妖剣士 3話

〇銀行・内
   多数の人間が座らされている。その中   
   に岡川と響子隣り合っている。
   拳銃を持った銀行強盗が2名おり、片方は主婦を人質に取っている。
銀行強盗A「お前ら大人しくしてろよ!」
響子N「なんでこんなことになったんだろうか?」
岡川「すげえめんどくさい事になったな」
 
〇(回想)道
   タイトル「1時間前」
   響子が歩いている。
響子N「そういや推しの配信が夜にあったっけ?」
   コーヒー屋の目の前に止まる響子。バイクが停めてある。
響子「こんな所にコーヒー屋が」
   店頭に置いてある無数の豆を見つめる響子。
響子N「おじさんのとこも使ってるのか
な?」
   アヤカシの事を思い出す響子。
響子「もうちゃんと見れないな」
岡川の声「んじゃ有難うね~!」
   岡川がコーヒー屋から出てくる。
   響子とぶつかる岡川。
   倒れる響子。
岡川「いてて、大丈夫?」
響子「(立ち上がり)あ、ええ、まぁ」
岡川「って響子ちゃんじゃん!」
響子「あ、あなたは!」
岡川「あなたの記憶の住人、岡川大我です」
響子「は、はぁ」
岡川「こんな所で会うなんてね」
響子「い、急いでいるので」
岡川「一度目偶然、二度目奇跡、三度目運命」
響子「いや、私は歩いていただけなので。そんな大層な事は」
岡川「送っていくよ」
響子「いや、いいですよ」
岡川「俺も銀行に用あるからさ」
   響子にヘルメットを渡す岡川。
岡川「ひとっ走り付き合えよ、ってね」
 
〇銀行・内
   様々な銀行業務が行われている。
   岡川と響子が座っている。
響子「混んでますね」
   マスクを被った銀行強盗2人が入ってくる。
銀行強盗A「動くな!」
   銃口を構える銀行強盗。
銀行強盗B「(バッグを置いて)この中にありったけの札束入れろ!」
銀行強盗A「お前、こっちこい!」
   主婦を自分の元へ持ってくる銀行強盗A。
子供「母ちゃん!」
主婦「ああ!」
岡川「めんどくさい事になったな」
   (回想終了)
   座っている銀行内の人々。
響子「どうするんですか?」
岡川「何とかするしかないな」
響子「何とか?」
岡川「相手は凶器持ってるだけで素人だしな。多分何とかできる」
銀行強盗A「全員、1か所に集まれ」
   一か所に集まり、席に座る面々。
   岡川の隣に子供が座っており、お母さん!と言いながら泣いている。
岡川「大丈夫、お母さんは助かる」
子供「そんなの誰にも分からないじゃない
か!」
岡川「だからと言って泣いてたって状況は良くならない、そうだ!」
   手のひらを子供に見せる岡川。
子供「何?」
岡川「よく見ててごらん、はッ!」
   手のひらに一輪の花が咲く。
子供「す、すごい!」
   その花を子供に渡す岡川。
岡川「もう泣くんじゃないぞ」
   銀行強盗Aが岡川に銃口を向ける。
銀行強盗A「勝手な事するな!」
岡川「ちょっとしたショータイムだ。お前らにも見せてやろうか?」
銀行強盗A「死にたくないなら下らんことはよせ」
   銀行強盗Bは後ろで支店長に金を詰め込ませている。
   立ち上がる岡川。
岡川「おい、悪党ども」
銀行強盗A「なんだとお前!」
岡川「事実を言われて怒るくらいなら今すぐ悪党なんてものやめればいい」
響子「(小声で)ちょっと大我さん!」
岡川「その人と俺を人質交換しろ」
   ポカンとする銀行強盗A。
銀行強盗A「お前ふざけているのか?」
   天井に銃口を向ける銀行強盗A。
   発砲する銀行強盗A。照明が1つ壊れる。
銀行強盗A「俺は嘘やってるんじゃないんだぜ?」
岡川N「こいつ、本物か。ってことは奥のもか」
銀行強盗A「イキッてると寿命縮めるぞ!」
   銃口を岡川に向ける銀行強盗A。
   岡川の左腕につけたブレスレットからコール音が鳴り響く。
響子「大我さん、もしかして?」
岡川「おやっさんからのコール、だな」
銀行強盗A「うるさいぞ!」
岡川「おやっさんからのラブコールが来ちまった。緊急事態だ」
銀行強盗A「自分だけ帰りたいと?」
   笑う岡川。
岡川「そこまで情けない人生歩んでないさ」
岡川N「一か八かやるしかないか」
銀行強盗A「じゃあどうする?」
岡川「こうさせて貰う!」
   銀行強盗Aに飛び掛かる岡川。
   岡川、主婦から銀行強盗Aを引き離し、銀行強盗Aをボコボコにし、気絶させる。拳銃を右手に装備する。
岡川「君!お母さんを!」
子供「う、うん!」
   主婦を安全圏内に移動させる子供。
銀行強盗B「おい!何があった!」
   手前にやってくる銀行強盗B。
岡川「相方さんなら伸びちまったよ、悪党なんて退屈でつまらないってね」
銀行強盗B「(岡川に銃口を向け)貴様がぁ!」
岡川「こっちにもこれがある!」
    銀行強盗Bに銃口を向ける岡川。
銀行強盗B「貴様!」
子供「やっちゃえ!お兄ちゃん!」
岡川N「流石に人は撃てないか」
子供「お兄ちゃんがお前なんかに負けるもんか!」
   岡川の横に就く子供。
銀行強盗B「う、撃つなぁ!」
   銃が暴発し、子供に弾丸が向かう。
岡川「危ない!」
   銃弾を左手の甲で受け止める岡川。血が滴る。
銀行強盗B「な!こいつ!」
   瞬時に銀行強盗Bをキックする岡川。
   鼻血を出して倒れる銀行強盗B。
   岡川、子供に近づく。
岡川「なんで最後、俺の横にいた?」
子供「僕も誰かを助けられると思ったから!僕にもお兄さんみたいに勇気が あると思ったから!」
岡川「あのな、少年、勇気と無謀は違うんだ。勝算の無い戦いは全部無謀なんだ。無謀はいつか身を滅ぼすぞ?」
   目に涙をためる子供。
   ポンと右手で子供の頭を撫でる岡川。
岡川「でも君の勇気は伝わった、有難う」
   ぱあぁと笑顔になる子供。
子供「ありがとう!僕のヒーロー!」
   去ろうとする岡川。響子がやってくる。
響子「待ってください!」
岡川「響子ちゃん、デートならまた今度で」
響子「そんな手で化け物と戦いに行くんですか?」
岡川「こんなのかすり傷だよ」
   ズキッと左腕が痛む岡川。
岡川「いってえ!」
響子「ほら、そういうの勝算の無い戦いって言うんじゃないですか?」
岡川「あはは、会うたびに厳しい事言うね」
響子「私はただ……」
   俯く響子。
響子N「私にも出来ることがあるはずだ!」
岡川「まあでも大丈夫!俺強いから!」
   去ろうとする岡川。
響子「待ってください!」
 
〇同・駐車場
   ヘルメットをつけた岡川がバイクにまたがり、響子が左手の手当をしており、包帯を巻きつける。
響子「これで大丈夫です。応急処置ですが」
岡川「おう、綺麗に巻けてる!」
響子「母が看護師だったので」
岡川「いい母さんだったんだろうね。こいつを見ればよくわかる」
響子「あの、大我さん」
岡川「うん?」
響子「私も連れて行ってもらえませんか?」
岡川「え?」
響子「私は自分でもう一度真実を見つめたい!この世界で何が起こってるのかを!」
岡川「無理!」
響子「即答!」
岡川「戦いの苦しみ、悲しみは俺たちだけが知ればいい。響子ちゃんが知る必要はない」
響子「だったら最後に」
   響子、岡川の両手を握りしめる。
響子「絶対に、絶対に生きて帰ってください!」
   バイクに乗り、エンジンを吹かせ、バイクを発進させる岡川。そして   
   左手でサムズアップをする。
 
〇田舎町
   建物も少ない田舎町。建物より畑の方  
   が目立つ。
   5mほどのコオロギ型のアヤカシが現れる。
   バイクに乗った岡川が到着する。
岡川N「虫タイプか。苦手だなぁ」
   コオロギ型のアヤカシが人を食べてい  
   る事に気づく。
   岡川、悔しそうにバイクを叩く。
岡川「クソっ!」
   ヘルメットを外し、バイクを降りる岡川。
岡川「何とかやるしかねえか」
   ブレスレットを押して刀を取り出す。
岡川「マイク、今日はいないんだっけか。
一人で何とかしないと」
   コオロギ型のアヤカシに攻撃をする岡川。
岡川「さぁ、光が舞うぜ!」
   左手がズキッと痛む。
岡川N「結構痛いなこれ」
   近くにいた老人を捕食しようとするコオロギ型のアヤカシ。
岡川「どっせーい!」
   コオロギ型のアヤカシに攻撃し、老人を救い出す岡川。
村人「な、何がおこってるだがね?」
岡川「ちょっとした悪い夢さ。すぐに忘れる。さっさと逃げろ。寿命が尽きてしまうぞ」
   逃げ出す老人。
岡川「ここからが本番だ!」
   ポケットに銀行強盗から奪った拳銃があることに気づく。
岡川N「こいつで誘導するか!」
   拳銃を撃ちながら山の方へ誘導する岡川。
岡川「サクサク撃てていいなこれ」
   弾切れになる岡川。
岡川「ついでにこいつもくれてやるよ!」
   拳銃をアヤカシに投げ捨てる岡川。
   岡川、剣を両手持ちで攻撃しようとするが、左腕に激痛が走り、攻撃するも十分なダメージを与えられない。
岡川「まずい!」
   コオロギ型のアヤカシ、その隙を見て岡川に襲い掛かる。
   刀を吹き飛ばされ、マウントを取られ、動けなくなる岡川。
岡川「やべえ!しくじった!」
   どんどんと地面と圧縮されていく岡川。
岡川N「このまま墓まで掘られるのは御免だね!」
   どんどん圧縮されていく岡川。
岡川N「まずい!このままだとやられる!」
   その時、大きな火球がコオロギ型のアヤカシに命中する。
   ダメージを受けて岡川から離れ、飛ばされるコオロギ型のアヤカシ。
岡川「この技は!」
   上空から晴人が現れる。
晴人「お前だな、俺の火の味で灰になりたい
というやつは。じっくり調理してやる」
岡川「晴人!」
晴人「(手を伸ばして)腕が落ちたな、大我」
岡川「(手を取って)ちょっと油断しただけだっての」
   並び立つ2人。
晴人「目標を確認した。これより殲滅を開始する」
   第三話終了

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?