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「得点圏打率」について考えたみた

セイバーメトリクスが日本のプロ野球にも浸透しはじめ、徐々に野球が変わり始めたような気がする今日この頃、”オカルト”との言われることのある「得点圏打率」「勝負強い打者」について考えてみる。今回はセリーグの打者のデータのみを用いる。

2022 打率と得点圏打率の関係

規定打席到達者のみ(セリーグ)

上に2022年の規定打席到達者(セリーグ)の打率-得点圏打率の関係を表したグラフを示した。(データの打ち込みは手作業のため細かいミスは無視してください) 当然と言われれば当然だが、全体的に打率が高いほど得点圏打率も高くなっていることがハッキリわかる。
この2つのデータの相関係数(2つのデータの関係の強弱を表す指標。-1に近づく程負の相関が大きくなり、1に近付くほど正の相関が大きくなる。また、0に近付くほど相関が弱くなる。)は0.45程度であり、それなりに強い正の相関があることがわかる。

2021-2022 得点圏打率の関係

2021年NPB1軍の試合に出場した2022年規定打席到達者(セリーグ)

上のグラフは縦軸が2021年の得点圏打率、横軸が2022年の得点圏打率を表したグラフである。少し見ただけでも、打率と得点圏打率のグラフよりも明らかにばらつきがあることがわかる。この2つのデータの相関係数は0.224程度であり、打率との関係よりかなり弱いことが数値上でもわかる。2022年に打率.270以上の打者、打率.270以下の打者に分けて2021年と2022年の得点圏打率の相関係数を出してみたが、それぞれ0.237、0.225と関係は弱かった。

考察

当然といえば当然だが打率の高い打者が得点圏打率も高くなりやすいことがわかる。また、2年続けて得点圏打率に異常に強い/弱い打者はほぼいないため、”勝負強い/弱い”打者というものはいないようにも思える。

ではなぜ”勝負強い打者”などという言葉が使われる、また私たちは”勝負強い打者”というものが存在すると考えるのだろうか。

個人的な感覚だが、勝負強い打者という言葉は毎日のスタメンで起用される選手より勝負所での代打で使われる選手等に用いられるとこが多いと感じる。代打の選手はレギュラーの選手よりも打席数が少ない。打席数が少ないほど能力だけでなく運に作用される部分も大きくなるため、少ない打席で実力以上にいい成績が残せること、また少ない打席で実力を出せず成績が残せないことはよくあるだろう。(サイコロを10回振った時、出た目に偏りがあることはよくあるが、100回、1000回と回数を増やすほど偏りは少なくなることを想像すると理解しやすいと思う)

まとめ

今回調べたデータ、またそこからの考察では勝負強い打者がいる、という結論に達することはできなかった。ただ勝負強さは単に運の良し悪しと決めては面白くない。これからは贔屓の打者が勝負強い打者、と紹介されたら期待して打席を見る、また対戦相手の勝負強い打者と紹介された打者に対してはただ運が良かっただけだから今回は大丈夫だ、と都合の良い解釈をして野球観戦を楽しもうと思う。





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