見出し画像

これがクルマ。世界のベンチマークの環境対策

フォルクスワーゲンのクリーンディーゼルあらため”ダーティ”ディーゼル問題。当初、EPAから発表された内容に目を通した段階では急ごしらえの北米仕様に限った問題なのかと思っていましたが、そうではないようで、フォルクスワーゲン自身が、全世界で販売した旧型4気筒ディーゼル「EA 189」型において同様の問題があると発表しております。

この問題、EPAの発表をシンプルに言い換えると排ガスの測定モードをアルゴリズム検出し、そのときのみクリーンな排ガスを実現するエンジン制御プログラムとなっていたということ。通常走行では意図的にプログラムを切り替え、基準値に対して10~40倍のNOxを垂れ流していることが問題の中心。

一般論として、加速時など燃料増量するシチュエーションにおいてクリーンでないときがあるのは、どのエンジンでも言えることなので、通常走行においてNOxの排出量が多いこと自体は法的には責められるものではないのですが、が、今回の件についていえば、冒頭で記したようにアルゴリズムから”意図的”にプログラムを切り替えていたことがEPAとCARBが違反として指摘している点。 

排ガスの測定モードがリアル・ワールドと完全に一致しないことは各国でいえるわけですが、それでも排ガス規制をクリアしているということは、加速増量やスクランブルブーストなどを使っていない日常領域であれば、それなりのクリーン度を担保するものといえるわけで、そこを故意的に切り替えられてしまっては、よほどのことでもない限りはわからないわけです。ましてNOxは目に見えないわけですし。

そして見えないNOxだからこそ、試験値を信じるしかなく、その意味でも信頼を失わせる行為だと批判されているのでありましょう。

ともかくCARBのコンプライアンスレターによれば、違法プログラムを使ったクリーンディーゼルの対象は2009年モデルから2015年モデルまで(発表当初から徐々にモデルが増えております)。そして、NOx吸着触媒を使っている旧型ディーゼルに限った話かと思いきや、2015年モデルのゴルフスポーツワゴンも含まれるということは、最新のEA288も対象というわけで、最新エンジンでもまともにクリアする技術を持っていないのか、それともEPAに最適化したアルゴリズムの魔力にハマってしまったのか。いずれにせよ最新エンジンも対象となっているのは深刻な問題と感じる次第。

●参考リンク:CARBからVW USAへのコンプライアンスレター(画像・英文)

http://www.arb.ca.gov/newsrel/in_use_compliance_letter.htm

ここから先は

714字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?