「ずっと、やめたいとは思ってるんです」山脈3年生が語る本音とは@群青5日向

4月18日から、信州大学松本キャンパス構内にある山脈スタジオにて、前田司郎作「おやすまなさい」が上演されている。群青5日向(以下5日向)は役者として出演する。

入団してから2年間、役者としてもスタッフとしても公演に参加し続けた彼女は今、何を語るのか。


--春公演としては2回目の参加だと思うのですが

5日向 : うわー、思い出さないようにしてたのに(笑)。去年からもう1年経っちゃってるんだ。
去年の今頃は「美少年」という柿喰う客さんの脚本をやってて、私は今みたいに衣装スタッフじゃないし、役者でもなくて、ただの音響スタッフだったんですよ。それで、そこまで山脈のやる気もなかったというか、私生活の方が大事だったから、あまりスタジオに来ることも無くて。焼肉やるって聞いたらふら~ってスタジオ来るみたいな舐めたことしてましたね。それで打ち上げはちゃんとフルで参加する(笑)。やることはきっちりやるけど、でも深追いしすぎず、美味しいとこだけ持ってくってのを去年の春公演に限らず、色んなとこでやってましたね。まぁ、役者なんてやるもんじゃないです。演出さんには申し訳ないんですけど。


--でも、5日向さんの遍歴を追っていくと結構役者として参加してますよね

5日向 : それは本当に…なんでなんですかね。えでもちゃんと毎公演思うんですよ、「二度と役者やらない!」って。でも、いつも気付いたら役者やるぜ!って名乗り上げてて。あとから自分でビックリしてます(笑)。役者って私生活にまで侵入してくるからかなりしんどくて…家ではあんまり演劇のことしたくないから…


--演劇は好きじゃないんですか?

5日向 :
うーん…他の演劇をやっている人と比べるとそんなに、というのが正直なところですね。これはまぁ、入団当初からずっと変わらないです。あんまり観劇もしないですし。…とは思ってるんですけど、私高校の時も演劇部だったので、言ったら5年間は演劇に触れているわけじゃないですか。客観的に見たらめちゃくちゃ演劇好きなやつですよね。なんかそこのギャップがちょっとむず痒いというか、最近は高校の時演劇部だったことは自分から言わないようにしています。
でも、多分好きではあるんですよ。私今まで小さな習慣でも習い事でもなんでも長期間続いたことなくて。なんでもちょっと俯瞰で見ちゃうというか、イマイチ本気出してハマれないとこがあるんですけど。その私が何年もの間続けてるってのは、好きではある証拠かもしれないですね。まぁ、山脈のメンバーと関わるのが楽しいからやってるみたいな節もありますけどね。


--春公演の準備期間中、何か思い出に残ってることはありますか

5日向 : あー、なんだろ、ケバブ…いや、セリフが死ぬほど覚えられなかった事ですかね。この質問の趣旨とは少しズレるかもしれないんですけど。今回、演劇人生の中で1番喋るし動くんですよ。本当に覚えられなくて。1クール(※この日までにセリフを覚えていなきゃいけない日)はおろか、通し練習やゲネプロすらガタガタですからね。特に通しがめちゃくちゃで、もう悲惨だったんですよ。あれは…いい思い出ですね。別の意味で。


--良ければ詳しく聞かせてもらえませんか

5日向 : まぁその…色々あって通しのあたりで私はキレ散らかしてまして。で、キレたいんだけど、別に私って人にキレることができるほどできた人間でもないんですよ。全部適当だし。だから、このとき…通しの間の時だけはできた人間になろうとしてて。全部完璧にやり通して、何もホコリの出ない状態で腹立つ人間全員を叩きたかったんです。そしたらめちゃくちゃ緊張しちゃって、吐きそうになりながら舞台上がって、セリフもなにもかもが出てこなくなっちゃって。二言目位でもう飛ばしてましたね(笑)。別チームの人に啖呵切ってたのもあって、なんかもうめちゃくちゃ恥ずかしくなっちゃって。別チームの通し観ながらずっと東尋坊に行く日程考えてました。めちゃくちゃ落ち込みましたね。
でも、個人的にはただ悪い思い出って訳でもなくて。これまでの人生で「そういうお前はどうなんだ」思考になったとき、黙るほうを選んでたんですよ。責任取りたくないから。でも、人生で初めて人をぶん殴ろうと立ち上がったんです。…まぁ失敗はしてるんですけど。



--春公演準備期間中に苦労したことはありますか、という質問も用意してたのですが

5日向 : そうですね、セリフ覚えが1番キツかったかもしんないです。あ、でも覚えるだけじゃなくて演じるのも大変でしたねやっぱ。今回の私の役柄って、あんまり私とは結び付かないというかタイプが違うところがあって。それでいてたまに役柄とセリフの語尾や内容がちぐはぐなとこもあるんです。そこの自分との折り合いの付け方というか、いかに自分に落とし込むかが難しかったです。
あと、稽古中に「あなたはこの脚本を面白いと思ってないでしょう」と言われたことは結構応えてますね。思ってない訳じゃない…と思うんですけど、真に面白さを理解出来てないのかもなと悩みました。というか今も悩んでます。面白に関しては結構上昇志向みたいなのが強いので、あらゆるタイプの面白を吸収・放出出来たらいいなとは思ってて…


--役者はどこが楽しいと思いますか

5日向 : えー…どこが…わからない。何が楽しくてやってるんですかね?毎回本番前は緊張して寿命縮むし、ずっと生きた心地がしないし……でも、花道に立ってお客さんに挨拶してる時は乗って良かったなと毎回思います。あとは自分が乗ってない公演を見ると出たかったと思っちゃいますし……過去公演思い返すとちゃんと楽しかったなと思います。めちゃくちゃ。だからやってるのかもしれないですね。役者は楽しいから楽しい。



--新入生へのアドバイスはありますか

5日向 : えー、なんだろ…えっと、期限は守りましょう。当たり前すぎるね。えっとじゃあ…友達は他人より丁重に扱ってください。この春公演、私結構友達に救われたので……
あ、あと、龍華楼に頻繁に行くのはやめた方がいいです。太るので。1年生のとき定食なんて量多すぎて食べられないよ~って言ってたのに、今ではぺろりなんですよ。本当によくない。定食頼むのやめたい。ずっと、やめたいとは思ってるんです。


--今後、どのように活動していきますか

5日向 : 正直しばらく何もしたくない。まずお休みがほしいですね。…私より演出さんとか助演さんの方が働いてくださってるんですけど…充電期間って言い方は嫌なんですけど、ちょっとそういうのはほしいです。
今年度はスタッフとしてめちゃくちゃ頑張ろうと思います。音響の仕事も久しぶりにやりたいかもですね。今音響を支えてくださっている先輩がいなくなったらマジで潰れちゃうので。しっかり継承して、上回の自覚持って引っ張っていけるだけの強さを持ちたいです。今年度は全員キッチリ七三分けにさせて期限を守るように統率しようと思います。衣装も在松が少ないので、絶えないように頑張っていきたいですね。


◾︎群青5日向 インフォ

信州大学劇団山脈 第183回春公演
『おやすまなさい』 

2024年4月18日~4月21日


温室の枝豆の水やり
5月下旬





ライター/哲檎製 旅人  撮影/采箸deIV
参考/月刊芸人

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