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久遠の愛とは


流行りに乗りやがって・・・

口の悪い出だしで申し訳ありません。
葬送のフリーレンのアニメ2クール目が終わろうという頃なので、ニワカが少し書かせて頂きたく・・・。

葬送のフリーレンという漫画が流行っていますね。
原作は軽く流し読みして、アニメもチョコチョコみました。

Twitterにフリーレンのアナログ落書きを投稿したりしました。
酷い絵ですので、消しました。
元画像はスマホに入っています。

葬送のフリーレンは、大雑把に言うと今流行りのスピンオフ系です。

魔王討伐から凱旋した勇者ヒンメル、僧侶ハイター、戦士アイゼン、魔法使いフリーレン一行。
10年間の旅を終えた彼らは、50年後に流星群を一緒に見る約束をします。
ドワーフのアイゼンとエルフのフリーレンは長寿種であるため殆ど年を取りませんが、ハイターとヒンメルは普通の人間であり、再会した頃にはすっかり老け込んでいました。

再会を果たした4人。
ヒンメルはフリーレンに感謝を述べ、すぐに逝去してしまいます。
「人間の寿命は短いって知っていたのに、どうしてもっと知ろうとしなかったのだろう」
後悔の念に駆られたフリーレン。
ハイターの弟子のフェルン、アイゼンの弟子のシュタルクと共に、人間を知ろうと決意します。


フリーレンは、何かと言えばヒンメルの事を思い出してはヒンメルヒンメルと連呼します。
何故、こんなにヒンメルに執着をするのでしょう。
読者に「愛かもね…」と思わせてしまうようなエピソードが描かれています。


一言でいうと、ヒンメルはフリーレンにプロポーズをした。

フリーレンが適当に選んだ花、鏡蓮華の指輪を左手の薬指に嵌めるなどしたヒンメル。
鏡蓮華には「久遠の愛」という花言葉がありました。

くおん【久遠】
時が無窮なこと。永遠。
また、遠い昔。

半永久的な愛、という意味があるとのことで、永遠の愛を誓ったと同じことになると解釈出来ますね。

しかし、当のフリーレンは興味がない様子。
ヒンメルのナルシストな態度もバッサリ切り捨て、クールに振る舞っています。

フッている訳ではありません。
ヒンメルは本当にフリーレンに想いを寄せていたのか?
謎ですね。
あっさりとした描写ゆえ、男女の愛情なのか仲間との絆なのか判別が付かない。



フリーレンはヒンメルが微妙に気になって、執着を抱いているようです。
師匠に教えて貰った魔法がきっかけとなってフリーレンはヒンメルと出会い、10年間の旅の合間合間にヒンメルはフリーレンの魔法を褒めました。
ヒンメルは、物凄く仲間想いだったのだと想像できます。


僧侶ハイターは、フェルンの育ての親でもあります。
ハイターはフリーレンに
「褒められたことはありますか?」
と訊ね、死期が近づいた頃に
「私の心は未だ少年のよう」
「フェルンをもっと褒めて、褒めなくては」
と話しています。

昨今の褒めブームを前提に見ると、これらのハイターの態度は非常に優しい僧侶という印象を受けますね。

しかし、私はハイターが病んでいるようにしか見えないです。
恐らく、ハイターは尖った性格であり腹黒キャラだったと思われます。
それがヒンメルに会って少し変わりました。
ナンパな性格のヒンメルは、ハイターを地味に褒めまくりました。
ハイターはある日ヒンメルの性格の丸さに気付き、自分も見習おうと褒めを意識し始めたのだと思われます。

しかし、褒め初心者のハイターの褒め意識は、刃のように鋭さを残したまま。
確かにハイターは根は優しい人間です。
しかし、彼はひねくれキャラ。
褒めなくては、と強迫観念に襲われているようではまだまだです。
実は、ハイター本人が誰かに褒められたかった。
優しくされたかった。
その気持の裏返しの行動。
10年の旅の間では気付けませんでしたが、実はヒンメルの褒めは地味にハイターの心に響いていたのです。
旅が終わってからも、ずっと「褒め」に対する意識が付き纏って彼を悩ませ続けました。
褒めとはなんだろう、と考えながら年齢を重ねることとなったのです。

褒めは、ただ耳障りの良い言葉を羅列するだけでは駄目なのです。
真の意味で褒めるには、技術が必要となります。
ただ上滑りの褒め言葉を連発するだけでは、逆に嫌味となり悪口とも取られてしまうということ。
だから、安易に人を褒めないほうが良いです。
攻撃性を向けるという訳ではなく、よく考えて気の利いた褒め方をしないと、自分も相手も傷つくことになり得るよ、ということ。

ヒンメルは超絶コミュニケーション能力が高く、社交性の鬼だったと予想出来ます。
陽キャ陰キャとかそんな薄っぺらいものではなく、とにかく明るくて優しい人間だったということです。
憎まれ口を叩いてもそれほど敵が出来ない。
軽口を叩き合える仲間というのは実は貴重で、一歩間違えれば関係性に取り返しがつかない程の亀裂を生じさせることも。

この柔らかい物腰のヒンメルを見て、ハイターもフリーレンも心動かされたと思うのが適切にして自然な流れです。

それが
「人間をもっと知りたい」
と思う心。

人間と言うより、本当の意味の優しさについてです。

ヒンメルの久遠の愛

ヒンメルがフリーレンに指輪をプレゼントした理由。
それはプロポーズではありません。
普通にプロポーズと受け取られる行為ですが、フリーレンには伝わらなかったのです。

「何が良い?」
という質問の後に
「長い時間の愛」
という花言葉の花を口にした時点で、それはフリーレンがヒンメルに遠回りに告白したと思うのが自然です。
少なくともヒンメルはそう受け取って
「君がそういうのなら…」
とハッキリとは言いませんでしたが、やんわりと結婚を申し込みました。
しかし、全くそれらしい素振りを見せなかったフリーレン。
ヒンメルは
「伝わらなかったんだ。ぼくの空回りに終わった」
として、その後は言及しませんでした。
あまりしつこく迫ると、パーティの関係性に問題が発生する恐れがあるためですね。
サークルクラッシャー的な軋轢をヒンメルは阻止しました。

ナンパのお調子者に見えて実は超まともなヒンメル。
腹黒尖りすぎ生臭坊主のハイター。
堅実で仲裁役として地味に仲を取り持つアイゼン。
鈍いにも程があるフリーレン。

なんとなく良いパーティだったのでしょう。
性的なもつれを発生させないパーティ。
性行為が絡むと高確率で組織は破滅するので、魔王討伐まで果たせたということは4人はそれぞれ貞操を守りきったと見て間違いないでしょう。

そして、50年という長い年月をかけた約束まで果たすほど、仲は悪くないです。
普通、誰かすっぽかしたり逝去したりしますね。

そのくらい「性」が薄い関係性。
良いパーティです。

久遠の愛とは、仲間愛だったのでしょう。
男女間の愛だけが愛ではありません。

ちょっとふざけましたけどね。
フリーレンの心に響かなかったというのなら、仕方ありませんて。

しかし鈍いにも程があるフリーレンですが、ヒンメルが気になって仕方ない。
何かといえば
「ヒンメルが、ヒンメルが」
と言い、彼が好きだったものをやたらと気にしたり、ヒンメルの行動を真似したりします。

一言で言えば、フリーレンは「幼稚」です。
心が幼い。
無感動キャラっぽく振る舞っていますが、本当に何にも感動しなかったのです。
「ふーん」
「だから?」
「それがなに?」
1000年近く、そんな感じで生きてきたのでしょう。
エルフだから、という理由ではありません。
元々の性格です。
楽しめない。
つまらないと思う。

それは、バカなんですよ。
世の中がつまんないと思う人は、根がつまらない証拠。

生活環境は全く関係ない。
生まれ持った気質ですので。

本当に頭のよい人間というのは、退屈などという言葉を発しません。
自分の置かれた状況の大体を把握し、理解し、極力迷惑をかけないように気を使いつつ、おもしろおかしく振る舞えるように研究をします。
常に頭をフル回転させて、考えて考えて考えて最善を模索し続けているので、退屈と思う暇がないんですよ。
それがヒンメル。
ヒンメルの絡みは非常に親しみが持てたため、パーティみんなの心を懐柔出来たのでしょう。

そうでなければ、3人は喧嘩別れしていたと思われます。
影響力抜群の、コミュ強勇者だったのです。
力が足りず、勇者としての素質そのものが不十分だったとしても。

銅像を建てたのも、フリーレンへの遠回しのプロポーズだったのでしょう。
何回か、そういった「フリ」を匂わせたのです。
しかし、当のフリーレンは全く気付かず。

ヒンメルが逝去してから、初めて気付きます。
「いいやつだった」と。
それだけです。

なんとなく色々思い出してはいるのですが、思い出と自分の気持が全く合致しない。
線繋ぎが出来ないのです。
ニブニブ主人公の典型ですね。

ヒンメルの気持ち。
「プロポーズしてくれたのかな?よくわからない。さりげなく返事をしても、目立った回答がない。縁がなかったんだな」
という。
そういう「押さない」愛も、久遠に続く気持ちと言えましょう。
押さないけど、決して幼くはないです。
めちゃんこ、大人の愛。

生涯独身だったのかと推測されていますが、その辺は分かりません。
そこにケジメをつけるか?
そこまで気を使うのか?
結婚したのか婚期を逃したのか。
それは語られない方がいい気がしますね。

フリーレンは、思い出を胸に死ぬまで生き続けます。
ヒンメルの転生体と再会、なんて噂が流れていますけど、無理だと思います。

そも、フリーレンとヒンメルでは次元が全然違います。
ヒンメルは次元が高すぎる。
フリーレンは普通です。
会えないですよ。
どう考えても。
仲間としての愛は生き続けますが。
恋愛漫画にはならないですね。

フリーレンは、恐らく結婚はしないです。
ヒンメルが最初で最後のチャンスだった。
と思いますよ。


もうちょっとフリーレンが大人だったら、後悔していたでしょう。
「ヒンメルを逃すんじゃなかった」
と。
夫としては最高だったと思います。

しかし、それにすら気付けないというのがフリーレンです。

気付かないのではない。
全てを理解し、拒否している訳では無い。

気付けない。

二ブチンなのです。


勝手な考察の記事でした。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

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