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サヨナラ・ハジメマシテ

別れがなぜ辛いのか。
今生の別れなのだろうか。ネットでいつでもどこでも、ネットを持ってる人誰とでも繋がれる時代に、死以外で今生の別れがあるのだろうか。それでもなぜ今生の別れのように感じ寂しいのだろうか。
共有した感覚や時間や共に行った場所での記憶、思い出が心を痛めるのだろうか。やけに生々しく喪失感を感じるからだろうか。それでもこの時代に於いて何か相手に伝えるべきであるのだろうか。今更何か言いたいことあるだろうか。そうやって強がって後々後悔するのは自分が一番よく知っている。
別れをわざわざ交わす必要性の事さえまでを考え始めた時分、彼女は現れた。八時前。

最近、別ればかりである。オンパレードもいいところ。矢継ぎ早に人が日本に帰っていく。こうも人数が多いと自分は心に拡大していく穴から目を背ける事が出来ない。感情を少し消し気味な今日この頃。
ネットで繋がってればまた絶対に会えると何故断言出来るのだろうか。もし無い時代に戻れば、今以上に繋がりを保つ努力をしなければならない。そんな努力、果たして今まで出逢っては別れてきた何人もの人と出来るだろうか。
私は言った。「いつかまた必ず会おう。会えると思う。」
彼女も「私もそう思う。」と返す。「また会おう。」
いくら約束を交わそうとも、確信は全く持てない。会えなくなるこの寂しさを紛らわす口実にお互い言い合った。

そもそも昔はどうやって繋がりを保っていたのだろうか。年賀状とか手紙とかお歳暮とか、要するに贈り物である。毎年賀状で、お互いの生存を報告しあう。大切。だが、決まった家が無いふらふらしている自分は、こちらから送らなければ相手は一向に伝わらない。
とはいえ、手紙を出すのも、書くのも、自分はかなり考え込んでしまう質で、中々出来てない。
手紙こそ何でも書いていいのに。

言いたいかった事は、別れの喪失感、ぽっかりと心に空いた穴を何で埋めたらいいのかわからない。変な感覚。引きこもりの時感じてた痛みよりまだこちらの方が暖かい。だからより、悲しくなる様な、寂しくなる様な。
今までなかった別れの痛みを噛みしめる雪の夜。
良い人達に出逢ってきた証拠だと思う。また逆に、自分もいつかこの感覚を他人に与える番が来ると思うと、少し腰が重くなる。それでも行くときは行くのだけど。
そう思うと、皆としっかり接して悔いのない付き合いにしたいし、手紙ももっと送った方が良いんだろな~。

とはいえ、このネットがあると、煩わしいことも多いが孤独がより少ない良い時代だと思う。
世界のネットに接続できる人となら、誰とでもどこへでもいつでも繋がれる。だがたまにふと思う。今ある繋がりは以前より希薄になってしまった気がしなくもない。繋がりの濃い薄いなんて測って分かる物じゃないと思うが、ネットを開けば、すぐそこに居るような錯覚がして、距離間が狂う。
春は別れの季節である。花咲けばいずれ散るように、人生別れもばかり。さよならだけが人生ならば、また来る春は何なのか。また来る春は何運ぶ。
さよならだけが人生ならば、どこに希望を見出せばいいのか。さよならだけが人生ならば、相当悲しい人生だ。
逆も然りで、「さよならだけが人生ならば、初めましても人生である」と言い換えれる。希望失くして人生輝かん。
出逢いあり、別れある。新たな始まりの為にも終止符は大切である。

そういうことで別れは悲しい事ばかりではない。去る人も、居る人もお互いに新たな人と出逢い、関われる機会が増えるということである。。それはそれで楽しみである。
これからの来る春、夏、秋ととても楽しみである。どんな夏になるのか。誰と今年は出逢えるのか。どんな関係を築け得るのか。はたまた、人とはあんまり出逢わないかもしれない。その分、もっと個人で成果を上げなきゃならん厳しい年になるかもしれない。

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何はともあれ、去る人達も同じく次のステージでゴロゴロ転がる新たな課題をやりこなしていかなければならないし、居る人達も同じく、新たな局面を迎えることになっている。
彼ら、彼女らのこれから出逢う人達、経験、試練、全てにおいて、楽しんで苦しんで喜んで、しっかり味わって幸せに生きてほしいと願う。
心掛けているのは引き留めないこと。最後は笑顔で、より面白き未来を彼若しくは彼女に願い、気持ちよく次のスタートが踏み出せるように、送り出してあげる事。より良き未来を。より面白き人生を。
最後に我儘を言うなら、ここに自分がが生きてた事をどうか忘れないでほしい。

そう思うように努めても、自分は取り残された感覚を拭いきれない。残された自分はどうしたらいい。
「また会えるに決まってる。いつかまたどこかで。」そう心で呟いたら、虚無感が深くなるばかり。
雪が静かに降りしきる中、彼女は去った。
「愛してる、滅茶苦茶」と言葉を残して。

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