見出し画像

山梨から発信する健康な地域づくりの輪に加わって、“育ち合い”しませんか。

2022年度から公衆衛生看護学を担当する大倉美佳と申します。山梨県の地域に根ざした保健師活動、歴史のある地区組織活動を直に学べる機会をいただくことができ、とてもワクワクしています。

保健活動の醍醐味とは

さて、みなさんは“保健師の仕事”を知っていらっしゃるでしょうか。新型コロナウィルス感染症の対応に関するニュースや児童虐待の記者会見などで名称を聞く機会が以前よりは増えてきたかもしれません。しかしながら、それらは保健活動のごく一部でしかありません。

そこで、私なりの“保健活動の醍醐味”について、お伝えしたいと思います。

保健活動の醍醐味の1つ目は、声なき人の代弁者になる、です。やり場のない気持ちを我が子にぶつけ発散しては後悔をするお母さん、ゴミ屋敷と近所の人たちに蔑まれながらもその人が思う大切なものの中で暮らし続ける中年男性、80代の親が自宅に引きこもる50代の子どもを抱えて経済的にも精神的にも行き詰まってしまう8050問題、先の見えない老々介護の問題など、数えきれないほど地域の健康課題は山積しています。おそらくみなさんの想像を遥かに超えた生活を余儀なく過ごされている人たちが地域で暮らしていることに、まずは目を向けてほしい、関心を持ってほしいのです。その人たち個々人への現状と問題点を考え、アプローチしていくのが保健師の仕事です。そしてそれだけに留まらず、どうしてこの現状になってしまっているのかという実態、その人たちがどうしていきたい・どうありたいと願っているのかという思いを地域社会に発信していくことも保健師として求められる仕事であると私は考えています。

保健活動の醍醐味の2つ目は、たくさんの人たちと支え合いの協働活動を通して地域づくりを行う、です。保健師活動の多くは、いわゆる多職種連携、そして住民との協働活動によって成り立つものだと思います。そのためには、保健師として何ができるのかを伝え、多種多様な人たちに「この人と一緒に仕事をしたい」と思ってもらう必要があります。そして、地域の人々の健康を守るという大きな使命・目標に向かって、共に成長し合える関係づくりが大切だと思うのです。私自身が実際に保健師として活動していた際も、たくさんの方々から互助力の強さを学ばせていただき、保健師として育ててもらいました。

保健活動の醍醐味の3つ目は、個別のアプローチから地域全体までの活動展開ができる、です。例えば、一つ目で挙げた個々人への支援から必要とされる自助グループづくり、自助グループを支えるボランティア養成などの地区組織活動、地域全体に必要な健康基盤づくりといったつながりを意図したダイナミックな活動展開を考え実践できることは、“保健師ならでは”の活動であると思います。一方で、保健師活動は、長期的な視座に立ち展開する必要があり、その成果は可視化されにくいと感じています。山梨県は健康長寿としても毎年上位に位置づけられていますが、その要因の1つに充実した保健師活動、歴史ある地区組織活動があると思うのです。これらの活動を研究として検証していくお手伝いができたらと思っています。

本大学を目指されるみなさんへ

これから保健活動の醍醐味について一緒に学んでいきましょう。また、ぜひ大学生活を通して、たくさんの仲間・同志をつくり、熱意ある実習指導者やスタッフの方々、そして教員の愛情ある鞭に打たれ、たくましく育ってください。そして、地域の人たちのために健康を守る専門家として活躍して欲しいと願っています。

保健師として活躍されているみなさんへのお願いです。公衆衛生看護学の教員だけでなく、疫学・保健統計学、公衆衛生学の先生方とともに、山梨県の保健師活動の魅力を再発見する協働活動を行いたいと思っておりますので、ご関心のある方はぜひお声がけください。