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中田翔選手の打撃には何が起こっているのか

 2年連続最下位、3年目の今期も交流戦終了時点で最下位と苦しむ立浪ドラゴンズ。結果が欲しい3年目に”大型補強”の目玉として中日ドラゴンズに加入した中田選手。開幕戦ではいきなりホームランを放ち中日ファンを狂喜乱舞させたがらここまで中日ドラゴンズの長く続く低迷期の夜明けを告げる救世主となることはできていないように思える。故障なども成績が残せていない要因の1つではあると思うが、今現在中田選手の打撃には何が起こっているのか。自分にはメカニクスの知識が足りないため、セイバー的なデータを元に考えてみる。

1.基本的な指標から見る最近3年間の比較

 ここ3年間の中田選手の成績は上の通りである。本塁打や打点、warは積み上げ式の数字なので試合数に依存する部分が大きいので一概に成績が落ちているとは言い切れないが全ての部分で今年、ここ3年間で最も低い数字を残してしまっている。2023、2022の打撃warを見たら分かる通り、打撃では過去2年プラスを作ることができる選手であったが今年はせいぜいリプレイスメントレベルとなってしまっている。

2.セイバー的指標と打球内容から見る最近3年間の比較

 wRC+、wOBAと打球内容は上の通りである。GB%、LD%、OFFB%、IFFB%はそれぞれ全打球に占めるゴロ、ライナー、外野フライ、内野フライ性の打球割合を示している。想像通りというとがっかりだが、wRC+では平均を大きく下回る数字を記録してしまっている。これはパークファクターを考慮しているものであるのでバンテリンドームのせいで数字が落ちているとは考えにくいため、単純に打力が落ちてしまっている。また打球内容では内野フライ率はほぼ変わっていないが、ゴロ率が40%を上回り、ライナーが昨年より増え、外野フライが大きく減るなど傾向の変化が見られる。これは東京ドームという打者有利の球場からバンテリンドームという超投手有利の球場に本拠地に移ったことから打撃アプローチを変えた可能性もあるが、増やすべきはライナー性の打球なので減ったのが外野フライで、ゴロが増えているのは気になる。

3. 最近3年間のアプローチの変化

ぼーのの日記さんhttps://bo-no05.hatenadiary.org/entry/2016/01/01/000000より

 Attack Zoneに基づくそれぞれの領域でのスイング率とコンタクト率を表にまとめた。各年度で多少のばらつきはあるがHeart、Chase、Wasteではそこまで大きな変化はしていない。だがShadowの領域で昨年と比べスイング率は約6%上昇しているが、コンタクト率は6%低下している。だが、Heartの領域へのスイング率、コンタクト率は上昇しているなど全てが悪い方向へ向かってしまっているわけではない。

 また対ストレート/変化球、対右/左、対150km/h以上への成績の変化は上の通りである。そもそもの打撃成績が2022>2023>2024なので年々各数値が低くなることはある程度仕方なく、サンプル数が全体の打率などと比べると少ないので多少のばらつきが出ることは想定されるが、顕著なのは対変化球の打率である。先程示したAttack Zoneの指標と対変化球への成績の低下を照らし合わせると、ストライクからボールへ変化する変化球への対応に苦しんでいることが予想できる。

4. 総括など

残念ながらというか予想通りというか指標的に見ると悪化している部分のが多く、単に運による下振れとは思えない。特にゴロの増加とストライクボールの境界部分へのアプローチの悪化は気になる。怪我を抱えながら試合に出ている影響もあると思うが、試合に出ている以上それを言い訳にして欲しくはないと思ってしまう。
 長年低迷している中日ドラゴンズを応援している身としては久々の”大型補強”としてチームへ迎え入れられた中田選手へはどうしても救世主的な大活躍を期待してしまっていた。期待が大きかった分今現在の失望というか苦しみも大きい。だが、どれだけ成績を残せなくとも中日ドラゴンズのユニホームを着て試合に挑む以上、応援することはやめないし期待することをやめることもできそうにない。まだ今シーズンは終わった訳ではない。どうか、我々が発している”雑音”を一掃するような、これまでの不振を吹き飛ばすような活躍を心の底から期待している。

使用したデータ
Proran プロ野球を楽しむためのデータ
https://proran.jp/

ぼーの の日記
https://bo-no05.hatenadiary.org/entry/2022/03/27/220609

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