仕事サボって山登り?その3

さて、登山口に到着した私。

腕時計に目をやると
時刻は15時45分。

この時刻から登山を開始することは
かなり珍しいことです。

日帰り登山でこの時刻から
登り始めるなんてことはまずありませんし

下山途中でも
この時刻になってしまうと
ちょっと焦ります。

通常15時45分という時刻は
下山完了し、帰りの身支度をしているか
帰りの電車のホームで電車の到着を待っている頃です。

現に、登山口にいた周りの人たちは皆
帰りの身支度をしているところです。

そんな時間から
なんと私はこれから山に登ろうとしている・・・

そんな若干の心細さを感じながら
いざ登山開始!

初めは生活感が漂うアスファルトの道ですが
5分ほどですぐに
いかにも登山らしい道に突入。

すると
幾人もの下山中の人たちとすれ違い
ついには
「え?今から登るんですか?」
と言われる始末。

ふふふ、今日私はテント泊をするのさ!
と、得意げになりそのことを自信満々に話すと

その人はちょっと訝しげな表情で
「え?この山テント泊できましたっけ?」

なに!?ここはテント泊禁止なのか?
これはヤバイ!!!

あまり知られていませんが
実は、テント泊はどこでしてもいい
というわけではありません。

山の各所に「テント場」という場所があって
基本的にそこでしかテントは張れない
というルールが存在します。

これは日本全国共通のルールです。

もちろん、私が登ろうとしている丹沢山が
テント泊できないということは知っていたし
そのために山頂へと続く各所に
山小屋が立っていることも知っています。

ただ、それは比較的ユルいルールであり
厳密に守らなくてはならないものではない!

・・・と思っていました。

もしかしたら、勝手にテントを張ると
どこからともなく山の管理人みたいな人がやってきて

「ここではテント張れないよ」

などと注意されるのだろうか?

となると山小屋に泊まるしかありませんが
現金はあまり持っていません。

実は山小屋の宿泊費ってけっこう高くて
街のビジネスホテルよりも高い場合もあります。

クレジットカードは持っていますが
山小屋は基本的に現金主義。
クレジットカードなど使えません。

これはヤバイ!!
最悪、登山道からかなり外れた場所を探して
そこでこっそりテントを張るしかないか・・・

と、考えながら山頂を目指して歩いていると
また別の人に声をかけられました。

「今から登るんですか?となると山小屋ですね?
どこの山小屋に泊まるのですか?」

山小屋に泊まると嘘をついても良かったのですが
どうせなら真実を伝えた上でこの人の反応を見て
それから対策を立てようと考えました。

モヤモヤとしたままではせっかくの登山を
楽しめませんから。

「いえいえ、今日はテント泊するつもりです」

「へえー!そうなんですか!ではお気をつけて!」

あら?

案外あっさりとテント泊をしようとする私を
受け入れてくれたようです。

なーんだ!
丹沢山もやはりテント泊のルールは
ユルいのかな?あー良かった!

それに山には街灯もないもないので
19時になると相当暗くなります。

20時になると場所によっては
自分の手も見えないくらいです。

ちょっと目立たない場所にテントを張れば
他の人に見つかるはずがない!

そんなわけでなんとか心の平安を取り戻し

再び登山を楽しむことに集中したのでした。

明日に続く。

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