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【取るに足らない違和感】その4

26歳の時、盲腸を拗らせて入院しました。当時は肉屋さんで働いていたので、大きな肉の塊を腰に乗せて運んたりしていましたが、中々危険な行為だったようです。わしの盲腸は慢性だったらしく、痛んだり治まったりを繰り返してきました。入院する前の1週間もそれを繰り返していましたが、ある夜、とても我慢できないほどの痛みが夜中に襲ってきてベッドでのたうちまわっていました。その時ベッドの下に落ちていた本を手に取ってみたら、それは目から血を流すマリア像の本でした。タイトルは思い出せないんですが、多分ムーブックスの何かだったと思います。そしてその写真を見た途端、フッと痛みが消えて無くなり楽になりました。(あれ、痛く無くなった)と安心した途端眠りに落ちてしまいました。そして数日後、本当にどうしようもない激痛で、仕事を早退させてもらい、西京病院へバイクで向かいました。そしてレントゲンを撮ってみてもらった結果、即手術、入院と言われました。盲腸炎が悪化して腹膜炎になりかけてきました。手術後、担当の先生に「君は自殺しようとしてたの?」と聞かれ「いいえ、何故ですか?」と聞いたら「後2〜3時間遅かったら腹膜が破裂して死んでたよ」と告げられました。そしてその後、こう続けました。「医学的にはあんまりあり得ないんだけどね、人間の体って神秘的だよね。盲腸って普通は小指の先ぐらいの大きさで、手術して取ったりするんだけど、君のは豚の腎臓(握り拳ぐらい)になってたんだよね。いつ破裂してもおかしく無いのに、何故か破裂しなかった。その理由は薄くて弾力性のある膜がベールのように包んでて破裂するのを防いでいたんだよ。いや〜不思議なこともあるもんだな」って。わしはその時確信した。あの時の血の涙のマリア様の写真!アレをみた時痛みが引いたんだ。きっとそうに違いない。マリア様が助けてくれたんだ。それを名付けて『マリアズ・バリア』と呼ぶことにした。マリア様、感謝します。こうして一度死んでたわしを呼び戻して貰った。これから後の人生は貰い物だと思った。そしてこの一年後、お世話になった肉屋さんを退職してフリーターになり、アメリカへ旅に出る事になる。その後、様々な楽しい出来事が展開しはじめるのだが、それはまた別の機会に。

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