しょうかしたい_20240823-25

・削られたものはもどらない。
つかえるものは全部つかってやる、の気持ちで今の場所で暮らしている。

・この日は朝一番でひとつ、問題が起きた。午後はだいじな予定がある。数年ぶりに会える友人の新居にお呼ばれしていたので、よくないことは朝のこれひとつで終わってくれればと心の底から願った。


・感傷に浸れるような立場ではない。
それでもどうせならすべての怒りはファイヤーオパールになればいいし、かなしみはバロックパールになればいい。深い赤色のルビーでもいいし、インクルージョンのある緑みのアクアマリンでもいいのだけど、それを見るたびに私は思い出してしまうだろうか。
身につけるものはなるべくうれしいたのしいに紐づくようなものだといい、気はする。



・いったん受けとめる。受けとめるしかすべがなく。
夜、自宅に着いた途端、イヤカフに4つ並ぶマラカイトのひとつがはずれてころころと転がっていった。小家具の下に入っていったようだが、照らしてもずらしても見つからない。
意味づけをする気にもならない。ただそこには事実だけが転がっている。
ねこがいつか放り込んだネズミのおもちゃが大量に出てきて脱力した。

・希望はどんな石になるのか。もやもやと、まったく思い浮かばない。考えたこともなかった。このあたりを一度考えてみることにする。
祈りは編むイメージだ。私、そんなもの編み上げたら呪ってしまう。

・これは絵になるだろうか、とよぎる。絵になるだろうか、と思っている時点でならない気はする。
なにかにぶつけたり叩きつけたりしたい。なんとなく土を練ったり金属の板を叩いたりしたい。今は気分だけ、そんな感じ。

・10年以上前だったか、どうしようもない夜、取り憑かれたように焼き続けたクッキーがある。なかしましほさんのレシピ本に載っていた「天板クッキー」だ。粉と油と砂糖などをまとめて、天板に広げて焼くだけ。冷めたら適当な大きさに割る。
素朴でみっしりしたやつ。ざくざく、噛み締めて食べる。最初から最後まで好きなやつ。翌日のおやつにするつもりが、我慢できなくてだいたい深夜に半分ぐらい食べてしまっていた。
思い出したらまた食べたくなった。オーブン機能は生きているだろうか。電気代は高いし、材料もそろえなければならない。それでもまたつくって食べてみたい、気がしてきた。あれは日常を取り戻す儀式だった。


・全部食って糧にして生きてやる。それぐらいのつもりでやるしかない。

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