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在宅ワークビギナーズのためのちょっとしたコツ(意識の低い人用)

新入社員として入社した会社でも在宅ワークをしていたし、フリーランスでライターをはじめてからもほとんど在宅ワークであり、私のこれまでの仕事人生のほとんどは在宅ワークで構成されていると言っても過言ではない。

というわけで、この記事では、私が数年かけて本を読んだり、人から聞いたりしながら集めてきた在宅ワークのノウハウを提供したいと思う。

最初に断っておくが、私の生産性と意識はものすごく低い。この高さで鳥が飛んでいたら、「ああ、今日は雨が降るんだな」と昔の人が思うくらい低い。たいていの人には参考にならないと思う。けれども低く飛ぶ鳥であるタイプを自覚している人には、ほんの少しくらい役に立つだろう。

そしてこの文章は、私の今まで書いた記事を紹介する側面もある。むしろ正面と言っても過言ではない。


◇前提

在宅ワークは能率が落ちる場合が多い。

恥ずかしながら会社員をしていた時も、私があまりにも仕事をしないので在宅ワークから出社へと変更された。私は本当に仕事をしないのである。

とはいえ、在宅ワークは健康によい。私は乗り物酔いがひどいので、新宿ー高田馬場を山手線で移動するだけで30分くらい体調が悪くなるが、通勤電車から解放されるだけで心身ともに楽になった。人と会わないので、風邪もほとんどひかない。健康なのはすごくいいことだ。

何度も言うが、能率はどうしても落ちがちだ。能率が落ちるのをなるべく防ぎ、なるべく明るく楽しい在宅ワークを送ることを目標にしている。

◇時間とのつきあい方

・始業時間を決める

仕事をはじめる時間は決めておいた方がいい。在宅ワークであることの旨味を満喫しようとして、自由な時間にやりはじめるのは、あまりおススメしない。なぜならば、めちゃくちゃな罪悪感に襲われるからである。明るく前向きに働けるよう、工夫した方がいい。

・着替えよう

絶対に着替えたほうがいい。「在野に学問あり」という在野研究者に話を聞くインタビュー企画で、山本貴光さんがこのように答えていた。

”山本 ローリングストーンズのドラマーのチャーリー・ワッツが言っていたんだけど、自宅で仕事をするときも、外に出るのと同じように、顔を洗ってひげを剃って着替えをする。そうすると仕事をする意識になると。それを読んで以来、私も家にいる日でも、外出するのと同じように着替えて仕事をするようになりました。それ以来、自宅でも仕事ができるようになった。これに限らず作家は、人によって執筆に向かう際にいろんな儀式を持っていたようですね。鉛筆を3本削るとか、お茶を入れるとか。そういう習慣づけをしていくのはいいかもしれません。”

・自分が仕事をしている時間をはかる

私は「集中」というiOSアプリを使っている。

このアプリのいい点は、とにかくシンプルであるところ。

私はライターをしているので、3時間集中して書いたら今日はOKとしている。そう周囲に話すと、「3時間、少ない!」と言われるが、3時間集中して書くというのは、私にとってはなかなか訓練のいることである。

『天才たちの日課』では、アンソニー・トロロープのこのような言葉が紹介されている。

”文筆家として生きてきた者――日々、文学的労働に従事している者――ならだれでも、人間が執筆をするのに適した時間は一日せいぜい三時間であるという私の意見に賛同するだろう。しかし、文筆家はその三時間のあいだに、途切れることなく仕事ができるよう、訓練すべきである”

そして、「集中」アプリではポモドーロテクニックも活用できる。

私はまず15分(集中)+3分(休憩)からはじめて、25分(集中)+5分(休憩)に変更している。小さくはじめて、気分を乗せていく。

本当はきちんと休憩したほうがいいが、もし興が乗ったら、無視して続けることにしている。無視して続けていると、まるでたくさん仕事をしているような気になる。これはマヤカシであるが、気分がいいのでやめられない。

最低限は頑張る時間を決めたほうがいい。ここがなし崩しになると、仕事も崩壊する。心理学者が書いたこの本は、論文を書かない人にも非常に参考になる。ここで紹介されている「ノルマを守れなかった場合、嫌いな団体に強制的に寄付する」という方法を導入してからというもの、嫌すぎて生産性がすごくあがった。

・SNSはログアウトしておく

集中する時間は、SNSを見ないと決めておくほうがいい。「在野に学問あり」においても、辻田真佐憲さんがこのように発言していた。

”あとSNSをあまり見ないようにすること。これは大切です。時間が溶けるので。だから最近はすぐクリックできないところにアイコンを置いています。宣伝などのためには必要ですが、「使われ」ないようにしないといけない。つまり、反応が気になって、ずっと貼り付いているようではいけない。われわれフリーは時間が自由な分、SNSとの距離の取り方は思案のしどころだと思います。”

休憩の時間にSNSをクリックしたら、本当に時間が溶けるのでおススメしない。SNSとの付き合い方に関しては、この本が参考になる。

この本については、書評も書いた。

◇設備

ノートパソコンを持っていることを前提とする。

・イス

在宅ワークを本格的にしようと思うなら、床に座って作業をすることは絶対におススメしない。肩と腰がつらくなり、2日も持たないと思う。イスをバランスボールにするのも魅力的なように感じるかもしれないが、乗り物酔いが激しい人にはおススメしない。ビニールの丸い塊が部屋の中を占領することになる。

・モニター

デスクワークの敵である肩こり防止のことを考えると、モニターはあった方がいい。私は肩こりが酷いので、モニターなしの生活は考えられない。実家や仕事場、東京の部屋など様々な拠点に起き、計4台所有している。また、大きなモニターにすると、頭の中のスペースが大きくなり、気持ちも大きくなる、という若干アホな理由もある。ただ、小さなモニターの方が集中できるという声も聞こえるので、これは人それぞれだろう。

特に気に入っているのが、縦型のモニターである。文章を多く書く人であるならば、縦型の方が良い。記事を読むにしても、スクロールせずに読める文章量が違ってくる。スマートフォンだって、縦に持って操作するほうが多いだろう。Wordなどのテキストエディタ―も基本的には縦モニターの方が使いやすい。ただExcelなどを扱う場合は、横の方が適している気がする。

(私が使っているのは、これの旧型。縦にできる)

これに、キーボードとマウスを組み合わせる。探せばもっといいものがあるのかもしれないが、値段も手ごろであり、困ったところがなにもないので買ってしまう。3個持っている。

仮にタイピング音が土砂降りの雨のようにうるさい場合、高確率で同居する人に高ストレスを与えることになる。なので仕事場では静音キーボードを利用している。お金を出せばもっといいものを買えるかもしれないが、諸条件を考え、このキーボードを使っている。ときどきキーが陥没して戻らない。

・次善の案

とはいえ、モニターにお金を出すのは現実的ではないという人もいるかもしれない。そんな時は、パソコンスタンドを使おう。これは買わなくていい。家にある箱や本で代用するだけでもいい。それに、3000円ほどのキーボード&マウスを組み合わせれば、かなり肩こりが改善できる。

この本ではモニターを目の高さに上げ、キーボードを膝において作業する方法が紹介されており、なるほど! その手があったか! と感動した。

・印刷

印刷機を良く使うお仕事の人は、ランニングコストを考えるとレーザープリンタがよい。ライターの先輩から教えてもらった。白黒で十分ならば、これはなかなか手ごろでおススメだ。実家にも一台導入しており、計2台所有。


◇身体

・肩こり対策

何度も繰り返すが、デスクワークの敵は肩こりである。効果てきめんなのが、ストレッチポールだ。青だとストレッチです! という感じであまりにスポーティなので、部屋との馴染みの良さを考えると茶色などが無難な気がする。

疲れたらこれに乗りゴロゴロと左右に転がるだけで、コリが緩和する。効果的な方法などは、YouTubeなどにいくらでもあるので参照してほしい。適当にやってもいい感じになる。

・軽度の運動

軽度の運動は大切だ。このアプリで体幹を鍛えるのはなかなか良い。

スクワットも気がついた時に適当にやろう。自重トレーニングについてはこの本が詳しい。

監獄でできるトレーニング。なにより文章が最高である。消灯!

◇気分転換

ひと昔前に「仕事終わりのOLか!」みたいなツッコミが跋扈していたが、そうツッコミできそうな行為からは学ぶことがたくさんある。「仕事終わりのOL」はもちろん架空の存在であるが、セルフケアの達人である。仕事に疲れたときに、「居酒屋でビールをがぶ飲みして、ストレス発散する」サラリーマンと、「アロマを焚いて、半身浴する」OLがいた場合、参考にすべきは後者だろう。回復度が全然違う。仕事終わりのOLがやりそうなことはなるべくやろう。無頼風はもうダサい。

・正気を保つ1

在宅ワークで難しいのは正気を保つことだ。隣にちょうど良い距離感の友人や同僚などがいれば「考えすぎ!」と笑い飛ばしてくれたり、「ちょっと大げさだったな」と自分で気恥ずかしく反省したりできるが、一人でいると些細なことでも、人生が終わりだと思うような絶望感に襲われる。悲劇スイッチが入ったら、どんどんそこに入り込んでしまう私のようなタイプは気をつけてほしい。

正気を保つために、効果的な方法は3つある。

1つ目はいい匂いを嗅ぐことである。いい匂いをかぐと、意外と我に返ることが出来る。香りというのは、ちょうど良い距離感の他人に近いのかもしれない。というわけで私はアロマオイルやボディスプレー香水などを数十種類保有している。外出時は使わず、ほぼ家の中で使う。お気に入りの香水というよりも、複数持つことに意義がある。

その点で優れているのが、無印のアロマシリーズである。めんどくさがりの方は、無印のアロマストーンを買い、パソコンの隣に置こう。手軽で安い。石にアロマオイルを垂らすだけなので、水の入れ替えなども不要である。すばらしい。

どのオイルを選んでいいのかわからない人にも無印は優しい。「すっきり」とか「じっくり」とか適当に選べばいい。

ボディスプレー初心者の方においては、ドラッグストアにあるこういうやつを嗅いでみて、好きな匂いを選んで買ってみるのがいいと思う。匂いもすぐ消えるので、使いやすく、気分転換に適している。

みんな大好きAesopも、ボディスプレーなら手が出しやすい。

有名であるが、ノーズショップでは香水のガチャガチャがあったり、小分けで売っているので、これも楽しい。香水の名前も凝っていてそういうのが好きな人にはたまらないと思う。

・正気を保つ2

二つ目の方法は、自分の考えていることを書き出すことである。この本で紹介する「ノンストップライティング」を私はなるべく毎日行っている。15分間、とにかく書きなぐるというもの。

レヴィ=ストロースもこの方法で書いているようで「書きつけて物質と化した思考のみが、扱うことができる」という彼の言葉が紹介されている。未知のもやもやを物質にする作業はかなり精神的負荷を減らしてくれる。「こんなこと書いたらみっともない」と語りかけてくるもう一人の自分がいるタイプにもおススメだ。

この本には他にも様々なノウハウが掲載されており、読み物としても面白い上に、すごく役にたつので、まだ買っていない人は絶対に買った方がいい。

・正気を保つ3

冷えピタを貼ろう。悩みの多くは、意外と冷えピタを貼ったら解決する。騙されたと思って冷えピタを貼ろう。

・シャワーを浴びる

「風呂に入って後悔した人はいない」という名言があるが、自宅でのシャワーは効果的かつ手軽な気分転換になる。仕事中のお風呂は、出られなくなるのでやめたほうがいい。また手を洗うなども、なかなか気分転換になる。

・昼間にお酒は飲まない

お酒を飲むのは確かに手軽な気分転換になる。しかしお酒を飲んでやった仕事は、たいていどうしようもない。お酒は、古びた歯車に刺すオイルのようには働いてくれない。気分転換をしようとしてお酒を飲んで、仕事ができたためしがない。断言する。

私もそうであるが、気分転換が下手な人は、お酒に頼りがちである。20枚くらいある手札の1枚だったらいいが、これ1枚になるといけない。気分転換になる方法は意図的にたくさん持っておこう。

そうした気分転換は心理学で「コーピング」と呼ばれるものである。自分がどうやったら気分転換できるか、把握しておくことは重要だ。詳しく知りたい人は、伊藤絵美さんの本がおススメ。

◇おわりに

読む人が読めばあまりに当たり前のことかもしれないが、誰かの役には立つかもしれないと思って書いた。事情が違えば全然役に立たずに、むしろムカつくかもしれない。

でも、書くか書かないか迷った時には、出し惜しみせずに書こうと思うようになった。どんな状況でも、明るく健やかな気持ちで仕事をする工夫は諦めたくない。みなさんの快適な在宅ワーク生活を願いたい。

お時間がある人は、ここから記事を読もう!

タイトルの元ネタはこの本です。


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1991年、沖縄県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社シノドスに入社。退社後、フリーライターとして活動中。B面の岩波新書で「在野に学問あり」、BLOGOSにて「スポーツぎらい」を連載中。
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