせよ、この内容を知った上でこの7項目自体に反対という方は私の知っている限りではほとんどいません。
 

《7項目の採決がされちゃったらCM規制などがスルーされるのではないかという「不安」の方へ》
 この「不安」は分かります。本当に国民投票法の整備が民主主義のために重要だと思っているからこそ、本質的な改正が取り残されたら困る!という不安。たしかに、前国会のように、クローズで議事録もとられない「幹事会」での約束では、不安なのも当たり前です。しかも実際、前国会の憲法審査会では、与野党の議員が、幹事会で採決の約束をしたとかしないとか、議員間で言ったとか言わないとか、証明不能国民不在の水掛け論をしているのを見て、私もこりゃ不安だと思いました。こんなやり方改善するべきだと心底思ったし、そう発言もしました。
 だから、幸い幹事会に入ることができた今国会では、クローズの場ではなくオープンな場で約束するべきだと強く言い続けてきました。そして、現に私から、11月19日の憲法審査会では自民党の新藤義孝幹事に、11月26日の憲法審査会では公明党の北側一雄幹事に質問し、傍聴人もいて中継もされている中で両者から確約をとることができました。
 つまり、7項目の改正がなされた後も、CM規制や外国人寄付規制などの実質的な論点について審査会で議論を続け、必要に応じて改正すること。このことは自民党も公明党も議事録に残る形で約束したわけです。
 なので、7項目の採決がされてしまったら、CM規制などがスルーされないのではないかという不安は相当払拭できたと思います。ちなみに辻元清美議員も11月26日に、新藤幹事に同じ質問をして同じ答えを返されていました。
 一般論としていえば、「ちゃんと議論するんですか?」「はい、きちんと議論します」「でも、信用できない!」というのでは、何のために聞いたのか分からないということになると思います。   
 
《国民投票法が整備されていくと、憲法改正国民投票ができるようになってしまうこと自体が「不安」な方へ》
 実際、こういう不安を持っている方もいると思うんですよね。そもそも憲法改正に否定的なので、国民投票法が不備な現状のままの方が安心という心理状態。それはそれで理解できるんです。これまでの日本社会では、与党側から権力の自由度を広げるような改憲案ばかり提案され、野党側から権力を統制するような改憲案が提案されてこなかったことも、その背景にあると思います。なので、私からは2点だけお伝えしたいと思います。
 一点目。そもそも参議院で数が足りないので現状では改憲発議できません。
 衆議院こそ自民党+公明党+維新で3分の2を占めていますが、参議院では自民党+公明党+維新では3分の2に達していません。しかも、この3党が一致している改憲事項が全く具体化しないなかで、「改憲勢力」と一括りにすることは合理的な分析ではありません。そういう事実をふまえると、7項目が採決されたら、自民も公明も国民との約束をぶっちぎって、CM規制の議論をスルーして、憲法改正に突き進むというような予想は余りに非現実的。そもそも数が足りなくてできないんですから。しかも本当に憲法改正したければ、国民と約束したCM規制などの議論をスルーして、自ら国民からの非難を招き、改正反対を増やすようなことはしないはずだと思いませんか。
 二つ目。憲法自体が憲法改正を認めている以上、その改正手続きの不備を整備することは、現行憲法を守るという観点からして避けては通れないことです。憲法改正に否定的な気持ちが強くても、今の憲法が要請していることに耳を塞ぐことはできない。言うまでもないかもしれませんが、これはお伝えしたいと思います。
   
【さいごに】
 憲法改正に否定的な立場の方には、安倍政権に否定的な立場の方も多いと思います。でも、「憲法に書かれていない以上、解釈は変えるもの、慣例は破るもの」というような振る舞いは、安倍政権の前にもあったのではないでしょうか。そして安倍政権で終わったでしょうか。菅政権にも引き継がれているのではないでしょうか?石破政権なら大丈夫なのでしょうか?枝野政権なら信用できるのでしょうか?玉木政権ならどうですか?「誰なら信じるのか」について国民が一致することはないし、国民が一致したときは極めて危険です。だとしたら、どの政権であっても、「書かれていないけれど大切な憲法のルール」を守らざるをえないように、「大切なことは憲法に書きこむ」改正を考えることは必要不可欠だと思うのです。憲法の価値を守るための憲法改正について、国民的議論のときです。国民民主党は、論点整理・解決策提示という政党としての役割を精一杯果たして、この国民的議論をサポートできるように頑張ります。

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