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スバルのSUVフラッグシップで雪上を走る
スバルらしさの源泉はシンメトリカルAWDへ移行
「スバル」といえば水平対向エンジン…という差別化でブランドを確立してきた印象もあるのですが、2016年のいま、富士重工業のスバル・ブランドにとって水平対向エンジンというのは、ブランディングにおけるプライオリティが下がっていると思うことがあるのは気のせいでしょうか。
それは、ポルシェがボクスターなどに2.0リッター/2.5リッター水平対向4気筒ターボを搭載すると発表したことで『ボクサー4』のオンリーワン感が薄れてくるという状況にあるのではなく、SUVを軸としたラインナップのスバルにおいて、水平対向エンジンであることの技術的なアドバンテージが薄れていると感じるから。もちろん、エンジンという重量物を低く積みやすいというメリットはSUVでもありましょうが、クルマのキャラクター的に、そうしたハンドリング面でのメリットを重視するかといえば疑問でもありますので。
しかし、スバルには『シンメトリカルAWD』という、こちらも長年にわたって培ってきた差別化できる技術があり。ほとんどのラインナップにおいてAWD(四輪駆動)だけの構成となっているスバルにおいては、むしろ『シンメトリカルAWD』こそが、いま現在のブランディングできるテクノロジーになっているのだな、と思うわけです。そして、水平対向エンジンからシンメトリカルAWDへと技術面での主役をうまくシフトしてきたな、とも感じるのは考えすぎ? ではないはずで。
それはさておき、スバルAWDの技術的アドバンテージでいえば、シンメトリカル(左右対称)であることの直感的なナチュラルさにもありますが、シンプルなレイアウトゆえの軽量さも魅力。そして、多くのモデルで使われている『アクティブトルクスプリット型AWD』においては、多板クラッチを使うという基本的なメカニズムを替えずに熟成してきたことで、非常に乗りやすくなっているのもアドバンテージとして無視できないところ。かつてはスタンバイ四駆+α程度のイメージもあったアクティブトルクスプリット型は、いまやフラッグシップモデルである「レガシィ/アウトバック」にも採用されているほど熟成と進化の進んだメカニズムになっているのです。
フラッグシップモデルの紳士的キャラクター
そのアウトバックに、アクロバティックなコース設定の雪上で試乗することができました。
スバルSUVの他モデルであるフォレスターやXVと乗り比べて違いを感じるのは、アウトバックはEPB(電動パーキングブレーキ)であり、またVDC(車両安定化装置)の作動をことさらアピールしないという2点。よーくメーターパネルを見てると、VDCのインジケーターが作動を知らせてくれるのですが、電子制御の活躍をアピールしないことで、ドライバーの不安を煽るようなことがないのは、クルマのキャラクターからも好印象。そのジェントルな振る舞いは、むしろ「さすがフラッグシップモデル」と感じさせてくれるのです。
通常の制御ではクリアできないような悪条件では、前述したEPBスイッチの脇に用意された「X-MODE」ボタンを押せば、走破性を高める制御をしてくれるということですが、モトクロスコースを利用した雪上コースでは、そのボタンを押す必要がなかったほど。クロカン四駆ではなく、乗用タイプのクロスオーバーSUVへの期待値からすると、素の走破性で十分なレベルにあると、雪上試乗において再確認。もっとも、雪の上を走って楽しむパフォーマンスは持っているのでしょうが、前述のとおりにジェントルさを感じるキャラクターゆえに、”雪遊び”を楽しむタイプにはあらず。雪上を移動しなければいけないときにも不安なく、自信をもって進路をとることができるという信頼感が、アウトバックの魅力であるとも、あらためて感じたのでありました。
いろいろな意味で「ガツガツ」せずに乗りこなすことが、アウトバックらしさを引き出せそうな気がした、雪上試乗であったのです。
<以上です、つづきはありません>
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