カイゴのあるある&面白エピソード集

介護の現場に携わらせてもらって10年目……。
そんな自分が、通所介護で働く中で出会った人々の思わずクスッとしちゃうエピソードや、介護職あるあるだよねぇ。って話をちょっとだけ紹介。

……いや、10年って長ぇなおい。

「ちょっと!?このおばさん誰なの!?」

軽度の認知症であられた利用者様ですが、食後の口腔ケアへお誘いし歯磨きセットを荷物から取り出しに行っている背後で悲鳴の様な叫び声……。

何事…!?

驚いた職員がお声をかけると、鏡に映る自らを指さして真剣に訴えてくるから芸術点が高い。

お伝えしにくいんですが、あなた様でございます。

「こうなったら、出るところに出させていただくわ」

先の利用者様とは、私個人的にも面白エピソードがありまして。
入浴介助を行って浴室から脱衣室へ移動した際の出来事。

この方、入浴にお誘いするのは至難の業ですが、入ってしまえばご機嫌でいらっしゃり、色々なお話を聞かせて下さいます。
この日も、飼っていたワンちゃんの話や、ご実家での出来事など思いつくままにお話をして下さり、さあ脱衣所に出るぞという所で、突然に事が起こりました。

この日、気温が低く脱衣所が涼しかったのです。

暖かい所から一転いきなりひんやりと冷たい空気が生肌には辛いですよね?
さて、ご利用者様はご立腹。

「あーた、あたくしが大変な病気に掛かったらどうしてくれるの!?」

たぶん、風邪を引く程度かとは思いますが、私は一体どこへ出されるのでしょうか……。

「働きなさいっ!」

中度認知症で生活の大半に介助が必要な利用者様でいらっしゃいました。
会話も難しい為、表情と雰囲気でこちらが察する、汲み取る。というコミュニケーションをとっていました。

私は入社して2年ちょいで、まぁまぁ日々の介助に慣れた程度で、まだまだ汲み取る能力は付けてない。ぴよっ子でいましたので、中々この利用者様とのやり取りが進まない訳です。

そんな時に、ピシャリと一言。
「しっかりしなさいっ!」

トドメの一撃。
「働きなさいっ!」

この方からは色々なスキルを学ばせて頂きました。

語り継がれる「触るな!キケン!」

先の利用者様には、当事業所の伝説エピソードがあります。

それは施設内の手すりが、がたついて今にも壁から脱落しそうになっている箇所があり、触れては危ないと職員が貼り紙をして置いたのです。

先の利用者様は、車椅子の生活。ひざ掛けの中によく大事なものを仕舞われていて、ぬいぐるみ、リモコン、時に旦那様の腕時計なんかもコロッと出てきて四次元ポケットの様。

定時のトイレ対応を行おうとトイレへ移動するさなか、芳しい香りに陰洗セットも準備してトイレへ。
2人介助で先輩職員とフットサポートを外したりと介助の準備に取り掛かります。
ひざ掛けを持ち上げた所で、笑いが耐えられませんでした。

お腹に貼られた『触るな!キケン!』の文字……。
確かに、キケン……。
無事、トイレ介助は衣類への被害も無く済まされました。

「聞こえない」

高齢になってくると、誰もが老化を受けあらゆる器官、身体に影響が出てくる様になってきます。
今回のエピソードの利用者様は認知症の方でお耳も遠くなってきた方。
聞こえていても、理解するのに時間を要したり、意味を理解が出来なかったり……。意思疎通にはゆっくり時間を要します。

お手伝いの介助中、幾度と声をかけますが、全くの無反応……。どんどん上体が曲がりくの字を描くよう……。筋力が落ちている為、お辛いのだろうと判断して一度便座に腰掛けてもらおうか、上体を戻せるかお聞きしようと名前を呼びました。

「Mさん、一度座りますか?」
「…………」
「Mさーん!」
「…………」

トイレの外に指示が聞こえない様にが私のモットーです。ジェスチャーなども交えながら、なるべくプライバシーの配慮に努めます。
声のトーンを落としつつ、聞き取りやすいように、単語単語を区切りながら伝えますが、Mさんには聞こえていなそう……。
少し大きな声でもう一度声をかけてみると、驚きの答えが返ってきました。

「Mさん!この声は聞こえますか?」
「聞こえません」

聞こえません。と返ってくる返答にズッコケつつ、その後は意思疎通できて、もしや面倒で返事しなかった??とも疑われるエピソードでした。

「仲良く無いわよ」

最後は、ここ最近私はいつも弄ばれている利用者様。もう蜘蛛トークンはマックスでしょう。
どうにも右斜め上をいかれていて、掴み所がない利用者様です。

機嫌よく昼食後にフロアを移動されて、お席に戻られようとされている所、事務所からフロアに向かって歩く私を発見され、ニコニコと手を振られていました。

こんな何気ない交流やふれあいが、介護職のホッとするポイントであり、醍醐味なんですよね。
Iさん珍しく友好的!と、嬉しさ100倍で手を振り返す私。
普段ときたら、色々なお声かけにツンとした態度で「そうね。でも、いいわよ。(やらないわよ)」と躱され続ける私。

別の職員もその様子に
「Iさん、としやと仲良しですね!」
と茶化してみる事に。
すると、驚く事にIさんはニコニコ手を振りながら否定の一言。

「違うわよ」
「……え?Iさん、私たち一周回って仲良しじゃ無いですか?」
「仲良くなんて無いわよ。あなたとはさ、違うわよねぇ?」

そ、そんなぁ〜笑
もうここまできたら、一周回ってめちゃ仲良しでは?

終わりに

介護ってつらいイメージ付きがちですけど、それを上回るやり甲斐や人と関わる温かみがあって自分は自信持って素敵な職だって思ってます。

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