3つの基本、モビリティの向かう先

自動車やオートバイ、列車に飛行機などなど生身では不可能な移動を可能にするモビリティは様々で、その評価軸や魅力もいろいろありましょう。

ですが、基本としては以下の3点が進化のポイントとして挙げられると思うのです。

1.確実なこと
2.速いこと
3.人に危害を加えないこと


「確実」というのは、道に迷うといったレベルではなく、トラブルやアクシデントを起こさないという点で確実性を高めるという進化の方向性を示す言葉と考えるところ。とはいえ、それは故障しないという話だけにとどまらず、アクシデント(事故)に遭遇しないという進化も遂げていると思うのです。

「速さ」というのは、文字通りに絶対的なスピードが第一でありますが、前述した確実性とかぶる部分もあり。ウサギとカメの童話ではありませんが、一瞬の最高速度よりもノントラブルで走り続けられることが、最終的な速さにつながります。

そして、パーソナルモビリティとしての乗用車において、この2点はすでに十分なレベルに達しているだろうと思う次第。電気自動車の航続距離問題は、到達点に対して逆行しているようにも思えますが、航続距離というのはニーズによって異なるので、それはそれとして。

なにより、ここ10年来重視されてきたのは「人に危害を加えない」ということでありましょう。それは単純に歩行者保護ボディになっているという話でもありません。危害というのは、事故だけではないのです。

排ガスによる呼吸器系への攻撃性も「人への危害」に含まれましょう。その意味で、自動車社会が未来にむけて掲げる『交通事故ゼロ』と『ゼロ・エミッション』という2つのゼロは、人に危害を加えないという宣言といえましょう。

もっとも、クルマが走行時にゼロ・エミッションであっても、別のところで排出されているのでは無意味という見方も否定できません。しかし、CO2に関していえば、自動車の排出ガスにおいてCCS(カーボン・キャプチャー・ストレージ)することは、排気系に仕込むことを想像すると不可能に思えますが、火力発電所においてCCS装置を使うのであれば、車載するよりもずいぶんと難易度が下がるといえそう。だとすれば、電気自動車などのゼロ・エミッション車がナンセンスとはいえないわけです。

もうひとつ、最近は自動運転・自律走行というのが自動車における技術トレンドですが、機械と制御の開発により交通事故を減らすことは、まさしく「人に危害を加えない」ための正常進化といえましょう。

もちろん、交通事故を起こしづらいとなれば、確実さ、速さにもプラスとなるわけで、パーソナルモビリティが掲げる目標条件を考えると、「自動運転」というのは間違いなく実現すべきテクノロジーであり、3つの進化点がクロスする直近のターゲットポイントでもあると考える次第。


乗用車について、ともすれば、所有欲を満たす趣味性、快楽を刺激する要素などで評価しがち。ですが、それは上記の3条件を、その時点において満たしているという前提があっての話だと、しみじみ思うのです。

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