山猫日記

三浦瑠麗。山猫総合研究所代表。代表作『21世紀の戦争と平和』、『シビリアンの戦争』。自伝的エッセイ『孤独の意味も、女であることの味わいも』、『私の考え』、近著に『日本の分断-私たちの民主主義の未来について』(文春新書)など、著作多数。

山猫日記

三浦瑠麗。山猫総合研究所代表。代表作『21世紀の戦争と平和』、『シビリアンの戦争』。自伝的エッセイ『孤独の意味も、女であることの味わいも』、『私の考え』、近著に『日本の分断-私たちの民主主義の未来について』(文春新書)など、著作多数。

最近の記事

安倍元総理暗殺をめぐる日本の政治風景(2022/07/18)

安倍元総理暗殺を経た内外の反応 安倍元総理の暗殺から10日間の時間が経ちました。安倍さんに最後にお会いしたのは暗殺が起きる4週ほど前のシンポジウムの席でした。同時代の日本政治を論説してきた身として、それほど自覚はなくとも精神にダメージを受けるものであると再認識した10日間だったというのが偽らざる気持ちです。それでも、過去の経験を振りかえれば、荒んだ心を癒してくれる一番の特効薬は「時間」でしょう。一定の時間を経て、日本社会が安倍元総理の暗殺とどのように向き合っているのか記して

    • 防衛大学校卒業式 来賓代表祝辞

      横須賀は、関東の中でも春が早いところです。本日は生憎の雨模様ですが、国家が緊急事態に直面し、それを乗り越えようとする中、今年の春の暖かさは、格別なものに感じられます。 防衛大学校を卒業し、研究科を終了される皆さまの卒業式にこうして列席し、お祝いのことばを申し上げる機会をいただいたことを、大変うれしく思います。また、ご両親ならびにご家族におかれましては、いつの間にか大人になってしまった我が子が、いよいよ陸や海、空へと旅立っていくことに、喜びや誇らしさとともに、万感胸に迫る思い

      • 3.11から10年。ゼロエミッションを考える

        3.11から10年が経ちました。あのとき私のお腹にいた子どもももうすぐ10歳です。あれから毎年、朝まで生テレビ!では3月11日を前に、震災とエネルギーについて語り合う企画を続けています。私も、7回ほど参加させていただいています。 ただ、日本では原発問題には関心が集まるものの、どうしても環境政策に対する関心が低く、活発な議論が行われない傾向にあります。先日も2月末の朝まで生テレビ!でエネルギー問題と原発問題を話し合いましたが、再エネ導入拡大に関する具体的な議論ができませんでし

        • 香港の運命

          (2019年8月2日) 本日は、香港におけるデモの問題を取り上げたいと思います。香港問題は、中国の問題を考える上で避けて通れない文脈を提供してきました。自由経済都市における自由という文脈を超えた、世界史的な意味合いについて考えたいと思います。 大型デモの背景と顛末 香港における200万人デモは、世界を驚かすものでした。香港は、人口700万人程度の街ですから、この規模のデモが行われるというのは人口の1/4近くが参加したということになります。最近でも、ロンドンにおいて、ブレク

          「やせがまん」できなくなった社会―あいちトリエンナーレ問題を考える あいちトリエンナーレ問題

          (2019年8月7日) 過去1週間ほど、愛知トリエンナーレをめぐる問題がマスコミやSNSを賑わせています。多くの識者が発言をしているところですが、極々簡単に出来事の時系列を振り返っておきましょう。 話題になったのは、「表現の不自由」と名付けられ、過去数年の間に公共の美術展から排除された展示を集めた企画展でした。その中に、慰安婦像を髣髴とさせる作品、昭和天皇の御影を焼くという作品が含まれていたことで、反発が広がります。展示に対しては、一般国民から多くの抗議があったほか、河村

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          トルコにおける”幸せ”な難民支援のかたち

          (2019年11月12日) 1年半越しのお約束を果たしにトルコへの弾丸出張に行ってまいりました。イスタンブール経由で乗り継いで、アンカラへ。 イスタンブールを以前に訪れたのは、テロが頻発した2015年より前の2013年春のことでした。それから6年半。思っていたよりもトルコは全然明るく、安全でした。トルコは成長のポテンシャルがあり、労働集約的な外食産業や加工業、製造業、建設業などがさかんな国。さまざまな問題はあれども、成長している社会特有の明るさが感じられます。 トルコは

          トルコにおける”幸せ”な難民支援のかたち