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一般質問原稿 令和6年第1回定例会2024年3月7日

通告内容
1 自治体DXの推進の取組について
(1) 調布市における自治体DX推進の意義と想定される将来像について
(2) 地方公共団体情報システムの標準化に向けた対応について
ア 現状と課題について
イ プラットフォーム、アプリケーション及びネットワークについて
ウ 業務手順の見直しや業務効率化について
エ デジタル人材の確保及び育成について
(3) マイナンバーカードの空き領域を活用したサービスの展開の可能性について
(4) 情報セキュリティー対策について
ア 情報セキュリティー対策の組織体制とCSIRTの運用状況について
イ シンクライアント環境の構築について
ウ 職員に対する訓練及び研修について

以下本文
ーーーーー
○井上耕志 議長  次に6番、山根洋平議員の質問を許します。
 6番、山根洋平議員。
   〔6 番 山根 洋平議員質問者席登壇〕

◆6番(山根洋平 議員)  皆様、こんにちは。チャレンジ調布、6番議員の山根洋平でございます。ただいま井上耕志議長より発言の許可を得ましたので、通告に従いまして一問一答方式にて質問を行います。
 本日は大きく1点ということで、自治体DXの推進の取組についてということで御質問をいたします。
 今日取り扱う内容はデジタル関係ということで、私自身のこれまでの経験ということで申し上げますと、小学校に入る前ぐらいからMSXというような端末があって、カセットを2か所差すような機械があって、手前にキーボード、奥にプリンターみたいなのが引っついている、テレビに線をつなげて、画面を見ながらコマンドラインをたたくというのをおもちゃのように扱っておりまして、それからワープロのほうに移りまして、その後に高校生になりますとデスクトップパソコンを買ってもらいまして、それはハードディスク4ギガというような時代でした。メモリも128メガバイトで、ああ、これは随分いい性能だななんて言っていたような頃のデスクトップパソコンだったと覚えております。
 ウィンドウズのOSなんかも、そのときウィンドウズ98、ミレニアムエディションと移って、大学に入る頃にはXPと、それぞれバージョンアップを重ねてまいりまして、大学ではノートパソコンを自分でアメリカから、外国で売っているものを取り寄せるというようなことで、自分でアップグレードをしながら、こういったものにも対応してきたというような状況でございます。
 まさに、生涯を振り返りますと、人生8割方、キーボードとともに生きてきているというような、それぐらいなじみがあるというような状況でして、前の職場におきましては情報セキュリティー委員会の事務局というものも業務経験としてやっておりますので、実務的にもそこそこ、それなりの経験があるものと自分の中では思っております。
 残念ながら、IT関係のスキルについては何も資格を持ち合わせておりませんので、皆様に何か最低限保障できるというものはないんですけれども、今日は、そういった個人的な関心もありながら、調布市における自治体DX推進の取組についてということでお尋ねしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 デジタルDX、デジタルトランスフォーメーションという言葉になりますけれども、これはデジタル技術を活用して生活やビジネスを変革するという概念でございます。一般企業においては、ビッグデータやAI、IoTなどのデジタル技術を活用しまして、業務プロセスの改善だけではなく、製品やサービス、ビジネスモデルそのものの変革をし、組織や企業文化、風土を改革して競争上の優位性を確立するということを意味しております。
 このデジタルトランスフォーメーションの概念につきましては、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱をされました。ストルターマン教授の定義によれば、ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でよい方向に変化させることとされています。その後、2018年12月に経済産業省が公表しましたDX推進ガイドラインでは、デジタルトランスフォーメーションを抽象的かつ世の中全般の大きな動きを示す考え方から進めて、企業が取り組むべきものと示しておりまして、これが日本でも広まってきているというものになります。
 ただし、現在のデジタルトランスフォーメーションという定義は厳密には一致しておりませんで、使い方も人や場面によって異なるという現状でございます。これはデジタルトランスフォーメーションと併せて広い意味でのデジタル化の範疇に含まれる概念として、デジタイゼーションとデジタライゼーションというものがあるためです。
 具体的に申し上げますと、デジタイゼーションとは、既存の紙のプロセスを自動化し、物質的な情報をデジタル形式に変換することで、例えば、家計簿を紙のノートでつけていたのを表計算ソフトで数式を使って自動的に計算するようにしましたというのが該当するかと思います。
 また、デジタライゼーションというのは、組織のビジネスモデル全体を一新し、クライアントやパートナーに対してサービスを提供するというよりよい方法を構築する。例えば、確定申告も皆さんされる方、多いと思いますけれども、紙で書いて窓口に出していたというのを、スマートフォンから電子申告で出すようになったというような、こういった一連の流れを指すようなものと私は理解をしております。
 一方で、デジタルトランスフォーメーション、今日の本題ですけれども、これはデジタル技術の活用によって新たな商品、サービスの提供やビジネスモデルの開発を通じて、社会制度や組織文化なども変革していく取組を指す概念でありまして、これを自治体において展開することを自治体DXと呼んでいるものと私は認識しております。
 本日は、こうした理解に立ちまして、調布市における自治体DXの推進の取組について、4つの項目から順次質問をいたします。
 まず、項目の1つ目、調布市における自治体DX推進の意義と想定される将来像についてお尋ねいたします。
 初めに、国や都の動向、そして本市の取組を整理いたしまして、自治体DX推進の目的とメリットについて私の考えを申し上げます。
 国においては2020年12月に総務省が自治体DX推進計画を策定し、2021年9月にデジタル社会形成基本法、標準化法が施行され、デジタル庁が発足いたしました。2022年6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2022、いわゆる骨太の方針2022において、自治体DX計画改定により、国の取組と歩調を合わせた地方自治体におけるデジタル化の取組を推進する旨が記載されたことを受け、最新の国の動向や自治体のデジタル人材確保に向けた課題などを整理しながら、各種計画の改定作業が進んできております。
 また、東京都においては、2020年にデジタルファースト条例を制定し、本年1月31日に、行政のデジタル化に向けた方針をまとめた、2024年度から2026年度を計画期間とする東京デジタルファースト推進第二期計画の案が公表されました。これによると、今後3年間の取組強化の方針として、都の行政手続デジタル化100%と、政策連携団体などとの重要手続のデジタル化が明記されています。あわせて、行政のデジタルサービスの質を高めるための新たな品質基準として、スピード、使いやすさ、シンプルさなど、サービスを評価する基準を設け、達成度を定期的に公表することで業務改善につなげることとされています。
 調布市においては、2023年2月に、行政のデジタル化にとどまらず、地域社会のデジタル化も見据えた調布市デジタル化総合戦略バージョン1.0、こちらが公表されまして、国が示すデジタルにより目指す社会の実現のために、デジタルの活用で一人一人の幸せを実現する地域社会という総合戦略のメインテーマを設定いたしまして、取組が進んでいるものと承知しております。
 そして、この自治体DXを推進する目的は、住民サービスの向上や経費削減、行政の透明性の明示など、よりよい行政サービスを住民に提供することになると私は認識をしております。また、この自治体DXを推進することによるメリットについては、デジタル化の推進によって業務の生産性や正確性を向上させることができるため、作業時間の短縮が図られるとともに、ヒューマンエラーの抑制を期待することもできるという点を挙げることができると考えます。
 こうしたことは、住民サービスの向上だけではなく、職員の長時間労働の抑制にもつながるということで、自治体で働く人にとっても非常に有益であると言えます。
 今後、団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者になることによって起きる、いわゆる2040年問題というものに近づく中で、自治体職員の数も減っていくことが確実視されていることから、人が関与する業務量を減らしていくことが喫緊の課題であると言えます。
 こうした社会情勢の変化を的確に捉え、住民サービスの向上を図りながら、効率的な行政経営を進めていく上でも、自治体DXの推進が非常に重要な取組であると考えております。
 調布市において自治体DXを推進することの意義と、これが実現した暁に想定される将来像について、どのようなお考えを持って取り組んでおられるのか、市の認識をお聞かせください。御答弁をお願いいたします。

○井上耕志 議長  答弁を求めます。長友市長。

◎長友貴樹 市長  自治体DX、デジタルトランスフォーメーション推進の意義と想定される将来像についてお答えします。
 社会情勢の急速な変化により、行政課題や市民ニーズは多様化、複雑化しております。こうした諸課題に迅速に対処するためにも、日進月歩で進化するデジタル技術の活用は必須であり、自治体DXの推進を図る必要があると考えております。
 その際、経済産業省のDXに関する定義の内容を正確に把握することは大変重要だと私も思っております。ただし、現時点におけるDXに対する一般的理解は、ビッグデータを対象としてAI、IoT、RPA、BI及びクラウドコンピューティングなどのデジタル技術を駆使することにより既存の製品、サービス、ビジネスモデルを変革することに意義があるという段階におおむねとどまっていると言わざるを得ません。だが、経産省の定義をよく読むと、その先の組織、プロセス、企業の文化、風土、こういうものを変革し、それをもって競争上の優位を確立するというところまで行かなきゃいかんと言っているわけですよね。ですから、それと同様のことが自治体にも求められていると。
 つまり、経産省の先ほどの定義は、あくまでも企業を念頭に置いて定義づけているわけでありますから、それを我々に置き換えて、調布市も役所全体の文化、風土を変革することにより体質転換を図って、例えば、他の自治体に先駆けて魅力ある公共サービスを提供することが可能となる段階にまで、組織を昇華させていかなければいけないと、そういうことになると思うんです。
 他方、市は現在、市民がパソコンやスマートフォンから市役所の各セクションに直接アクセスすることにより、市役所に足を運ぶことなく諸手続を完了させることができる、どこでも市役所の実現に向けて諸準備を進めています。
 近い将来、その機能が確立されれば、市民にとって時間節約のメリットが大きくなるのみならず、市役所内部にも業務の効率化により新たな時間的ゆとりが生まれてくると思われます。そして、そのゆとりを効果的に活用することにより、職員一人一人のスキルアップや専門性の向上が可能となることが期待されます。
 さらに、その時点では子育て、福祉、起業など、あらゆるテーマについての相談を市役所内で承るだけでなく、職員が自ら市民のもとへ足を運んで問題解決のためのお手伝いをする、いわゆるアクティブな姿勢を従来より強化していくことが望まれると考えます。
 DXがもたらすメリットを最大限享受した上で、市民の期待に応える新たな時代の市役所の姿を今後明確にしてまいります。

○井上耕志 議長  6番、山根洋平議員。

◆6番(山根洋平 議員)  御答弁ありがとうございました。ただいまの長友市長の御答弁からは、非常に力強い決意と、そしてメッセージが発せられたというふうに私は捉えております。
 どこでも市役所というところで言及がありましたけれども、まさに市民のライフスタイルが多様化していく中、窓口が開いている時間に市役所に行けない市民の方にとっては、このどこでも市役所を通じて、いつでも、夜でも、自分の手続ができる時間で、そういった申請などの市役所の手続ができるようになるといったことで、これは市民の利便性が非常に高まるというのと同時に、行政側にとってもチェックの手間が省けたりとか、そういったメリットも非常に大きいことになってくるかと私は理解して、非常にこれは期待しているところになります。
 また、職員が自ら市民のもとへ足を運んで問題解決をしていくというアクティブな姿勢を従来よりも強化していくということが望まれるというような言及もありましたけれども、まさに、この自治体DXを展開していくことで、窓口で今までじっと待っていると、来る、そして書く、そしてそこで対面でいろいろやるというような手続が、従来の市役所の行政手続、一般的なものだったと思うんですけれども、そういうスタティックな、じっと待っているという市役所から、職員自ら市民のもとに出かけていく、ダイナミックでアクティブな市役所へ変貌していくきっかけになるのではないかという、私もそういった理解をしております。
 こうしたデジタルとアナログのそれぞれのよさを取り入れながら、魅力ある公共サービスを提供していくということ、そういったことに向けて組織を昇華していかなければならないというようなこともあったかと思います。そういった方向性についての御認識については私も異論がございませんので、こういった理解に立った上で次の質問に移りたいと思います。
 項目の2つ目ですが、地方公共団体情報システムの標準化に向けた対応についてです。
 自治体の基幹業務システムについてですが、これまで各自治体が独自に発展させてきた結果として、大きく3つの課題を抱えているとされています。まず、個別対応の負担ということで、維持管理や制度改正時の改修などにおいて、自治体が個別対応を余儀なくされ負担が大きいということ。次に、情報システムの差異の調整が負担となり、クラウド利用が円滑に進まないということ。次に、全国への普及への難しさということで、住民サービスを向上させる最適な取組を迅速に全国へ展開させることが難しいと。こういった3つの課題を踏まえまして、自治体に対して標準化基準に適合する基幹業務システムの利用を義務づけ、このシステムについてガバメントクラウドを利用することを努力義務とする標準化法が2021年5月に成立をしたところであります。
 また、2022年1月には、基幹系20業務が標準化対象事務として政令で定められました。これには児童手当、住民基本台帳、選挙人名簿管理、固定資産税、個人住民税、法人住民税、軽自動車税、就学、健康管理、児童扶養手当、生活保護、障害者福祉、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療、国民年金などが含まれます。
 さらに2022年10月には、地方公共団体情報システム標準化基本方針が策定され、その後、2023年9月に所要の改正が行われると、そういった経過になっております。
 また、総務省が定める自治体DX推進計画の最新版によると、情報システムの標準化、共通化についての目標時期が2025年度、令和7年度とされておりまして、自治体の行政手続のオンライン化についても継続的な推進が求められております。
 そこで、調布市における情報システムの標準化への対応に向けた現状と、プラットフォーム、アプリケーション及びネットワークといったインフラ整備について伺います。
 従来、それぞれの基幹業務に合わせた専用のハードウエアに専用のソフトウエアを開発しまして、設備を自前で保有するといったオンプレミスでの開発、環境の構築がなされてきたと思います。こうした手法を取った場合は、システム開発についても基幹業務のそれぞれについて要件定義からシステムの実装、テストについて直線的に行っていくというウォーターフォール型の開発というふうに言いますけれども、こういう仕方で一般的にやられてきたものと思います。これは大規模なシステムの構築の際によく採用されるものと理解をしておりますが、制度改正に伴うプログラム修正作業等が発生した際には、時間とコストがかかるというような特徴がございます。
 最近では、データ通信に関する伝送技術の進展を受けまして、自前でハードウエアを整備せずにクラウドサーバー上に必要な容量を必要な分だけ確保する、そういった調達方法が可能となってきております。これにより、ソフトやアプリケーションについても必要な機能を後から付け足しながら新規機能に対応するといったような、アジャイル開発というふうに言いますが、こういう開発が可能となりまして、システム調達のコストが以前よりは安価にできるようになってきています。
 これは一方で、ミスと修正を繰り返しながら、付け足したときにその都度対応していくというようなことをして性能が向上していくという特徴もございます。
 私は、今後の調達の方向性としては、最初に申し上げた、オンプレミスでウォーターフォール型の開発というようなことではなくて、クラウドを用いたアジャイル型の開発になっていくというふうに認識をしておりますが、自治体DXにおいても、この流れになっていくものと捉えております。
 このプラットフォーム、アプリケーション及びネットワーク、そして現状の課題につきまして市のお考えをお聞かせください。
 さらに、業務手順の見直しや業務効率化といった面での観点につきまして、新たな業務システムを導入する際には業務や組織についても根本的な見直しを行うという考え方であるBPRの視点を持ち合わせることも重要となります。今行っている業務をそのままデジタルに乗せて業務改善というものを図るのではなく、技術の特徴を生かした新たな手法を検討し、業務手順の改革を進め、市民サービスの向上を図る必要があると考えております。
 あわせて、こうしたBPRを踏まえたデジタル人材の確保及び育成についての側面から、現在の対応状況と課題についてお尋ねいたします。御答弁をお願いいたします。

○井上耕志 議長  答弁を求めます。小柳行政経営部長。

◎小柳栄 行政経営部長  地方公共団体情報システムの標準化に向けた対応についてお答えいたします。
 まず、システム標準化の現状についてであります。
 市では現在、対象となる業務において、既存の市のシステムと、国が示す標準仕様書に準拠したシステムの機能等の違いを分析する作業を行っております。今年度末までの完了を目指しております。
 また、国では、昨年9月に改定された地方公共団体情報システム標準化基本方針に基づき、デジタル庁と所管省庁が連携して、標準仕様書の改定や共通事項の整理を行っている状況であります。
 次に、プラットフォームなどのインフラ整備についてであります。
 今回のシステム標準化において、市は、国が指定したIT基盤である、いわゆるガバメントクラウドを活用し、デジタル庁の定めた安全な専用回線を利用することを予定しております。
 次に、業務手順の見直しや業務効率化についてであります。
 標準化対象事務において、標準準拠システムの導入やガバメントクラウドを活用することで事務及び申請手続の簡素化、迅速化につながり、運用面の負担が軽減できると考えております。
 最後に、デジタル人材の確保及び育成についてであります。
 標準化への対応に当たって、市は、市長を本部長とするデジタル行政推進本部の作業部会において、ワーキンググループを組織し、外部有識者であるデジタル行政推進アドバイザー等の知見を得ながら、標準準拠システムやガバメントクラウドの知識の習得に努めております。
 あわせて、地方公共団体情報システム機構、通称J-LISや東京都のデジタルサービス局へ継続的に市の職員を派遣し、標準化に関する情報共有はもとより、DXの専門的な知見やスキルの習得につなげております。また、庁内各課の推薦を受け任命された約130名のデジタル化推進員を中心に、情報処理に関する国家資格の取得支援やJ-LIS、東京都デジタルサービス局等が実施する研修に参加をしております。
 来年度からは、GovTech東京が実施するシェアリング事業などの活用も見据え、引き続きデジタル人材の確保、育成を図ってまいります。
 以上であります。

○井上耕志 議長  6番、山根洋平議員。

◆6番(山根洋平 議員)  御答弁ありがとうございました。まとめは最後に一括して行いますので、続いて、項目の3、マイナンバーカードの空き領域を活用したサービスの展開の可能性についてお尋ねいたします。
 マイナンバーカードは、対面でもオンラインでも確実かつ安全に本人確認や本人認証ができ、デジタル社会の基盤となるものです。現在では、本人確認書類としての利用はもちろん、健康保険のオンライン資格確認や確定申告、各種証明書のコンビニ交付サービスなど、様々な場面において利活用されています。これにより住民の利便性が向上し、さらに、各種窓口業務の効率化にも寄与しています。
 今後は、マイナンバーカードと運転免許証などの各種カードとの一体化や、行政手続のオンライン、デジタル化など、利活用シーンがさらに拡大することが期待されています。
 デジタル庁が公表しています本年1月21日のマイナンバーカードの普及に関するダッシュボードというのがあるんですけども、これによりますと、マイナンバーカードの累計交付枚数は9,764万5,168枚、人口に対する交付枚数の率は77.86%となっています。
 1年前の同時期における率が59.01%、このダッシュボードで確認できる最初のデータである2022年4月3日の率が43.34%でしたので、この直近1年間で急速に普及してきたものと言えるかと思います。このような状況を踏まえますと、マイナンバーカードを活用した様々な取組を展開していけるような段階に来たのかなと思います。
 ここで、新潟県三条市の事例を紹介いたします。この三条市は、マイナンバーを活用した独自の取組で全国最多とされています。証明書のコンビニ交付だけではなく、窓口支援、図書資料の貸出し、選挙の投票入場受付、避難所の入退所受付、職員の出退勤管理など、様々なサービスが提供されています。
 例えば、窓口支援では、独自アプリを登載したマイナンバーカードを窓口で提示することで、住民票などの申請書の記載を省略できるようになっています。この取組は、手書きが難しい方々の助けになるだけではなく、複数の申請を行う際に、同じことを何度も書く手間を省くことができ、住民の利便性向上につながっています。また、記入誤りを防ぐことで、受付をする職員の負担軽減にも寄与しています。
 さらに、投票所入場受付でも独自アプリを利用しておりまして、マイナンバーカードを読み取ることで投票用紙を交付しているということのようです。カードには顔写真もついていますので、同時に本人確認もできるということになっております。期日前投票では、宣誓書がシステムから出力することができ、待ち時間の短縮につながっているとのことです。
 図書館の貸出しカードとしてもマイナンバーカードを活用しておりまして、カードアプリと図書館利用情報をひもづけて管理し、自動貸出機でもマイナンバーカードを利用できるとのことです。
 また、職員の出退勤管理にもマイナンバーカードが活用されており、本庁舎では専用のカードリーダーを用いて、そして学校や保育所などの施設でもカードリーダーを設置することで出退勤時刻の打刻システムを運用しているとのことです。
 ここまで、マイナンバーカードの活用の事例ということで、空き領域にマイナンバーカードアプリケーション登載システムを書き込むことによる窓口支援、図書資料の貸出し等々、サービスの提供を御紹介いたしましたが、調布市におけるこうしたサービスの展開の可能性について、どのようにお考えでしょうか。御見解をお聞かせください。ご答弁をお願いいたします。

○井上耕志 議長  答弁を求めます。小柳行政経営部長。

◎小柳栄 行政経営部長  マイナンバーカードの空き領域を活用したサービスの展開の可能性についてお答えいたします。
 本人の申請により交付するマイナンバーカードは、身分証明書として利用できるほか、電子証明書を活用した様々なオンライン申請の手続に活用することが可能です。
 また、カードのICチップには空き領域があり、各自治体においては条例の定めるところにより、市民の利便性の向上に資する各種サービスを提供することが可能です。
 市は、マイナンバーカードを活用したオンライン申請手続として、令和2年度から児童手当のぴったりサービスを開始し、4年度からは子育てや福祉分野において対象手続を拡大しており、これまで約2,000件の利用実績がありましたが、市独自による空き領域の活用は行っておりません。
 マイナンバーカードは、健康保険証や運転免許証との一体化といった、カード利用機会の拡大が予定されていることから、市は今後もカードに関する市民ニーズを捉えながら、オンライン申請については順次拡充を図るとともに、空き領域の活用については、既に取り組んでいる他自治体の状況などを精査しながら、今後の検討課題として調査、研究してまいります。
 以上であります。

○井上耕志 議長  6番、山根洋平議員。

◆6番(山根洋平 議員)  御答弁ありがとうございました。まとめは、まとめて最後にいたしますので、続いて、項目の4、情報セキュリティー対策についてお尋ねいたします。
 自治体の業務システムの標準化、そして共通化が進みまして、マイナンバーカードの活用が進んできたことから、情報セキュリティー対策の重要性というものが増してきていると考えます。また、近年におけるサイバー攻撃の内容が巧妙化しているという現状を考慮し、より高度なセキュリティー対策が必要になってきていると言えます。そのため、情報セキュリティー対策について、今日は3点お尋ねをいたします。
 1点目は、情報セキュリティー対策の組織体制とCSIRTの運用状況についてです。情報セキュリティー対策を組織的に確実に実施するためには、適切な組織体制の整備と一元的な情報セキュリティー対策の実施が必要です。調布市では、CISO、最高情報セキュリティ責任者を設置し、副市長がその役割を担っていると承知しております。情報セキュリティ会議の構成と組織体制について、詳細を伺います。
 また、情報セキュリティーの問題に対応する専門チームであるCSIRT、コンピューター・セキュリティー・インシデント・レスポンス・チームと言いますが、私は、その役割は消防団に似ているというふうに捉えております。消防団が火災や災害に備えて訓練を積み重ねまして、いざというときに迅速に対応できるように、CSIRTも情報セキュリティーの問題が起こるということを前提として、対応技術や経験を共有し、常日頃より準備をしていると、そういった組織になります。
 CSIRTは、情報セキュリティーの問題が発生した際の通報窓口として機能し、異常を早期に検知し、問題が大きくなる前に対策を講じます。これは、消防団が火災の初期消火や予防活動を行うということに似ているかと思います。また、CSIRTは、情報セキュリティーについての教育や意識啓発活動を行い、組織全体の情報セキュリティーレベルを向上させるという役割も担っています。これは、消防団が地域の防火意識を高めるための啓発活動を行うことに似ています。
 さらに、CSIRTは、他の組織のCSIRTと情報を共有し、相互に協力しながら、より効果的な対策を講じることが期待されています。これは、消防団が他の消防団や消防署と協力し、大規模な火災や災害に対応するということに似ています。したがって、このCSIRTは、情報セキュリティーの問題に対応するために非常に重要な組織であり、その役割と活動は、私たちがふだん日常的に目にする消防団の活動に非常に似ているというふうに言えるかと思います。このCSIRTにつきまして、運用の状況についても併せて伺います。
 2点目は、シンクライアント環境の構築についてです。
 職員の業務端末をデスクトップからノートパソコンに移行する際、その環境が問題となります。シンクライアントとは、端末自体にデータやアプリケーションを保存せず、サーバー内でほとんど全ての情報を管理するシステムのことを指します。
 例えば、今日この議場でもパワーポイントを使われた方がいらっしゃるかと思いますけれども、このパワーポイントを使用する際に、そのサーバー側でパワーポイントのアプリケーションを立ち上げて、ここの端末では、サーバーで映している画面を転送するだけ、そういった仕組みになります。
 そうすることで、この端末の中にはデータを残さないという特徴がありますので、仮にパソコンが不正アクセスやウイルスの攻撃を受けたとしても、そのデータが流出する危険性というものは極めて低くなると、そういう仕組みになります。
 一方で、このシンクライアント環境の構築については、導入コストが高くなりやすい、サーバーが停止した場合の影響が大きい、ネットワーク環境が必要になる等々の特徴もありますので、こういったデメリットを上回るメリットとして、運用管理の負荷が軽減できる、情報漏えいやマルウェア感染を防止する、事業継続性が向上する、ユーザーの利用環境を一元管理できる、サーバー管理者の負担を軽減できる、そういった様々な管理上のメリットが、先ほど申し上げたデメリットを上回るということから、一般企業でも導入が進んできております。
 動画編集とか、3DCADのようなシンクライアント環境では、負荷が高いような作業については、こういった、ファットクライアント端末と言いますけれども、こういう端末で使うということにして、一般的な業務については、このシンクライアント端末、シンクライアント環境での構築ということで、情報セキュリティー対策が一層強化されると考えますが、調布市のシンクライアント環境構築についての考え方をお伺いいたします。
 3点目は、職員に対する訓練及び研修についてです。
 情報セキュリティー対策を推進する組織体制を整え、端末の環境を整備した後は、人的要素の対策も重要となります。情報セキュリティーインシデントの大部分は人的要因によるものであり、その対策が求められております。
 ただいま申し上げましたCSIRTが主体となりまして、標的型メール攻撃やフィッシング等の事例を基にした演習を行うことで、職員一人一人の情報セキュリティーに対する意識を啓発するとともに、CSIRTの実効性を確認するための訓練をすることが有効だと考えます。
 情報セキュリティー対策に関する職員への訓練や研修について、どのように取り組んでおられるかという現状も含めてお伺いいたします。
 以上、御答弁をお願いいたします。

○井上耕志 議長  答弁を求めます。小柳行政経営部長。

◎小柳栄 行政経営部長  情報セキュリティー対策の取組についてお答えいたします。
 市における情報セキュリティー対策は、総務省が策定するガイドライン等に沿って、情報システムをインターネットと庁内環境に分けて構築し、情報セキュリティーの維持管理を実施してきました。
 あわせて、情報セキュリティー対策の組織体制について、市は、副市長を最高情報セキュリティ責任者とし、各部の次長級職員等で組織する情報セキュリティ会議を設置しています。同会議は、令和3年の個人情報保護法の改正により強化された、個人情報保護と情報セキュリティー対策の一体的な取組の共有及び全庁的な情報セキュリティー対策のより一層の徹底を図るべく、個人情報保護管理委員会とほぼ同一の構成となるよう、体制の充実を図ったところであります。
 また、サイバー攻撃や情報セキュリティー事故への対応及び調査に当たる、いわゆるCSIRTについては、セキュリティーの監視役を兼ねるデジタル行政推進課がその中心となり、国際的に認められたインシデント対応の流れに基づき、関係部署をはじめ、国や東京都のほか、情報セキュリティー関係機関と連携しながら、迅速な対応に努めることとしております。
 次に、シンクライアント環境の構築についてです。
 現在、市は、地方公共団体情報システム機構が実施する自治体テレワーク試行事業に参加する中で、シンクライアント端末を活用しております。
 今後、情報システムの標準化を控え、クラウド環境の利用の進展や端末に求められる性能、役割も変化する可能性がある中で、御案内いただいたメリット、デメリットのほか、技術の進展、庁内の各種システムの様々な状況等を的確に把握した上で、今後の端末の在り方について検討を進めてまいります。
 最後に、情報セキュリティー対策に関する職員への訓練や研修についてであります。
 市では、任期付の職員を含む全ての職員を対象とした情報セキュリティー研修を実施するとともに、脅威やリスクについて周知を行い、常に意識の向上に努めています。
 特にテレワークを実施する職員については、別途セキュリティーに関する研修を実施するなど、リスクの軽減を図っております。
 このほか、セキュリティー意識の啓発のため、日々全国で発生している情報セキュリティー事故に関して、全庁的な注意喚起を行っており、今年度はこれまで41件について周知を行いました。
 また、先に触れたCSIRTの中心となるスタッフについては、情報セキュリティー関連機関が実施する実践的な訓練に参加し、万が一のインシデントに備えるとともに、対応力の向上に努めております。
 引き続き人的セキュリティーの重要性を強く意識した取組を実施しながらDXの推進に努めてまいります。
 以上であります。

○井上耕志 議長  6番、山根洋平議員。

◆6番(山根洋平 議員)  御答弁ありがとうございました。再質問はありませんので、最後にまとめを申し上げます。
 地方公共団体情報システムの標準化に向けた対応については、進捗や具体的な手法についての確認ができました。インフラ整備については、GovTech東京の取組や都のデジタルサービス局の動向も踏まえ、市単独で調達するというのではなく、自治体間で共通で利用できるツールやシステムの調達、開発をしていくことが重要であると考えます。
 また、区部と多摩地区では、そもそも行政の在り方が根本的に違いますので、多摩地区での自治体間の連携というものも図りながら進めていただきたいと思います。
 マイナンバーカードの空き領域の活用につきましては、ただいま申し上げたようなインフラ整備というものが整った上で、どういったサービスを提供できるのか、そういったことが考えられるようになりますので、まずはインフラ整備をした上で、スタートラインに立っていただき、その空き領域を活用した独自サービスを将来的には展開できる可能性があるんだなということを念頭に置きながら、まずは目下の、この標準化の対応、インフラ整備に取り組んでいただきたいと思います。
 そして、情報セキュリティー対策についてですが、情報システムについては、安全なシステム構成になっているということで理解をいたしました。それを管理運用する組織体制についても整っていると認識をいたしました。
 セキュリティー対策については、日頃からの意識啓発について、引き続き取り組んでいただきまして、職員一人一人が情報セキュリティーインシデントのような事例に出くわしたときに違和感を直感的に感じて、軽微なものであったとしてもCSIRTに通報し、それを確認した結果、大丈夫だったというような予防的な意識を高めていくということが重要であると考えます。任期付の職員の方も含め、調布市で働く全ての職員の方に意識啓発というものをしっかり努めていただきたいと思います。
 2020年12月25日に閣議決定をされました、デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針というものを見ますと、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化というビジョンが示されました。このビジョンを実現するためには、住民に身近な行政を担う自治体、特に市区町村の役割は極めて重要です。自治体のDXを推進する意義は非常に大きいと言えます。
 自治体では、まず自らが担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用し、住民の利便性を向上させるとともに、デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスのさらなる向上につなげていくことが求められます。また、DXを推進するに当たっては、住民等とその意義を共有していくことが重要になっていくと思います。
 さらに、データが価値創造の源泉であることを共有し、データの様式の統一化等を図りつつ、多様な主体によるデータの円滑な流通を促進することでEBPM、エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング等により、自らの行政の効率化、高度化を図ることが可能となります。
 また、多様な主体との連携により、民間のデジタルビジネスなど、新たな価値が創出されることで、我が国の持続的かつ健全な発展、国際競争力の強化につながることも期待されております。
 今後、多くの自治体では、少子高齢化、人口減少の進行とともに、行政資源が制約されていく一方で、住民の生活スタイルやニーズが多様化している現代社会において、行政手続のオンライン化だけではなく、書かないワンストップ窓口など、住民と行政との接点となるフロントヤードの改革を進めていく必要があります。この改革を実行することで、住民サービスの利便性向上と業務の効率化を進め、人的資源を企画立案や相談対応へシフトすることを促し、持続可能な行政サービスの提供体制を確保していくことが重要となります。
 フロントヤード改革については、現在、各自治体の創意工夫の下、デジタル田園都市国家構想交付金等も活用しつつ、様々な取組が行われているものと承知しております。しかしながら、個別の取組にとどまっているということで、自治体間の取組の進捗に差が生じているなどの課題があり、冒頭で申し上げたデジタルトランスフォーメーションと言えるような状況には至っていないと考えております。
 多様な住民ニーズに対応するためには、デジタル手続法の基本原則であるデジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップにのっとってデジタルツール等を有効に活用し、対面、非対面の対応を適切に組み合わせ、庁舎はもとより、自宅に加え、出張所や公民館、郵便局といった住民に身近な場所でも対応を可能とするなど、住民との接点の多様化や充実化を図る必要があると考えております。
 他方、対面で手続を行う場合であっても、紙ではなくデータによる対応を前提とすることで、住民の利便性向上を図るとともに、業務効率化にもつなげることができます。
 また、デジタルトランスフォーメーションの推進に当たっては、組織トップ自ら強いリーダーシップを発揮していただくということが重要であると私は捉えております。冒頭、長友市長からも大変力強い御答弁がありましたので、調布市における自治体DXについて強力なリーダーシップを発揮していただき、調布市におきましても自治体DXの取組が着実に進み、市民生活の向上に資するよう祈念いたしまして、私の一般質問を締めくくりたいと思います。御清聴いただきありがとうございました。

○井上耕志 議長  以上で6番、山根洋平議員の質問は終わりました。
 ここで暫時休憩いたします。
   午後 3時 3分 休憩
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(引用元)調布市議会会議録検索
http://chofucity.gijiroku.com/voices/CGI/voiweb.exe?ACT=200&KENSAKU=0&SORT=0&KTYP=2,3,0&KGTP=1,2&TITL_SUBT=%97%DF%98a%82U%94N%81@%91%E6%82P%89%F1%81@%92%E8%97%E1%89%EF%81%7C03%8C%8E07%93%FA-05%8D%86&HUID=&KGNO=2381&FINO=3089&HATSUGENMODE=1&HYOUJIMODE=0&STYLE=0

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