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日本各地のイカナゴの漁法(公益社団法人日本水産資源保護協会「わが国の水産業 いかなご」より)

公益社団法人日本水産資源保護協会の「わが国の水産業 いかなご」の続きです。

以下、この資料からの引用またはキャプチャーです。

【漁法】
イカナゴは船びき網、沖合底びき網、敷網等で漁獲されますが、漁場や魚体の大きさによって漁法に違いがあります。
瀬戸内海と伊勢湾では大半が船びき網によって漁獲されます。漁期は稚魚が3~4月、成魚は2~4月です。北海道では、幼魚~成魚が6~9月に沖合底びき網で、稚魚は4~7月に敷網等で漁獲されます。仙台湾~茨城県沖の漁場で
は稚魚は2~5月に船びき網や敷網で、成魚は2~6月に船びき網や抄網(すくいあみ)で漁獲されます。

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●船びき網漁業
瀬戸内海東部では3~4月頃にイカナゴのシンコ、5~11月頃はチリメンを対象に操業が行われます。操業は3隻が1単位として行われ、うち2隻が網を引く網船(あみぶね)で、もう1隻は運搬などをする手船(てぶね)です。手船は速度が速く、漁場探索の役目もします。漁場に着くと網船は網を入れ、潮の流れに向かって2隻で曳網を開始します。イカナゴが十分入った頃を見計らって魚取り部を引き上げます。手船に上がったイカナゴはすぐ魚槽に入れられ港に運ばれます。シンコ漁の操業はおおむね早朝からお昼頃まで行
われます。

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●火光利用敷網
仙台湾周辺では2~5月頃に、コウナゴを対象に操業されます。操業は夜間
です。日没頃に漁場に着くと、船の舷から出た2本の支持棒の間から海面に向けて集魚灯を点灯します。コウナゴが光に集まってきた頃を見計らって、舷から網を入れ、魚群の下をとおして、支持棒の先から網を手繰り寄せます。魚取り部の魚はフッシュポンプを使って吸い上げ、水切りをしながら魚
槽に入れます。

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●沖合底引き網漁業
底に接した網を船で引き、底にいる魚を漁獲します。

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【伝統漁法】
かつて、イカナゴを獲る漁法として漕ぎ刺し網、餌床すくい網、地びき網、込瀬網(袋待網)などがありました。これらの漁法は、魚の習性や他の生き物の行動、潮の流れなどを巧みに利用した漁師の知恵から生まれたものです。
しかしそのいくつかは現在では行われてないか、操業場所が限られたり、操業自体が少なくなっています。

●アビ漁
広島県豊浜町に300年前から伝わる伝統漁法。アビはアビ目アビ科の海鳥で、夏はシベリヤ方面ですごし、冬に瀬戸内海に渡ってきます。アビ漁は人間と鳥が一体となって織りなす世界にも頬を見ない漁法と言われています。アビの群れに囲うように追われたイカナゴが水中で乱舞すると、それを狙ってマダイやスズキが集まってきます。集まってきた活性の高い魚を一本釣りで釣り上げるというものです。この伝統漁法は1988年を最後に中断しています。

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●イカナゴ込瀬網(イカナゴコマセ)
込瀬網(袋待網)は昭和30年代中頃までは瀬戸内海東部で盛んに行われていましたが、それ以後減少し、兵庫県では昭和40年代後半には行われなくなりました。現在では瀬戸内海の備讃瀬戸海域で操業されているのみです。
この漁は、海流と平行になるように張った大きな網に、潮の流れに乗って泳いでいるイカナゴが入るのを待ち受けて獲る漁法です。通常、潮の動き始めから潮が緩むまでの約5時間操業し、潮が止まっている間に漁具を揚げます。したがって瀬戸部や海峡部などの潮の流れが速いところが漁場となります。この漁法は現在も備讃瀬戸で行われています。

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●コウナゴ抄い漁(餌床すくい)
海鳥に追われて海面に浮き上がったイカナゴの群れを、投石をしたり、鵜竿を使って魚群が散らないようにして、直径2mほどの大きなたも網ですくいとる伝統的漁法です。現在でも(平成18年)、伊勢湾口の答志島周辺で、2月頃に体長7‾8cmのイカナゴを対象に漁が行われています。瀬戸内海では餌床すくいと呼ばれます。

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関西学院大学がデジタル展示している、明治30年の文献「兵庫県漁具図解」という文献があります。
これは、大日本水産会兵庫支部が作成したものです。
その中に、神戸(塩屋)で「地引網」を使っていかなごを獲っていた、という資料があります。

淡路でも「地引網」が使われています。

淡路の津名では、「刺し網」

明石・林崎では四艘張網という漁法も。

昭和10年の神戸新聞にはコマセ網の記事もありました。

より生産性の高い漁法に集約され、伝統漁法が廃れてきたのでしょう。
そもそもイカナゴ漁自体がピンチです。
豊かな海実現のためにできることはないでしょうか。

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