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テイラーへの私観

テイラーという生き方について、自分なりの考えを述べていこうと思います。

私は、洋服を求めるお客様にただ質の良い洋服をお仕立てするというのが、その生き方ではないと思うのです。

お客様との対話を通して、その人のこれまでの経験や人生観、人となりや性格をなんとか言葉にしてテイラーがまず汲み取ります。その後その言葉と調和する”言葉”を持った生地や色柄、ディテールや立ち振る舞いを仕立て屋は提供する。例えば沈黙を好み、仕事一筋に走り続ける人にはグレーのフランネルのスーツというようなものです。

その二つの言葉を紡いでいくことで洋服がその形を表し、その人の内面が外見によって固定化されます。そうして衣食住のうち衣が土台となって固まったならば、洋服には目もくれず、より良い人生経験を積み上げて行ってほしいのです。

他人の目を気にするなと言われても、どうしても人は他人から見た自分が気になってしまうものです。そのような方達に、僕が学んできた映画や本、出会ってきた人々からのインスピレーションから、衣服を通じて背中をおさせていただくのです。

紋切り型にハマりすぎ、言葉によって大雑把な分類に傾倒してしまわないに、バランス感覚も養いながら対話を積み重ねていきたいと思います。

以上、未だ一着もお客様の洋服を仕立てたことがないテイラー見習いが考えるテイラー像でした笑。


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