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ばあちゃん

私がまだ子供だった頃
いつもばあちゃんの部屋で寝てました
寝る前によくばあちゃんは
私に話をしてくれました

それは暑い夏の夜
突然大きな音が鳴りました
家から飛び出し向こうを見ると
空から星が落ちてきて
炎が街を包みました

ばあちゃんがまだ子供だった頃
家にはお金も食べる物も無く
知らない家に奉公に出されました
小さい赤ちゃんおんぶして
掃除に洗濯皿洗い
どれだけいっぱい働いても
いつもご飯はちょびっとでした

ばあちゃんが大人になった頃
結婚して子供ができました
だけどすぐに離婚して
しばらくしてから別の人との間に
また子供ができました
それが私のお父さんです
でもお父さんのお父さんもすぐに消えて
一人で二人の子供を育てました

おじさんが中学生の頃
クラスメイトにからかわれ
怒って刃物を向けちゃいました
以来おじさんは亡くなるまで
施設に入所していました
年に数回家に泊まりに来ましたが
次の日にはお父さんに車で送られて
施設に帰って行きました
何が出たかは忘れましたが
ばあちゃんはおじさんに会うといつも
何が食べたいか聞いていました

私がまだ子供だった頃
ばあちゃんと二人自転車で
隣町の水族館に行った事がありました
道中何軒か家に寄って
ばあちゃんは出てきた人と世間話
最後に選挙の話もして
よく分からないままとりあえず
私も一緒にぺこりと頭を下げました



10年前の3月にばあちゃんは亡くなりました。
私はもう30歳になりました。
当時の私は19歳でした。
ばあちゃんとは他にも沢山の思い出がありますがとりあえず今日はこれくらい。
忘れないうちにここに書いておきます。
またいつか。


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