オリエンテーリングにおける選択の話

こんにちは。
あまりにも語りたがりすぎて、十数年ぶりにブログを開設しました。せっかく開設したので、今後もうまいこと活用できればと思います。それでは記念すべき開設1号記事の始まり始まり~

選択とは?

本記事のテーマとした「選択」とは何ぞや。僕は、選択とは、自分の中で論理を構築し目の前にある複数の対象の中から最もその論理に沿ったものを選び抜くことだと考えています。
今回、なぜ選択をテーマにしたかというと、オリエンテーリングはその大部分を選択するという行為で占められているからなんですね~。では、実際にオリエンテーリング中にどんな選択をしているか見ていきましょう。


ルートチョイス

まず、レッグを見たとき一番にすることといえばルートチョイスですね。ルートを考えるときって、おそらく右、真ん中、左の3種類をざっくりと見て、そこから詳細に絞り込んでいくのが定石だと考えていますが、ルートを選択する際の論理の軸といえば、「どれだけ速く・正確に目的地にたどり着けるか」ですよね。
具体的な例を挙げると、少し距離が伸びるが明瞭な道を回るか、最短距離の不整地を直進で走るかの選択の場面を想像してもらえればと思います。前者は物理的に走りやすく、スピードが出しやすいというメリットがあり、後者は直線距離が最短というメリットがあります。
ここにさらに正確に到達するためのナビゲーション負荷の要素が加わると、一般的に道走りの負荷が低く、不整地直進の負荷が高いことになります。距離・スピード・ナビゲーションなどの要素を組み合わせて、自分にとって最速で目的地に到達する方法を思いつくことがルートの選択になります。たった1つの選択をしているだけでも、めちゃめちゃ考える要素が多いし、大体のレース中にこれを10回以上はすることになるし、大概数秒から十数秒のうちにやってしまうと思うので、すごく頭使ってますよね。

チェックポイント

次に、考えたルートを実行に移す際も選択を重ねることになります。いわゆるどんな特徴物を見るかというやつです。チェックポイントの設定ですね。これはナビゲーション能力という個人の能力差も関わってきますが、等高線の詰まり(傾斜変換)、人工物(建物や舗装道含む)、明らかな植生変化は視覚的に認識しやすく使いやすいです。逆に、緩い等高線で描かれた地形や、岩や穴などの点状特徴物などは認識しにくかったり、確定に時間がかかったりするので使いづらいですね。
ここまで述べた通り、僕個人としては、特徴物を使うか使わないかを選択する際の論理の軸には、「認識しやすさ」を用います。認識できないと、ロストやミスなどのリスクが発生する危険性が上がるからです。自分がどの特徴物ならば認識できるのかという、自分の能力に対する理解度が、この選択には重要になってきます。自分にとって適切な選択をするためには、自分の能力に対する理解が不可欠だと考えます。1つのレッグでのチェックポイントの数を5個くらいにしたとしても、ルートチョイスの分も合わせると1レッグですでに6回選択をしていることになります。1レース分と考えると…無限回選択してますね。

ついでに、選択には現在の自分の状態も関与するという話もしたいと思います。例えば、ロングレース終盤に、めっちゃ登りの多い道走りルートか、距離はほどほどだが、ナビゲーション負荷が非常に高いルートのどちらかを選択するレッグが現れたとします。この状況でどんな選択をするかは、残りの体力や、その日のコンディション(これまでの走りのキレやナビゲーションがうまくいっているかなど)が関わってきます。もし、体力に余力があるなら、道走りを選ぶかもしれないし、ナビゲーションが絶好調なら、難易度の高いルートを選ぶかもしれませんね。まあ、これも先に述べた自分の能力の把握と一緒なのですが、その時々によって変動する状態の変化もモニタリングすることが大切というお話です。

最後に

「選択」の結果が必ずしもよいものとは限りません。ルートチョイスの結果、他のルートを選択した人の方が速いタイムを出していて、「あっちが正解だったか」となってしまうこともあります。「選択」によって複数の対象の中からたった1つを選び出すことは、よりよい結果に至る可能性のあったものも排除してしまうことになるかもしれません。
ですが、自分の頭で論理を組み立て、それに従って選び抜いた成果を得るというのは何物にも代えがたい経験だと僕は考えます。オリエンテーリングにおいては、選択の結果がタイムやミス率に返ってくるので、自分の選択の結果を定量的に知り、反省したり分析したりすることもできます(なんかこんな話あったな…)。オリエンティアに頭が良い人が多かったり、優秀な人が多かったりするのは、こういう「選択」を短時間で、適切に、複数回できる人が多いからなんじゃないかって思います。
また、これだけ多くの「選択」できるってことは、選択肢が多いということ、つまり、対象の自由度がそれだけ高いことも意味していると思います。自由なスポーツの代名詞であるオリエンテーリングにおける選択を、これからも楽しんでいきたいですね。

おしまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?