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旅日記

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世界各地の旅先で感じたことを徒然なるまま、書きました。
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#ガスペ

都会と田舎、カナダの最果て、ガスペの「ムースまつり」(1/4)

都会と田舎、カナダの最果て、ガスペの「ムースまつり」(1/4)

ガスペ Gaspeという町があります。

そこは、カナダ東部の古都ケベックから車で8時間東に走った半島の突端、大西洋に突き出した最果ての町です。

ガスペは、昔からフランスの影響を濃く受けたケベック州の中でも最も東にある町です。

カナダの大河セントローレンス川 Saint Lawrence River。河口は湾となって大西洋に向けて大きく開けます。昔はヨーローパから渡ってきた帆船のアメリカ大陸へ

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都会と田舎、カナダの最果て、ガスペの「ムースまつり」(2/4)

都会と田舎、カナダの最果て、ガスペの「ムースまつり」(2/4)

10月の末、夜遅くこの町にやってきました。

途中、晩秋の冷たい風雨にさらされて波立つ岸壁に沿って何時間も車で走りました。やがて深い森の中にはいり、そこをぬけ出ると、入江に橋がかかっていました。そこを渡るとガスペの市街地へといざなわれます。

ケベックを昼前に出発したものの、早い日没のために、町はすでに深い闇の中に眠っていました。

翌日のことです。町の中心にある大きな駐車場にたくさんの車が集まっ

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都会と田舎、カナダの最果て、ガスペの「ムースまつり」(3/4)

都会と田舎、カナダの最果て、ガスペの「ムースまつり」(3/4)

そんな音楽にひかれるように駐車場に行ってみて、びっくり。

集まる車のボンネットや天井に、ムースmooseの頭がかざられているのです。

ムースはトナカイに似た大きなツノをもつ野生の鹿です。地元の人々が猟をして、その獲物の大きさを競い合うために、そこに集まっていたのです。

森の主とも言える巨大なムースが、首を切られて車の上に乗せられています。男だけではなく、家族ぐるみで集まって、その大きさを競い

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都会と田舎、カナダの最果て、ガスペの「ムースまつり」(4/4)

都会と田舎、カナダの最果て、ガスペの「ムースまつり」(4/4)

「実はな。俺はこのムースを猟銃で仕留めたのではないんだよ。弓を使ってやっつけたんだ」

私が話しかけた一人の男はニコニコとしながら、そんな自慢話をしてくれました。その男の車の上に置かれているムースの目をみていると複雑な気持ちになりました。きっと、都会の人は、この男に怒りをあらわにするか、シニカルに蔑視するはずです。

そこに生きる人の文化や習慣への敬意。これは世界の人々と交流を深めるためにもっとも

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