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拝啓 唐紅だった君へ

水平線。見据えてみても先は見えず。やがて、落陽が帳を降ろし、黒の舞台は主演も不在だ。

見えぬ彼方に思いを馳せれど、帰ってくるのは漣の色ばかり。望む声は鼓膜に届かず、知らぬ言葉は訪れず。

色褪せたことすら見えずに、ひとつ、つぶやいてみる。

「いつかまた」

深い黒に声は埋もれた。

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