マイクラはマルチで!
マイクラを始めたのは、今から10年くらい前、大学生の頃だった。
今はなきUstreamで洞窟探索している動画を見かけたのがきっかけで、クレカがなかった当時は、購入代行のサービスを利用して購入した。
その当時、些細なきっかけから大学に行くのが辛くなっていた私は、家でひたすら自分だけの世界に家を建てて遊んでいた。ただこの頃は他のゲームもやっていたし、ひとしきり思いついた家を建てたら満足でそこまで熱中はしていなかった。
ドハマりしたのは野良サーバーでマルチプレイを行うようになってからだ。マルチプレイとなった瞬間、これが今までと全く違うゲームだと気づいた。
ゲームをスタートすると、知らない無数の他人がいて、その他人同士がその世界やコミュニティを発展させるために協力し合う。
まずは自分の家を各々が好きに建て、自分の家を建て終わったものが、家と家をつなぐ道を作り始める。道は徐々に舗装され、植え込みや公園が作られていき、一つの町ができる。町の中ではブロックの交換などの経済活動も行われていき、さらにその町が発展していく。
誰かに強制されるのではなく、この過程が自然発生的に生じるのだ。みんなの為に自然とみんなが行動する。ゲームの目的は何も与えられないが、それなりに皆が目的をもって行動を行う。それまでは自己世界の投影でしかなかった世界に、他人が加わるだけでこうも変わるのかと思った。
マズローの5段階欲求説では自己実現の上に自己超越の欲求があるという。リアルでは相当ハイスペックな人でなければ到底味わえそうもない、他人の為に尽くし、他者も含めた自己を実現する。この欲求を満たせるゲーム、これがマインクラフトだ。
しかし、どこのコミュニティにもやがて衰退はやってくる。
開拓をしていたユーザー達もずっとその世界に留まりはしない。新しい世界にやがて旅立つ。発展し続けた世界は新規の住人にとっても居心地がいいとは限らない。コミュニティが長く続けばローカルルールも増え、また遠くまで行かなければ自分の好きにしていい土地は見つからない。古参も新規もどんどん減っていく。
そしてある日、荒らしが発生するが、そこから回復させようという気概のある住人はだれもおらず、荒れ果てた町に最後には誰もいなくなるのだ。
結局はこうなることが分かっていても、何度も誰かの建てた新しいサーバーに入りこの過程を繰り返す。何度やってもやっぱり楽しい。
それが私とマイクラの付き合い方だ。
思えば現代社会は、マイクラのサーバーで言えば衰退期に入っているのだと思う。新規参入の私たちが開拓できる土地があまり残っていない。
私たちが開拓した土地ではないので、あまりその実感に手ごたえもないのだ。
最近、私は既成のシステムがもたらす閉塞感にぶち当たったとき、マイクラに学んだ方法で対応している。
それは開拓時代のマインドを想像することだ、このシステムができたのはなぜか、システムの起源を探って再解釈するのだ。するとこのシステムが誰を幸せにするために作られたのかが見えてくる。その本質を確認すれば、かえるべきポイントが明確にわかる。
巷ではサピエンス全史などをはじめとして、人類史の根本から既成のシステムを問い直すような本も流行っている、きっと生まれてから一方的に押し付けられたシステムに疑問を持つ人が増えている現れなのだろう。
私はそんな人にこそマインクラフトをマルチでプレイすることをお勧めしたい。
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