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歌舞伎町で蹴られた

つい先日、新宿にある吉本興業本社で撮影を行い、その流れでご飯に連れて行ってもらいました。

『とても』や『めちゃくちゃ』では表現しきれないほどの美味しい焼肉。ごちそうさまでした。


今回はその焼肉をごちそうになった直後のお話です。

焼肉屋を出て『こんな美味しい焼肉屋があったんだ』だとか、先輩の貴重な体験談を聞くことができて、こんな素晴らしい日があっていいのかと思っていました。

しかし、そう思っていたのも束の間。
事件は突然起こりました。

左足のかかと辺りに強い衝撃が襲いました。
あ、これは蹴られたな。
僕の26年の人生の経験上、左足のかかとに強い衝撃が襲った時は100%蹴られています。

時刻は26時。
場所は歌舞伎町。


まあ時間も時間だし、場所も場所だしそんなこともあるか。


ただ納得はいきません。
左足のかかとを蹴った本人に『左足のかかとを蹴るな!』と一言言ってやろう。
そう思い、振り返った瞬間です。

なんということでしょう。
怒りの感情が恐怖へと劇的に変化しました。
脳内でビフォーアフターのメロディーが流れ始めたと同時に、左足のかかとを蹴った張本人を視界に捉えました。

歌舞伎町の地面を力強く駆け抜けていく拳大の物体。

そう。
僕の左足を蹴ったのはネズミです。


こんな最悪なビフォーアフターある?
大きいネズミが左足のかかとに激突したことにより、蹴られたと錯覚したのです。

いや普通に人に蹴られるより嫌なのですが。
ネズミという生物は様々なバイ菌を保有しているため、衛生上良くありません。

看護師と保健師の資格を持つ僕が言うので間違いありません。

信じてください。 

というか、ネズミって人に激突することあるの?
ネズミって人が近付くと逃げるはずなのに。

冷静に考えてみると、あのネズミが歩きスマホをしていて注意散漫になっていたとしか考えられません。

そう考えるとやっぱ腹立たしいな。
でもこの素晴らしい1日に少しでも嫌な出来事を入れたくない。


じゃあこの出来事をポジティブに考えてみよう。
ここから先はこの出来事をポジティブに考えた結果です。



みなさん、ネズミの寿命ってご存知ですか?

どうやらネズミの寿命は2年前後らしいです。
人間と比べてだいぶ短命です。

では、その短命なネズミの中で"人間の足に激突したことのあるネズミ"はどのくらいいるのだろうか?

先ほども少し書きましたが、ネズミは人間を前にすると逃げる癖がある。

理由は二つ考えられ、人見知りであるから、もしくは自分より遥かに大きい人間を見て命の危険性を感じるからであろう。

ということは、普通のネズミは人間に激突することはない。

ただ今回は違った。
やつは左足にのかかとに激突してきたのだ。

恐らく、僕に激突したネズミは『ネズミ界史上初の体験』をしたのである。

人間の寿命を80年と仮定する。
80年も生きていれば、誰も体験したことのない出来事の一つや二つは出来ると思う。


ただ、今回のネズミの寿命は2年。
人間の2歳といえば、二語文を喋れるようになるお年頃です。

二語分というのは「りんご、食べる」とか「ママ、こっち」のように二つの単語からなる文章のことを言います。

看護師と保健師の資格を持つ僕が言うので間違いありません。

信じてください。

まだスムーズに会話することもままならないうちに、誰も体験したことがない出来事って経験できますか?

恐らくほとんどの子が出来ないと思います。


しかし、そんな短い期間しか生きることの出来ないネズミが『ネズミ界史上初の体験』をしたのです。

言い換えると"僕が"ネズミ界史上初の体験を"させてあげた"ということである。


これって誇るべきことなのでは?

ネズミは僕に感謝していると思うし、感謝すべきだと思う。

ネズミ界に新風をもたらすことが出来てよかったです。





そんなわけねぇだろ。

ネズミが衝突してきた時に感じた気持ち悪さは今も忘れません。

少し暖かくて、少し柔らかい。
まるでコンビニの肉まんが足に衝突したような感触でした。

それに靴もしばらく触れません。
その時履いていた靴は偶然にもねずみ色。
忘れたくてもその靴を見返す度に思い出してしまいます。

この機会だし新しい靴でも探しに行こうかなぁ。

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