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【#一分小説】適音《第三話》

「小エビさん、グッバイ。」
真田さなだ黒漆くろうるしの号令により、一斉にコールタールの海に飛び込んだ。
「影響されちゃうから、影響されちゃうから、影響されちゃうから……、」とエクスキューズは虚しくマントルへと叩き落とされる。

ここでの「小エビ」とは「一円玉硬貨」のことであり、「コールタールの海」とは所謂「水」のことである。
ましてや、「エクスキューズ」とは「エクソシスト」のことであり、「マントル」とは「モンブラン」のことである。勿論この「モンブラン」は、あの「モンブラン」である。

しかし、真田黒漆は、真田黒漆である。それ以上でもそれ以下でもない。真田黒漆は真田黒漆であるという証明など誰が出来ようか。真田黒漆こそが真田黒漆であるという確証が今もって成されていないのだから、そうなのだろう。

外では相も変わらずソボロ雨が降っていた。
何気ないインテリジェンスさえも打ち砕くような強い強い一定のテンポ。
はい、真田黒漆のように。

(つづく)

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