メカジキの照り焼きを万世橋で

カジキといわれるものにはマカジキ、メカジキ、バショウカジキ、クロカワカジキ、シロカワカジキなどがいる。カジキの大きな特徴はどれも上顎がひどく突きだし、そのさきがするどく尖っていることである。
マカジキは三メートルぐらいになり、関西や高知ではナイラゲ、千葉ではダイナンボウなどという。東京でただカジキというとこのマカジキのことをさしている。マカジキはもともと暖海性の魚なのだが、三陸沖から北海道の南部にまでもやってくる。カジキのうちではいちばんうまく、上等の魚で、刺身、鮨、照焼などとして高級料理につかわれる。肉の色は赤く、夏の間がうまい。年間九○○○トンぐらいしか水揚げされないので値段も高い。
メカジキはマカジキ以上に上顎がのび、体長は三メートルに達する。高知ではカジキトオシ、和歌山でシウトなどとよんでいる。産額はマカジキより多く、一万二〇〇〇トンぐらいである。メカジキの肉は白く、味はマカジキにくらべるといくぶん劣るが、やはり夏がうまく、刺身、鮎、塩焼、照焼、バター焼、ネリ製品などとする。またアメリカ人が好むので、冷凍にして輸出する。
バショウカジキは長崎ではハウオといい、九州から南洋にかけてすんでいる。二メートル、六〇キロぐらいになる魚だが、背びれがちょうど帆を張ったような形をして大きい。肉の色はマカジキよりも濃い赤い色をしている。七月から秋までの間がうまいが、味はマカジキに劣っている。
クロカワカジキはクロマザラともいい、日本の中部以南に多い。カジキ類のうちではいちばん多く獲れ、年産額は一万六○○○トンに達する。シロカワカジキはシロマザラともいう。これらの肉はやや白味を帯びているが、シロカワの方がクロカワよりいくぶん赤味が強い。どちらも脂肪に富んでかなりうまく、刺身、鮎などにもされるが、主にネリ製品、魚肉ソーセージなどに加工されている(「魚のシュン暦」金田尚志著)

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