(6) Deep3がメインオプションにならない理由(富永選手:シューターの強みとは?)

バスケットにおいて
ディフェンスの脅威となる動きは
基本的に、「リング方向へ向かう動き」です。
(ドライブでもカッティングでもパスでも、リングへ向かう「縦の動き」は
 DFにとって脅威になりやすい=得点につながりやすい動きです)

それとは反対に、
「リングから遠ざかる動き」はディフェンスの脅威に普通なりません。
(むしろ、DFがスティールを狙うチャンスにもなります。)

というわけで、
ガードや、フォワードや、センターは、
普通、リング方向へアタックしていくものなのですが、

例外的に、シューターだけは
リングから遠ざかる動きが脅威となりえます。
(バスケットにおいて、シューターは
 特殊な存在と個人的には思います。)

リングから遠ざかる動きに
DFがついていこうとすると、
どうしても重心が前になります。

その瞬間を狙って、
リングへ向かう「バックカット」をかますと
DFはついていけなくなります。

リングから遠ざかる動き(スリー)と、
リングの方へ向かう動き(バックカット)という、
「二つの相反する動き」を、1人のDFがケアし切るのは非常に困難です。

ですので、
シューターのアドバンテージというのは
「スリー」と「バックカット」の両方を狙えることにあると思います。

バックカットを狙わない
スリーだけのシューターは
自分の強みを最大限、発揮できてないとも言えます。


以上のように考えると、
ディープスリーは、メインオプションになりえません。
(ディープスリーの位置からではバックカットをしかけづらいからです。)

いいOFとは、複数の選択肢をもち、DFを迷わせることのできるOFです。
(DFに楽をさせないのがいいOF。)
スリーとバックカットの両方を狙える位置に、シューターは居て欲しいです。

なぜこんな記事を書いたのかというと
富永選手が「自分の武器はディープスリー」であり
「ワールドカップでもディープスリーをアピールしたい」
と述べていたのがちょっと気になったからです。
(単なるリップサービスならいいのですが。)

https://youtu.be/wDLKelc2d9M?t=265より

ネブラスカ大では、
バックカットからの得点もたくさんしていたように思いますが、

強化試合では、あまりバックカットが
見られなかったような気がします。
むしろ、ディープな位置からスリーを多く打ってる印象でした。
(本番に備えて、カッティングプレーを隠してたのかもですが)

スリーを打つことに固執し、
ディープな位置からでも打ってかまわないと思い込むと、
バックカットで相手のDFをゆさぶることができなくなります。
(単調な攻撃、相手にとっては楽な攻撃になってしまいます、)

ミドルレンジやレイアップでの得点も非常に巧みな富永選手が、
ディープスリーにこだわりすぎるのは、はっきり言って良くありません。

スリーとバックカットの両方を駆使し、
DFを縦方向に(DFの重心を前後に)ゆさぶっていくのが、
シューターならではのメインオプションであり、

ディープスリーは奥の手というか、
ここぞと言う場面でつかう、切り札的なものとして
とっておくのが望ましく思えます。

ワールドカップ本番では、
富永選手のディープスリーよりも
ネブラスカ大で見せていた
すばらしいカッティングプレーに期待したいと思います。

(ホーバスHCの暁ジャパンも、
 スリーを多用するスタイルですが、
 その裏の意味は、「カッティングゲーム(パッシングゲーム)」が
 理想ということだと思います。
 スリーの裏はバックカットです。)


ディープスリーを打つタイミングについては、
チームOFで、DFの陣形をうまく崩せず、
時間がなくなったときの最終手段として、
通常のセーフティー位置から放つなどが考えられます。
(ふつうの選手ならやけくそシュートになっちゃいますが、富永選手ならふつうにチャンスでもあり、そこで決めれば相手のダメージはデカいし、外してもそれほど痛くないから、楽に打てると思います。力むとシュートは固くなるので、のびのびと柔らかく打ってほしい。フランス戦は楽しそうでしたし、あのような感じがたぶん理想。)







ホーバスさんのバスケ(「ペイントアタック」+「スリー」でした)

https://tver.jp/episodes/epjifnwt49 より









余談

(インサイドプレーヤーの場合だと、
 ハイポストから、ガードにピックをかけに上がるふりをして、
 そこからバックカットで相手のDFの裏を取りにいくプレーがあります。)

フィンランド青 vs エストニア白

左ハイポストにいる、リトアニアの白8番が、
このあとピックをかけにいく(ふりをする)
白8の動きに遅れて、DFも上にあがろうとする。
白8のバックカットが決まる。

こうゆう、インサイドプレーヤーのバックカットを、
ホーキンソン選手や、川真田選手も
狙っていいんじゃないかと思います。
(ピックだけだとOFが単調になるので、バックカット、裏取りを混ぜる。)

(ただやはり、インサイドプレーヤーのピックにあがる動きよりも、
 シューターの上にあがる動きのほうが、脅威なように思います。)

バスケはボールを持たない時間の方が長いスポーツなので、
オフボールで良い動きかできることはとても重要です。








追記;「縦の動き」が脅威になるのは
DFのスタンスに関係します。
DFはふつう、横に足を広げるので、
横には動きやすくとも、前後には動きにくいという話です。

それゆえ、パスでサイドチェンジをするさい、
単純に横にボールを動かすだけでは、DFはあまり困りません。

対角線(斜め方向)にパスをぶん投げると
DFは前後の動きや体の反転を強いられるので、隙(死角)ができやすくなります。そこをカッティングやドライブで狙うとフリーになりやすいです。

フィンランド(白)のDFを崩す、リトアニア(緑)の対角線パス
(W杯、日本の二戦目の相手がフィンランドなので、こうゆう攻め方も有効。
 渡邊選手やホーキンソン選手が対角線パスをだせそう。
 富樫選手や河村選手は身長的に困難だろうか。)

右ウイングから左コーナーへ「対角線パス」   


右ウイングへ「対角線パス」


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