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芸者と幇間、移ろいゆく「ステレオタイプ」

「芸者フジヤマ」という言葉が死語になったこの頃、改めて、古き良き時代の日本へのステレオタイプに今回出会うことができました。

昔、このイメージを嫌った日本人が多くいました。戦後といわれる時代、日本はもっと近代的な国だと背伸びしたがっていた頃のことです。

今や、江戸情緒をかもす「芸者」とその芸も、日本の象徴ともいえる「富士山」も、世界に堂々と披露できる宝となりました。

ご存知かもしれませんが、芸者さんは、芸を売るのが仕事です。一部に風俗と混同している人もいて、外国人にもそうした誤ったイメージが残っています。

しかし、三味線と小唄で踊る芸者さんは、江戸の遊びの世界を今に伝える貴重な文化遺産ともいえるのです。

幇間(ほうかん)という人がいます。写真に私の友人と写っている人です。幇間の別名は「太鼓もち」。

これは、料亭のお客を芸者さんと一緒にもてなすために、様々な芸を披露する男性のこと。

ある意味で、西欧世界のピエロに通じるものもあり、今ではそんな芸を極めた人もわずかしか残っていません。

先日、縁あって東京の向島の料亭を、アメリカの友人と訪ねました。

そこで鑑賞できた芸者さんと幇間さんの芸の素晴らしさ。江戸文化の奥深さに彼らも感動。

日本を紹介してゆく上で、我々こそもっと日本を学ばないといけないと、実感したひと時でした。

ステレオタイプは時とともに変化します。

今、日本人へのステレオタイプは、「表情の読みづらい不可解な人」というイメージ。

そんなステレオタイプをもった海外の人が、この洒脱な江戸の遊びに接したら、そこにむしろ新しいものを感じるかもしれません。

多彩な表情とユーモア、そして移ろう時への情緒を堪能できる日本。

そんなイメージを、世界に植え付けてゆきたいものです。

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